2019.10.18【8000ドルで膠着のビットコイン、動き出すまで要する時間】

2019-10-18 17:32[ 松田康生

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Review

8000ドルのストライク

今週のBTC相場は上値の重い展開。92万円で3回上値を抑えられると88万円のサポートを割り込んだが、その後は8000ドル近辺での揉み合う展開となった。前週の200日移動平均線ブレークがダマしに終わったがBTC相場は好地合いを継続、何度か92万円をトライしたが、相次ぐリブラからの撤退やG7やFSBから暗号資産は金融安定化へのリスクでないが、リブラなどのステーブルコインは脅威だとされるなどネガティブな材料が続き抜け切れずにいた。3回目のトライに失敗すると、8000ドルに集中するオプションのストライクに吸い寄せられる形で急落したが、8000ドルを割り込むと今度はデルタヘッジが買い方向となり、この水準で膠着した。国内交換所がカタパルト・アップデートのトークンを付与する方針を出したことでネムが急騰、XRPの上昇も有りBTCは88万円に戻したが、結局8000ドル近辺での推移を続けている。

Outlook

レンジ相場入りを確認

来週のBTC相場は揉み合い圏での推移を予想する。先週は、「中国人投資家も市場に戻り、出来高も徐々に回復」しつつあり、「FRBのベースマネー拡大も次の利下げも近づいている」ことから「再び上値をトライする相場展開」を予想した。実際、FRBは月600億ドルの単国買い入れを発表、中国もECBのLTROにあたる銀行貸し付けで資金供給、韓国も利下げするなどなし崩し的に金融緩和が進む中、BTC相場も92万円を何度かトライしたが、結局、失敗。8000ドルに4500BTC以上集まるオプションのストライクの引力に捕まる形で値を下げていった。この結果、先週時点では「92万円をクリアに抜けたことで、底入れは確認できた」が「96万円を上抜けるまではまだダマしの可能性は否定できず、強気相場入りか、83-93万円のレンジ相場となるかの判断はまだつかない」としたが、どうやら後者であったことが確認された。今週の92万円の上値トライに失敗は、先週の上抜けがダマしだったと確定させ、83-92万円のレンジに入ったことを示した訳だ。



相場が動くのは1-2週間後か

上はBloombergで見たBTCUSDの30日と50日のヒストリカルボラティリティー(HV)だ。Bloombergのデータは土日が抜けているので時間軸的には正確性に欠けるが、以前にもご紹介した通りこの数字が20前後まで下落すると反発を見せている。このところの下落で両者は50近くで足踏みしているが、従来よりHVの上昇は相場の反発であるケースが多く、これが一段の下落を見せれば、相場の反発は近い可能性が高い。ただ、マーケットは83万円でトリプルボトムを形成、95万円でダマしを作った後に92万円トライに失敗した結果、83-92万円のレンジに入ってしまっており、もう少しこの水準で揉み合いを続ける必要がありそうだ。手元の計算ではこのまま相場が8000ドルで停滞した場合、30日のHVが20%台に入るのが11月5日頃。一方で、相場の膠着の一因とされる8000ドルストライクのオプション4500BTCのうち、2500BTCが来週金曜日に期日を迎える。いずれも相場が動き出すのに1-2週間を要すことを示しており、来週いっぱいは揉み合い推移を続けるか。

再来週(10/28-11/1)は材料多い

今後の材料を見通すとLitecoin Summitが10月28-29日、SWELLは11月7-8日。アメリカでは10月30日に3QのGDP速報値、31日にFOMC、1日に雇用統計とISMと続く。31日には日銀の政策決定会合も控えている。明日19日に離脱合意案が議決されるBREXITも10月末を予定している。こう考えると再来週からその翌週に向けて動意がありそうだが、来週に関しては動意の薄い展開が続こうか。

予想レンジ:80万円~95万円

Altcoin


今週のアルトコインはまちまちな値動き。BTCが軟調な中、ETH・BCHは上値の重い展開となったが、XRPは堅調、一時値を崩したLTCは鋭く切り返し底堅さを見せた。こうした中、BTCのドミナンツは低下傾向にある。上は今年第1四半期の平均を100%とした各通貨の9月以降の出来高推移だ。これを見ると9月半ばから一時盛り上がっていた出来高は10月に入り下火になっていたが、先週辺りからXRPを中心にやや戻しつつある様子が見て取れます。特に今週はDevconが終わり一服感があるETHに代わり、これからLitecoin SummitやSWELLといったイベントを控えているLTCやXRPが戻しています。一方でBTCに関しては出来高が低迷しており、これがオプションのストライクなどテクニカルな要因に降らされ易くなっている一因と考えられる。以前、BTCが底値を付ける3つの条件として①売り材料の一服②アルトコインが先導③強気派が日和る事を挙げたが、このうちアルトコインが先導する動きが出始めているのかもしれない。

 

ETH:今週のETHは上値の重い展開。Devconが閉幕、また先週末にヒースCFTC新議長がETHは証券に当たらないとし、ETH先物の実現にも言及していたことで20000円台を回復していたことも有り反落が出た形か。週前半は20000円を若干割る水準で底堅さを見せ、グレイスケールがETHを含む主要仮想通貨に連動する証券の承認を得た事で20000円台を回復していた。しかし、週後半にBTCが上値を重くするとETHもじりじりと値を下げた。米中貿易協議の一時休戦やBREXITでの英EU合意などリスクオフ系の懸念が後退したことが、BTCプラスワンとして注目を集めつつあるETHの需要も後退したか。

XRP:今週のXRPは堅調な値動き。リップル社がウォレットを提供するBRD社に出資、更に最近XRPを用いた送金が増えていると伝わるメキシコのビットソーという交換所に出資、XRP送金拡大への次の布石かとXRPも値を上げた。グレイスケールの仮想通貨証券承認で32円を付けた後、一旦値を下げるも、リップルネットに参加しているマレーシア大手行のCIMBがブロックチェーン上でのトレードファイナンス実行に成功したことも有り32円台半ばに値を伸ばしている。カナダCoinfieldがXRPレッジャーでDEXを作成、XRP上でETFなどの売買が出来るとしたが、反応は限定的に止まった。

BCH:今週のBCH は引き続き目立った材料がない中、BTCに連れ軟調な推移。グレイスケールの仮想通貨連動債の内訳はBTC80%、ETH0.9%、XRP5.8%、BCH2.2%、LTC1.8%だった。

LTC:今週のLTC相場は下に行って来いの展開。LTC Summitを前にLTC財団が破産寸前との報にチャーリーが反論するも急落。しかしイベントへの期待感もあってかすぐさま切り返している。


FXcoin Weekly Report 2019.10.18.pdf

松田康生 (まつだやすお)

シニアストラテジスト

東京大学経済学部 国際通貨体制専攻 三菱銀行(本部、バンコック支店)ドイツ銀行グループ(シンガポール、東京)を経て2018年7月より現職。 短国・レポ・為替・米国債・欧州債・MBSと幅広い金融市場に精通

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