2019.11.29【ビットコインは底入れしたか、見極めのポイントは?】

2019-11-29 14:49[ 松田康生

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Review

激しい値動き

今週のBTC相場は大きく下に行って来いの推移。週初は深圳で39の交換所が違法と特定されたことや、中国人民銀行による仮想通貨の取り締まり強化の発表を受け、7000ドル(76万円)近辺まで下落、週明けになってもその流れは止まらず7000ドルを割り込むと6500ドル近辺、日本円で71万円台まで値を下げた。その後、米中第一段階合意は近いとの報を好感してか、米株が最高値を更新、BTCも一時80万円台を回復した。韓国の交換所アップビットが53億円相当のハッキング被害を発表後は再び下落、一時75万円を割り込んだが、顧客資産に被害は出ないことと、みなし業者だったLastrootsに登録がおり同社独自のコイン、コバンが上昇するとBTCも切り返し、80万円近辺まで反発。更には米ドル・米株が上昇して、BTCも84万円台までつれ高となり、80万円超での推移が続いている。

Outlook

底は71万円だった

今週のBTC相場は上値余地を探る展開を予想する。前回は「直近1か月の安値付近80万円を防衛線として底固めできるか」と申し上げたが、Binanceショックに続いて、中国での取締強化もあって71万円まで底割れ。しかし、そこから2度の9万円の切返しで、一旦の底入れを印象付けた。すなわち、予想通り「底値を固める展開」だったが、その底の水準を見誤った形だ。これは検証したわけではないのだが、テクニカル分析がよく用いられる仮想通貨市場だが、テクニカル的にここを抜けたら勝負ありというレンジをブレークしたにもかかわらず相場が戻したり、常識的にはここら辺で止まるであろうという水準を平気でオーバーシュートしたりと、特に値幅に関してはテクニカルの常識があまり通用しないという印象を持っている。テクニカル的にはまだ底を打ったとは判断しかねるのだが、底値から10%前後のダマしはよくあるが、それを超えて15%反発すると25-30%程度まで反発するというBTC相場のクセから底入れをしたと考えている。

不思議な買い

底入れしたと考えるもう一つの理由が、今週の反発局面での材料だ。1回目は環球時報で米中の第一段階合意が近いとの報道で、これがリスクオンとなり米株が最高値を更新したという流れだ。ただ、今年の5月ころから米中摩擦の激化がBTCの買いで、緊張緩和は売りだったはずだ。確かに、今年の10大ニュースで解説しているように中国本土からの逃避フローは究極的には習体制の盤石度合いによるもので、不安の少ない現状では米中摩擦が激化しても逃避買いは出にくいし、緊張緩和はリスクオンで買いになるという理屈も分からないではない。しかし、少なくとも従来は売り材料だったもので買われている。2回目は韓国のアップビットのハッキングだ。Lastrootsの登録がどこまで効いたのかは不明だがハッキングで売られたが、岩か何かにぶつかったかのようにそこから反発した。これは、テザーの裏付けが不足していたことが判明、世界最大とされIEOで飛ぶ鳥を落とす勢いだったBinanceがハッキングされたという致命的な売り材料をこなして上昇した5月の相場に似ているのではないかと考えている。この不思議な買いの背景に、いよいよ中国本土からの買いが混じり始めた可能性もある。

南米危機の兆し

もう一つの材料は南米危機だ。水曜日、ブラジル(BRL)チリ(CLP)コロンビア(COP)の通貨が軒並み史上最安値を更新した。一足先に危機的状況に陥ったアルゼンチンも安値付近に張り付いており、同国の危機が周辺に飛び火している状況なのかもしれない。キプロス危機の頃とは仮想通貨市場の規模も違い、例えばベネズエラの危機程度ではあまり影響を受けないが、これだけの規模で通貨危機が勃発すれば話は別だろう。特に投資家は年末越えでリスクアセットを持ちたがらず、年末にかけて状況が好転するとは考えにくい。同じようにクリスマス休暇前に年末越えの資金繰りを固めようと短期金利は上がりやすく、FRBが資金供給を拡大する可能性が高い。別稿で述べた様にベースマネーの拡大はBTC価格にポジティブだ。更に来週はISM・米雇用統計と重要な経済指標が続くが、メインシナリオが利上げ見送りなだけに悪い数字には反応しやすい。香港人権法案署名で米中関係にひびが入ったこともBTCにはプラスと考える。

予想レンジ:80万~100万円



Altcoin


今週のアルトコインはBTCに連れ下に行って来いの展開。ディップの前後でLTCはほぼ横ばい、ETH・BCHは上昇、XRPは下落している。ETHはハッキングとその後の買戻し期待、BCHはロジャー・バー氏の1,000倍発言など個別の材料が作用したものと思われるが、XRPに関して目立った売り材料は見当たらない。
そこで出来高を見てみると興味深い動きが観察される。上は今年の1-3月の出来高を1とした直近2か月の各通貨の出来高推移だ。内紛の影響で1-3月の出来高が極端に少なかったBCHが目立っているが、それ以外は当時の2-3倍程度で推移している。習発言のあった10/26の近辺ではやはり出来高が増えていることがわかる。これで見ると11/25にXRPの出来高が異様に増加している。その前の1か月間の平均の5倍以上だ。この背景は今のところ分からないし、その後の不振にも影響を与えている可能性もあるが、一方でこの下に行って来いで出来高が大きかったということはSWELL期待で積み上がったロングが相当はけているか、突っ込み売りをしたショートがたまっていることが伺える。潜在的なXRPの上昇要因となる可能性がある。

ETH:今週のETHは下に行って来いの推移。前半はBTCについていく展開で14500円付近まで下落したが、その後16000円台まで回復。韓国の取引所でのハッキングを受け下落したが、顧客の資産に影響ないことを受け、下げ止まった。その後は、アメリカのスタートアップ企業がETHのブロック伝播時間半減に成功し、スケーラビリティの改善に繋がる可能性があるとの報もあってか、17000円付近まで上昇し、堅調な推移となっている。


XRP:今週のXRPは下に行って来いの推移。週初のXRPのトランザクション量が過去最高の404万に達したとの報には特段の反応なく、BTC安に連れられ一時22円台まで下落した。リップル社のマネーグラムへの出資が完了したとの報や、イギリスの送金企業がODLを導入するといったポジティブ材料出たが、反応は限定的であった。週後半はリップル社のCEOが「ODLが目指すのは2兆ドル市場」との強気の発言もあってか、一時25円台まで上昇した。


BCH:今週のBCHは堅調な推移。週初は堅調な推移となり、週半ばではBTCの下落によって連れ安となったが、すぐに元の水準(23000円付近)まで値を戻した。その後はもみ合いの展開続いたが、Bitcoin.comのロジャー・バー氏が「BCHは今から1000倍になる」との発言を受け24000円台まで上昇し、その後も底堅い推移が続いている。


LTC:今週のLTCは横ばいの推移。LTC固有の目立ったニュースがない中、他通貨についていく展開となり、BTCが71万円まで値を下げた際にLTCは4500円台まで下げたが、その後5000円台まで回復。韓国の取引所のハッキングの報道を受け、一時5000円割れとなったが、すぐに値を戻している。



fxcoin weekly report 2019.11.29.pdf

松田康生 (まつだやすお)

シニアストラテジスト

東京大学経済学部 国際通貨体制専攻 三菱銀行(本部、バンコック支店)ドイツ銀行グループ(シンガポール、東京)を経て2018年7月より現職。 短国・レポ・為替・米国債・欧州債・MBSと幅広い金融市場に精通

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