2019.11.01【急騰したビットコイン、来週はどうなる?楽観的な理由】

2019-11-01 13:12[ 松田康生

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Review

中国発の急騰

今週のBTC相場は大幅上昇。先週はリブラの事実上の延期や量子コンピュータ―への懸念もあって一時80万円を割り込んでいたBTC相場だったが、習主席のブロックチェーンを技術革新の核として推進との発言等の中国発のヘッドラインが続き、80万円から112万円近くまで約4割も上昇した。その後は利食い売りにも押され、また中国当局がCCTVや人民日報を通じて投機を戒めたことやリブラなどのデジタル通貨は中国国内では外貨として規制するとしたこともあり96万円台まで反落した。週後半はBinance Coinが中国でのP2P取引開始で上昇、ウー・ジハン氏のBitmain社代表への返り咲きなどもありBCHが上昇するとBTCも103万円台を3度トライするも上抜けに失敗。日本時間木曜日のFOMCでは予想通り25bp利下げされたが、同時に利下げ打ち止めも示唆され、日銀決定会合でも追加緩和は見送られやこともあり、BTC相場は反応薄だった。

Outlook

下に行って来なかった

来週のBTC相場は底堅い展開を予想する。先週は急落のきっかけとなった量子コンピューターは現時点では仮想通貨の脅威ではないと分析、しかし83万円のサポートを割り込んだ事や50日と200日移動平均線がデッドクロスするのはほぼ確実という状況に鑑み「底値を探る展開」で「下に行って来い」を予想した。しかし、奇しくも「これまで一貫して上目線だった弊社も「短期的には警戒が必要」に日和り始めた」ところがボトムとなり、週末に相場は急反発した。下に行って来いとはならなかったが、なんとか長期の上目線は貫けた。


200日移動平均線を上回る

その移動平均線だが、相場の急騰にも関わらず8900-9000ドル付近でデッドクロスした。相場は9000ドルより上に浮上したが、200日前の水準が5000ドル台で50日前が10000ドル台だったので余程スポット水準が上がらなければクロスは避けられなかった形だ。しかしこの上昇で両移動平均線をスポット水準が上抜けた。すなわち売りサインを買いサインが打ち消した格好だ。「200日移動平均線に上値を抑えられたビットコイン相場、勝算はあるのか?」でご紹介した通り2015年8-10月のケースに似た形で、この時は8月18日から10月11日まで移動平均線を上回るのに2か月弱を要したが、今回は9月26日から10月26日までちょうど1か月で上に戻した。足元では9000ドル近辺にある200日移動平均線がサポートとして機能している。

買い遅れが多いか

今回の急騰もそうだが、BTC相場は短期間に大きく値が動く傾向がある。チャートで言えばほぼ直角に動くイメージだ。市場の流動性が薄いことが直接的な理由からだが、それはマイナー以外に実需がほぼいないことや機関投資家の参加が少ないことが挙げられる。また個人の投機フローが多い結果、ショートカバーやロングリクィデーションが多発、また価値の基準が無いので相場がオーバーシュートし易いこともある。また放たれにつこうと上がったら買う、下がったら売るといったプログラム売買も値幅を増幅させているだろう。株や為替などで有名なHFT (High Frequency Trading)の影響だが、仮想通貨の世界にどこまで浸透しているかは不明である。その結果、こうした相場の後に買い遅れた向きが相当出てくると考えています。すなわち、10年間にここまで上がってきた相場で、そもそもこの相場の参加者の殆どが仮想通貨の将来性の信棒者であり、ロングバイアスというか潜在的な買いニーズがあると考えていて、今回の様な急騰で手が出なかった結果、強い押し目買い意欲が残っていると思っている。

金融相場(?)入り

材料的には、今回は中国発の仮想通貨上昇だったが、今後は金融緩和を嫌気した米国を中心としたドル投資家からのフローに注目している。FOMCは声明文で「適切に行動」を削除、次回12月は利下げを見送ることを示唆した。すなわち、今回の利下げは織り込み済で、まだ織り込んでいない12月ないし1月に再利下げがあるか否かが相場を動かす訳だ。更に95年も98年も予防的利下げは3回までで、次回もし利下げすれば、本格的金融緩和局面入りをFRBが認めた事となる。従来のパターンで行けば、今回の112万円がピークでない限り、来週中に112万円をトライする事となっている。

