【第16回・最終回】 オプションディーラーの視点

2019-11-28 12:45[ SF

オプションディーラーの視点 仮想通貨 暗号資産 ビットコイン

巨大ピン7500ドルが突如出現


BTCオプション市場の動向
ビットコイン相場(対ドル)は11/25にかけて一時6520ドルまで下落するも、6500ドルトライに失敗すると、ショートカバー主導で持ち直す動きとなりました。現在は7500ドルを挟んで上下するなど、安値圏からわずか3日で「1000ドル」もの急騰劇を演じる結果となっております。この間、仮想通貨オプション市場では7500ドルストライクが急増し、当該ストライクの建玉(※下表は11/29、12/6、12/27に行使期日を迎えるオプションの建玉合計)は現時点で3630ドルに達するなど、最大ピン8000ドル(3861 BTC)に迫る勢いを見せております。

本稿では巨大ピン7500ドルについて、オプションディーラーの観点で、少しだけ深堀りしたいと思います。

7500ドル・ストライクはいつ頃作られたのか?
オランダの仮想通貨オプション取引所Deribitのデータを確認すると、7500ドルの建玉計3630 BTCの内、コールオプションの建玉は2110 BTC、プットオプションの建玉は1520 BTCであることが分かります(コールオプションの建玉がプットオプションの建玉を上回っている状態)。オプション市場では通常オプション料が低いOTM(アウトオブザマネー)で取引される傾向にある為、上記コールオプションの建玉は当該オプションがOTMになっている期間(※実勢相場が7500ドルを下回っていた11/21~11/27の間)に作られた可能性が高いと考えられます。つまり、7500コールオプションの巨大ピンは先週以降のBTC暴落時に作られたわけです。

また、当該7500コールを行使期日別に確認しても、明日の17時にカットオフを迎える11/29物の建玉が最も多いことが分かります。第1回目のコラムでお伝えいたしました通り、オプション取引におけるデルタ操作は、オプション買い手による「利食い」が先行し(タイムディケイの支払いを期日まで取り戻す必要性があるため)、オプション売り手による「損切り」が後手に回る(タイムディケイを受け取っている為、損切りするまでに余裕がある)傾向にある為、建玉が集中しているエリア(今回は7500ドル)はいやがおうにも注目されることとなります(行使期日に向けて巨大ピンが存在するエリアに吸い寄せられるマグネット効果が発生し易い為)。

まとめ
先週(11/22)も先々週(11/15)も、Deribitのオプションカット前後で相場が俄かに動意付きました。今週も7500ドルという巨大ピンに既に絡み始めており、ビットコイン相場が本日から明日にかけて膠着し、カットオフ前後で突如動意付くシナリオも想定されます。特に明日17時のカットオフでは、6500ドル~8500ドルのエリアに存在する多くの建玉(計10711 BTC)が一斉に落ちることから、オプション市場におけるガンマポジションが消失し、ビットコイン相場の値動きが想像以上に荒くなる恐れもあります。カットオフまで残り1日。ビットコイン相場の乱高下に注意が必要です。



SF

赤色メガバンクの市場部門出身。英国ロンドンでチーフFXオプションディーラー → 東京本部でFXマーケットアナリスト → FinTechベンチャーで取締役チーフアナリスト → FXcoinでPM(現職)。為替一筋17年。G10通貨・新興国通貨・仮想通貨まで幅広くカバー。日本経済新聞社やテレビ東京などマスメディアへの寄稿・出演実績多数。Twitter:https://twitter.com/HelloDerivative

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