• TOP>
  • マーケット情報>
  • 2019.11.08【急騰したビットコイン、来週はどうなる?楽観的な理由。】

2019.11.08【急騰したビットコイン、来週はどうなる?楽観的な理由。】

2019-11-08 13:22[ 松田康生

Weekly Report 仮想通貨 暗号資産 ビットコイン イーサリアム リップル ビットコインキャッシュ ライトコイン



Review

すっきりしない展開

今週のBTC相場は小幅上昇。週初は96万円台から底値を切り上げると、今月に入ってからの高値101万円台を上抜け103万円台までのショートカバーが入った。ステラが発行量の半分相当分をバーンするとしXRPなどもつれ高となる中、BTCも再び103万円をトライ。しかしCMEのBTC先物で8500ドルまでのフラッシュクラッシュが発生すると一時100万円を割り込んだ。中国政府がマイニングを廃止リストから撤回する等、中国関連ヘッドラインによって102万円台まで値を戻すが、その後はアルトコインに振らされる展開。11/7、8にリップル社主催のSWELLが開催されており、同イベント内で何かしらの発表があるとの期待感でXRPが上昇。その後、リップルCEO講演、イベント(1日目)終了後には、材料難からXRPは売られ、BTCも連れ安となり、一時100万円割れとなったが、米中関税撤回を米国側は未決との報もあってか、すぐに100万円台に値を戻している。

Outlook

112万円トライとはならず。

来週のBTC相場は底堅い展開を予想する。先々週の中国発の急騰に加え、金融緩和を嫌気した米国からの買いが活発化、1日で2割以上の急騰後は反落した相場は2週間以内に高値を更新するという従来のパターンから、今週中の112万円トライを予想した。96万円台で2度サポートされた相場はじりじりと安値を切り上げていったが、中国発のヘッドラインなど好材料が続いた割に上値も重く推移した。これは後述のポジション要因もあるが、強めの米雇用統計を受け米10年債金利が上昇、12月の利下げ予想が1割を切ったことで米国からの逃避フローが期待できなかったことが予想通りに112万円トライとならず冴えない相場が続いた一因と考える。

習発言でBTCが買われる理由

そもそもなぜ習主席がブロックチェーン技術の採用を奨励したことでBTCは急騰したのだろうか?1つ目の理由は、BTCはブロックチェーンのオリジナルだからだ。トークン経済の到来が現実味を帯びると、それまでは仮想通貨やブロックチェーンに懐疑的だったり無関心だった人の中に、乗り遅れまいと考えた結果、BTCを購入することから始める人が出てくるというメカニズムだ。デジタル人民元の出現とBTC価格とは直接関係ないが、ブロックチェーンが取り沙汰されると、その代表格であるBTCが買われ易くなるのは、リブラの出現と実質延期を巡ってBTCが上下を繰り返した事と同じ構図だろう。この点を元GSのノボグラッツ氏は習発言により仮想通貨の信頼性が向上したと説明している。もう1つの理由は、中国からの買いが期待されることだ。Cointelegraphによれば中国の仮想通貨ファンドである龍門キャピタルの日本代表サニー・ワン氏は、習発言を受け、中央政府の官僚がブロックチェーンを勉強し、地方政府も勉強し、それが学校や企業に広がっていく。そうした中にBTCを買ってみようとする人も一定の割合で出てくると予測している。1つ目の理由と似ているが、前者は自発的に起こるのに対し、後者は中国国内に限るものの、人為的に起こる点で若干異なる。但し、10月25-26日の急騰時に買えたのは既に仮想通貨口座を保有し、法定通貨ないしテザーの残高に余裕があった人に限られ、中国からの買いはこれからが本番としている。

相場がすっきりしない理由

そう考えると、今の相場がすっきりしない理由もはっきりしてくる。すなわち、中国からのポジティブなヘッドラインに反応しているのは今のところ短期の投機筋が中心で中国本土などからのフロー期待で先回りして買ったものの続く投資家の買いを待ちきれず投げてしまう、そうした状況が続いているのではないだろうか。言い方を変えると、既存の参加者がBTCやブロックチェーンの将来に自信が持ち切れていない事を示しているのかもしれない。XRP投資者がSWELLに期待としながら、開幕を待たずに売りに回ってしまう状況に似ているか。

金価格の高止まり

先週末の日経新聞で「マイナス金利で金バブル」と報じられていた。ドル指数や実質金利から同社が算定した金の理論価格を実勢が15%上回っているとしている。理論価格からたった15%の乖離をバブルと言えるのか、2003年の金ETF解禁から10年間で5倍以上に跳ね上がった局面をその理論値は説明できるのかなど疑問は残るものの、8年振りの水準としている。背景として「貿易戦争による不確実性の高まりやマイナス金利の広がり」を挙げ、中銀による外貨準備需要やETFを通じた機関投資家の需要が後押ししているとしてバブルを警戒している。中銀と機関投資家といった腰の入った本格的な投資家の買いをバブルというのにも違和感を覚えるが、記事では15兆ドル以上に達したマイナス金利の債券が金利を生まない金の欠点を縮小したと指摘している。因みに8年前の2011年や金価格が最高値を付けた2012年はFRBがQE2(2010年10月~2011年6月)やQE3(2012年9月~2013年12月)といった量的緩和でドルの価値を下げようと奔走していた時期にあたる。すなわち、マイナス金利を嫌気した買いが金に集まっているならば、それは今後、更に本格化する可能性があり、同じことはBTCにも起こっていると考える。金価格の上昇が米中貿易戦争激化とFRBの金融緩和への舵を切った5月から6月にかけて金価格が上昇したこととBTCの上昇が同じ時期だったことは偶然では無いだろう。

