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2019.11.22【バイナンスショックで急落のビットコイン、値を戻せるか?】

2019-11-22 15:31[ 松田康生

Weekly Report 仮想通貨 暗号資産 ビットコイン イーサリアム リップル ビットコインキャッシュ ライトコイン



Review

Binanceショック

今週のBTC相場は軟調な推移。週初は200日移動平均線や80万円と112万円との半値押しだった96万円といった重要なサポートを割り込み、サポートだった96万円がレジスタンスとなって上値を重くした。中国国営TVが仮想通貨を非合法的融資手段・未登録証券・金融詐欺・マルチ商法と非難したと伝わったこともあり91万円のサポートを割り込み87万円台まで急落。週後半はBinance上海事務所が閉鎖されたとの報でBTCは一時80万円台まで急落。Binance代表者はこの報道を否定しており、自身のツイッターで「警察や捜査、事務所をめぐる報道は事実ではなく、そのようなことは一切なかった」とし、中国の仮想通貨取引所2社がメディアを通じ情報操作を行ったと声明を出している。Binance幹部やCEOが報道を否定する声明もあってか、足元では83万円台まで値を戻してきている。

Outlook

80万円の攻防

今週のBTC相場は底値を固める展開を予想する。前回は「中国本土などからのフロー期待で先回りして買ったものの続く投資家の買いを待ちきれず投げてしまう」状況が思った以上に長引き、それまでサポートだった200日移動平均線や半値押しとされた96万円を割り込んだ結果、「サポートがレジスタンスとして上値を重くしてしまっている」とした。しかし、中国からのフローはこれからが本番で、来年の半減期まで半年となった先高観から「相場が下がったところでの押し目買い意欲は根強く、相場の底割れはない」とし「底値を固める展開」を予想した。結果はBinanceの報道もあって91万円での底固めには失敗、今度は直近1か月の安値付近80万円を防衛線として底固めできるかが焦点となる。

バイナンスショックから立ち直れるか

22日の未明は中国Binanceや韓国Bithumbの上海事務所が警察の捜査によって閉鎖されたとの報を受け、BTCは急落したが、80万円を割れた水準では、すぐに買い支えられている。直近1か月の安値(10月24日)でも80万円割れでは支えられ、今年6月でも同水準で買い支えられ140万円台まで上昇している。閉鎖騒動がフェイクニュースとなれば、後述のポジティブ材料もあることから、今回も80万円でしっかり買い支えられよう。


12日時点でCMEのショートは7割近くに達する

そう考える一因はポジションの偏りにある。習発言を受けて投機筋がロングポジションを構築したが、買いが続かずジリジリ値を下げる展開に投げが続いていた。その結果、フィデリティーのNY州免許取得や元GSのノボグラッツ氏の富裕層向けファンド立ち上げ、更に香港人権法可決と中国の反発など米中協議の年内合意に黄信号が灯ったことなど買い材料にもあまり動意を見せなくなった。市場の目線が下方向に揃いつつある。こうした状況は先物の建玉にも現れている。上図のCMEのBTC先物の建玉を見ると直近ではショートの比率が7割に近づいている。この増加はショートポジションが増えているというよりはロングポジションが減る形によるもので、市場が弱気に傾いている様子が見て取れる。この数字は火曜日時点のものが金曜日に発表されるなど若干遅行することが難点であるが、おそらく最後のデータである11月12日から市場はさらに弱気に振れていると思われ、このショートが積み上がって来れば、ショートカバーを惹き起こすと考えている。

材料的にはポジティブなものが多い

材料的にも米中協議に暗雲が立ち込めたこともポジティブだ。詳細は別稿に譲るが、FRBのバランスシートも、2017年後半以降の圧縮幅の4割を9月以降のT-Bill買増しで復元している。中国も小幅ながら利下げを開始した。中国国営放送が仮想通貨を非難したがおそらくはICOを指していると推察される。仮想通貨とブロックチェーンを分けて考えようとする風潮も一部で見られるが、ブロックチェーンとそのオリジナルであるビットコインとは分けては考えられない。それ故、中国政府もBTCを学習プログラムに取り入れた訳で、そうして学んだ中のほんの一部でも新規に市場に参入して来れば、今のクジラなど吹き飛ばしてしまいかねない。

予想レンジ:80万~100万円


Altcoin


今週のアルトコインはBTCに連れ軟調な展開。中でもBCHの下げがきつかった。18日からで見るとBTC・ETH・XRPの下げが5%程度なのに対し、BCHは一時10%以上値を下げていた。これは、先週のHFで一時チェーンが分裂したことなどが嫌気されている部分もあろうが、それだけ下げても先月の習発言前の10月25日を基準にすると主要5通貨でBCHのパフォーマンスが一番となる。これは、習発言の後、中国銘柄の一つとみなされたことやBitmain社のIPO観測の再浮上などにより、BCHが下駄を履いていた分を吐き出しているイメージか。
上図はBTC建ての主要アルトコイン価格のヒストリカルボラティリティー(20日)の推移。BTCとどれだけ連動して動いているかが示されている。今年の前半には高い時で100%、低い時でも50%を少し割る程度のレベルだったが、直近では軒並み40%を切っており、ETHに至っては20%を切っている。Devcon、LTC Summit、Swell、HFといった各通貨固有のイベントを終え、材料難からBTCへの連動を強めている様子がうかがえる。

ETH:今週のETHは大幅下落。週初は比較的堅調に推移し、一時は20000円台に乗せていたが、その後はBTCの軟調な推移とともに再び20000円割れの展開。ドイツの航空会社がブロックチェーン基盤で航空チケットを発行し、決済をETHで行うというポジティブ材料はあったが、BTCの弱さに巻き込まれ、更にはBinanceの報によって17500円を割る水準まで下落した。


XRP:今週のXRPは軟調な推移。週の前半は28円台で推移していたが、半ばからはBTCについていく形となり、連れ安の展開。XRPウォレットサービスのゲートハブで個人情報の流出があったが、影響は限定的であった。週後半は閉鎖報道によって下落したが、他通貨ほど振らされることはなかった。


BCH:今週のBCHは軟調な推移。先週ハードフォークが実施され、その後は29000円前後で安定して推移していたが、週半ばから後半にかけては軟調に推移した。ロジャー・バー氏が会長を務めるBitcoin.comが2億ドルのBCHファンド「ビットコインキャッシュ・エコシステム・ファンド」を設立との報あり、若干強含む場面もあったが、中国系ヘッドラインに振らされやすいBCHは、閉鎖報道で24000万円まで大きく値を下げた。


LTC:今週のLTCは軟調な推移。LTC固有の材料は特段見当たらず、BTCについていく形となり、6500円をつける場面もあったが、その後は軟調に推移。他通貨と同様、週後半はBinanceの報で下落し、一時5500円割れの水準となった。


fxcoin weekly report 2019.11.22.pdf

松田康生 (まつだやすお)

シニアストラテジスト

東京大学経済学部 国際通貨体制専攻 三菱銀行(本部、バンコック支店)ドイツ銀行グループ(シンガポール、東京)を経て2018年7月より現職。 短国・レポ・為替・米国債・欧州債・MBSと幅広い金融市場に精通

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