予想レンジ:90万~120万円


Altcoin


今週のアルトコインの中国発のBTC急騰に連れ高、その後も中国と関連が強いBCHが相場を牽引したが、一方で週末にかけては相場の下落も主導した。上記は今年の1-3月の平均を100%とした主要5通貨の出来高推移。分裂騒動直後で年初に出来高が極端に減少していたBCH(1-3月の平均出来高はLTCの約1/4しかない)だけ水準が高いが、先週辺りから出来高が増加傾向にある。全体的にBTCが24時間で約4割上昇した25日から26日にかけて出来高が急増、その後は減少傾向にあり、週後半の相場の反落も頷ける。しかし、BCHだけは急騰後も出来高は高水準をキープ、火曜日には両日を上まわりすらしている。実際、BCHだけ26日の高値を更新している。BCHのスポンサーとされるBitmain社で昨年の香港上場に失敗、責任を取ってCEOを退任したウー・ジハン氏が代表へ返り咲いたこと、更に実は米国でIPO申請していたと伝わったことや中国銘柄に物色買いが入ったことも一因と思われる。ただ、この代表交代劇が内紛だったとも伝えられ、予断は許さない状況が続いている。また、リブラやDCEPが実現すると、デジタルゴールドであるBTCやワールドコンピュータであるETHは安泰だとしても、日常の決済利用を目指すBCHやLTCには大打撃であり、週後半にBCHの下げ幅が大きかったことも頷ける。

ETH:今週のETHは堅調な展開。週初はBTCの上昇に加えイスタンブールの日程が固まった事もその後の上昇につながった。しかし引き続き20000円台で上値を重くしていると、ETHベースのテザーの発行量が初めてオムニベースを上回り、ガス(手数料)代が最近高騰、一時21000円台へ乗せるもその後反落している。ガス代の高騰はネットワークの利用価値の上昇ともいえるが、最近はスケーラビリティーの限界が近づいているとネガティブにも見られており、イスタンブールやETH2.0への移行が待たれている。


XRP:今週のXRPは堅調な推移。BTC急騰に連れ一時33円台まで上昇。その後、下押すも、リップル関連で新たなCMが放映されたとの報や、SWELL 2019の影響からか、XRPの日次トランザクション数が過去最高の170万件目前まで上昇との報により、再度33円台まで上昇し、その後は32円台で推移している。政府系シンクタンクの黄元重慶市長が世界初の中銀コインとしてDCEPの登場を予告したが、これは将来的にXRPの強力なライバルと成り得るが、おそらく当面はテスト段階に過ぎないこと、同氏がSWIFTはもう古いとしブロックチェーン送金の時代到来を予感させるものでもあり、XRPへの影響は限定的だった。


BCH:今週のBCHは大幅上昇。BTCの急騰に加え、中国銘柄として意識され、証監会元副会長が四川省政府にマイナーを産業として支援すべきとするなど好材料続き強含みの展開。加えて、ウー・ジハン氏の返り咲きやBitmainのIPOで上値を追うも週後半にかけ失速した。


LTC:今週のLTC相場は底堅い展開。週初は他通貨同様にBTC急騰に連れ高で、6500円台まで上昇。その後は、一旦、利食いやポジション調整入るが、LTC Summit開幕による期待感から再度6500円台まで回復。LTC Summit閉幕後は材料の出尽くし感あり、じり安の展開となっている。


FXcoin Weekly Report 2019.11.01.pdf

松田康生 (まつだやすお)

シニアストラテジスト

東京大学経済学部 国際通貨体制専攻 三菱銀行(本部、バンコック支店)ドイツ銀行グループ(シンガポール、東京)を経て2018年7月より現職。 短国・レポ・為替・米国債・欧州債・MBSと幅広い金融市場に精通

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