永遠に続く景気拡大・貿易不均衡の解消?

足元では3回連続の利下げが奏功したか経済指標の悪化に歯止めがかかり、米中対立も合意に向かうとの見方もあり、そうしたBTCへの買い圧力は弱まっている感はある。しかし、10年以上拡大を続けた米景気の後退危機が回避されたと見るのは楽観的過ぎるし、米中貿易不均衡は半永久的に解決しないことをわれわれ日本人は知っている。こうした中、BTC相場は底堅く推移、来週中にも想定より遅れている112万円トライをしても不思議は無いと考えている。

予想レンジ:90万~120万円


Altcoin


今週のアルトコインは上に行って来いの展開。週初は出遅れていたLTCが循環物色気味に上昇、続いてETHやBCHが続き、SWELL開幕前にはXRPが急騰したが、直前になって、急落。ウー・ジハン氏の返り咲きとIPO申請、マイニング環境の改善と追い風が吹いていたBitmain社で更迭された前CEOが攻勢に転じた事が嫌気されBCHも弱含むと全面安の展開となった。中でも注目されたのがXRPの乱高下だ。
上は直近3年のSWELL開幕日を基準にした前後30日間のXRPの値動き。一目して分かるのが2017年、2018年ともにSWELL開幕直前にピークを迎えている。典型的なSell the Factだ。特に昨年は事前にxRapidの商用化が関係筋から漏れてきてXRPは急騰、冒頭のガーリングハウスCEOによる正式発表を待たず反落を始めた。これを教訓にしたのか、目玉となるものがないのかは不明だが、今年はあまり事前に内容が漏れ伝わってこない。従って今回の急落をSell the Factと呼ぶには抵抗がある。そもそもFactが見当たらないからだ。分かり易く言えばSWELL開幕への期待先行買いよりも、開幕前の上昇を狙った戻り売り圧力の方が遥かに多かったという事を示している。それだけXRPのロングポジションが溜まっているとも言えるが、この急落で俄かロングが一掃されたという見方も出来ないこともない。

ETH:今週のETHは堅調な展開。先週、イスタンブールの日程が固まり、またETH2.0への期待もあり、ETHは上昇基調。週半ばではBTCと連れ高になり、堅調な推移が続いている。目立った材料がない中、BTCに連れる形で、20500近辺での小動きとなっている。


XRP:今週のXRPは上に行って来いの展開。週初はSWELLの期待感からか、堅調に推移。7日のSWELL開始前にはイベントへの期待感が高まり、一時34円付近まで上昇。SWELLはリップルCEOガーリングハウスの講演から始まったが、講演では目立った材料が出ず、XRPは売られ32円台まで下落。SWELLでは、リップルネットの参加企業は300社超え、ODLの商用化以来、24社の金融機関が実利用に向けて参入、ペルーの大手銀行が採用するといった発表があったが、市場が期待しているほどのインパクトはなく、イベント後は30円台まで下落し、足元では31円台の推移が続いている。


BCH:今週のBCHは堅調な推移。週初はBTC連れ高となり、堅調に推移後、週半ばではロジャーバーがFacebookの友達にBCHをエアドロップするとし、受け取ったBCHの価値はいずれ5,000ドル相当になるとの発言したが、上昇は1%程度にとどまった。ただ、中国でのマイニングに追い風が吹く中、BitmainをサポーターとするBCHは堅調に推移したが、同社の内紛が懸念され上値を重くしている。11月15日に予定されるハードフォークについては、現在のところ特段問題ないとの見方が主流だ。


LTC:今週のLTC相場は堅調な推移。一連のアルトコインの復調に出遅れ気味だったLTCだが、週央にかけて循環物色気味に上昇、しかし7000円トライを3度失敗すると目立った材料の無い中、6800円近辺での小動きとなっている。チャーリー・リー氏がXLM(ステラの)のバーンに疑問を呈するも相場への影響はなかった。


fxcoin weekly report 2019.11.08.pdf

松田康生 (まつだやすお)

シニアストラテジスト

東京大学経済学部 国際通貨体制専攻 三菱銀行(本部、バンコック支店)ドイツ銀行グループ(シンガポール、東京)を経て2018年7月より現職。 短国・レポ・為替・米国債・欧州債・MBSと幅広い金融市場に精通

アーカイブ