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【第13回】 オプションディーラーの視点 ~ガンマを投げた直後に急反落~

2019-10-23 12:51[ SF

オプションディーラーの視点 仮想通貨 暗号資産 ビットコイン

BTCオプション市場の動向(10/16~10/22)
直近1週間の期近物オプションの建玉変化を確認すると(※本年12月末までに行使期日を迎える短期オプションのストライク別建玉合計)、ダウンサイド・オプション(6,750ドル~7,750ドル付近)の建玉増加が目立ちました(前週比+1,850 BTC)。本稿では、ダウンサイド・オプションの建玉増加の背景について、オプションディーラーの視点で考察したいと思います。

尚、現時点で観測される最大ピンは8,000ドル・ストライクとなっており、12月末までに行使期日を迎える8000ドル・ストライクは合計4,666BTC、内今週金曜日の17時にカットオフを迎えるものは2,684 BTCとかなり巨額です。引き続き、「8,000ドル」を意識した取引が続くと予想されます。

ダウンサイドの建玉が増加した背景とは?
世界最大の仮想通貨オプション取引所Deribit社の10/22付けTwitter投稿を確認すると(添付ピクチャご参照)、「PUTオプションの売却」が出来高全体の60%を占めていることが判明しました(オプション売りそのものは全体の78%)。ビットコイン相場の膠着を受け、オプション売りニーズ(①膠着相場を収益化する目的の戦略的なオプション売り、②セータ負担に耐え切れなくなったオプション保有者によるロスカットとしてのオプション売り)が強まったものと考えられます。当方では後者の影響がより大きかったのではないかと推察しております。

また、今回は特にダウンサイド・オプションが売り込まれており、これは、10/17~10/19にかけて急落した際に、「更なる下落」を見越して購入したオプションを、10/21~10/22にスポットが(相場観に反して)急伸したタイミングでロスカットとして「売り直した」ものと推察されます。オプションの世界では、こうした行為を「ガンマを投げる」と呼びます。ここ数日、ダウンサイドの建玉が増加しておりましたが、その背景に、オプション保有者によるガンマの投げがあったと言えそうです。


https://twitter.com/DeribitExchange/status/1186641453809897473/photo/1

まとめ
10/21~10/22にかけて、ビットコイン価格は急伸し、一時8,300ドル(約90万円)を突破しました。これを受けて、ダウンサイドにガンマを集めていたオプション・ロング勢は、「オプション料が紙くずになる前に売却しよう」と、一斉にダウンサイドのガンマを投げた(元々保有していたダウンサイド・オプションをロスカットとして売却した)と考えられます。しかし、マーケットはいつも「意地悪」で、ガンマを投げた直後に、ビットコイン価格は急落しました。オプション界の「あるある」です(オプション・ロング勢がガンマを投げた直後に動意付く現象)。

尚、ここからの注目ポイントとしては、ダウンサイドのガンマが薄くなっている可能性(危険性)がある点です。最大ピン8,000ドルは引き続き健在ですが、そこより下に密集していたガンマロングが今回の「投げ」で一掃されている可能性があるからです。先週同様、8,000ドル前後のマグネット効果が期待されるものの、何かの拍子で下抜ければ、ダウンサイドは意外と脆くなっている可能性があります。カットオフまで残り2日。8,000ドルを割り込んだ際の急落リスクに警戒が必要です。




SF

赤色メガバンクの市場部門出身。英国ロンドンでチーフFXオプションディーラー → 東京本部でFXマーケットアナリスト → FinTechベンチャーで取締役チーフアナリスト → FXcoinでPM(現職)。為替一筋17年。G10通貨・新興国通貨・仮想通貨まで幅広くカバー。日本経済新聞社やテレビ東京などマスメディアへの寄稿・出演実績多数。Twitter:https://twitter.com/HelloDerivative

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