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ビットコイン相場の年内最後の材料か?急ピッチで膨張するFRBのバランスシート

2019-11-26 19:07[ 松田康生

トピック 仮想通貨 暗号資産 ビットコイン

2019年のBTC相場を振り返ると様々な出来事があった。半減期を控えたLTCが年初の相場を引っ張り、3月には暗号資産関連法案可決などを機に日本の仮想通貨業界に明るいニュースが続いた。5月には米中摩擦が激化、6月に入ると米金融政策が緩和方向に舵が切られ始めた。リブラやBakktに対する期待も相場を後押しし、7月には150万円にあと一歩という水準にまでの急騰を見せた。しかしG20やG7、米議会公聴会などでの猛反対を経てリブラは実質後倒しを余儀なくされ、注目のBakktも期待された機関投資家参入の起爆剤とは程遠いスタートとなった。更に、大統領選挙を控え米中摩擦が落しどころを探る動きとなり、3回連続の利下げでFRBもいったん様子見と姿勢を見せる中、BTC相場も80万円近辺まで値を下げていた。中国の習主席がブロックチェーンを中核技術に据えるとの発言で急騰、しかし同時に詐欺的ICOに対する取締も強化され、足元では大きく値を下げている。

こうした重大事件の振り返りは別稿に譲りたいが、もう2019年の相場はこれで終戦なのだろうか。弊社ではまだ一波乱あると考えており、またそうした動きが観察されている。上はFRBのバランスシート(BS:青線)とBTC相場の推移だ。2012年9月から始まったQE3(量的緩和第3弾)により拡張を始めたFRBのBSは2013年12月に拡張のペースを減速、2014年10月に4.5兆ドルに達し終了した。その後は、保有債券の償還分のみ買い戻すオペレーションを続けていたが2017年10月からBSの縮小を開始した。しかし、その後、景気の鈍化や米中摩擦による不透明感もあり2019年8月に縮小を中止。逆に、短期金融市場におけるレポ金利の上昇を受け、10月パウエル議長は資産購入再開を表明、それから1か月強で2017年10月から2019年8月までの縮小分の約4割を復元している。このオペレーションをFRBは利付国債やモーゲージなどの長期債ではなく1年以内の短期国債を購入しているので量的緩和には当たらないとしているが、ベースマネー(≒中銀のBS)を増やし、その波及効果を狙うのが量的緩和なのであれば、このオペレーションで類似した効果が出ても不思議ではない。

では以前のQEによりどうした効果が出ただろうか。こうした人工的にインフレを惹き起こそうとするリフレ政策を採った場合、消費者物価というよりも資産インフレを引き起こしやすい傾向がある。日本のバブル経済はプラザ合意後の円高不況に対する金融緩和からの転換が遅れたため発生したという評価が一般的だ。法定通貨の価値毀損に対する逃避資産としての性格も持つ仮想通貨の場合、比較的堅調にその反応は観察される。上は前出のFRBのBSとBTC相場だの推移を前年比で表したものだ。これを見るとQEが始まると上昇を始め2013年12年にQE3が終了すると反落している。2017年もBSがじりじり拡大するに連れBTC相場も上昇したが、BS縮小開始と間を置かずBTC相場も急落している。今回のBS拡大がどれほどBTC相場に効いてくるかは不透明だが、12月前半はクリスマス休暇前に年末越えの短期金利が上昇しやすい季節でもあり、FRBの更なる資金供給とそれを嫌気した米ドル投資家からの逃避フローが期待される。

松田康生 (まつだやすお)

シニアストラテジスト

東京大学経済学部 国際通貨体制専攻 三菱銀行(本部、バンコック支店)ドイツ銀行グループ(シンガポール、東京)を経て2018年7月より現職。 短国・レポ・為替・米国債・欧州債・MBSと幅広い金融市場に精通

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