ビットコイン・オプション市場拡大のスポット市場への影響

2019-12-05 11:29[ 松田康生

トピック 仮想通貨 暗号資産 ビットコイン

今週はオプションディーラーの視点は休刊となります。下図は週次のストライクの増減、著者からは「建玉は先週末金曜日に落ちた後、殆ど動意が見られませんでした」とコメントがありました。その代わりではないのですが、本稿ではBakktやCMEのBTCオプション開始が市場に与える影響を考察したいと思います。



12月9日にBakktのBTCオプションが開始される。Bakkt Bitcoin (USD) Monthly OptionsがICE Futures U.S.に上場され。取引単位は1BTC。価格の判定はBakktの現物受渡翌日物先物でなく、限月先物となる。限月先物でも現物渡しは可能なようだが、今のところ実際に現物渡しを利用する投資家は稀と聞く。とはいえ、現物受け渡しが可能なオプションで、しかし判定に向けての価格操作に制限がない通常の現物市場ではなく、CFTCの監視下にあるBakktの先物を使うところが新しいといったところか。

  Deribit Bakkt CME
期日 週次 月次 月次
最長期間 9か月 3か月 6か月*
最小取引単位 0.1BTC 1BTC 5BTC
取引所 Deribit ICE Futures U.S. CME
判定日 毎週金曜日
東京17時
第3金曜日4営業日前
東部標準時17時
最終金曜日
ロンドン16時
対象 Deribit BTC先物 Bakkt BTC限月先物 CME BTC先物

*翌月、翌々月、3-6-9-12月のうち直近2四半期

一方で、CMEは来年1月13日開始を予定。こちらは先物に合わせて最小単位が5BTCであること、先物の流動性が高いことが特徴か。ちなみにSkewによればDeribitのOptionの直近半年の平均出来高がUSD34.7M。Deribitの先物の出来高や建玉とCMEの先物の出来高や建玉は似た水準(いずれもUSD100-200M)にあることから推測すると、CMEのOptionも似たような水準となるかもしれないし、逆にDeribitの先物の出来高がOptionのヘッジによる部分が大きいとすれば、CME先物の出来高が倍増する可能性もある。一方、成長途上のBakktに関してはOptionに関しても未知数といったところか。いずれにせよ、Option市場が1月以降、2倍以上の規模になる可能性がある。DeribitとBakkt、CMEが顧客を取り合う可能性も考えられるが、個人中心で小口取引が可能なDeribitに対し、BakktやCMEはある程度の機関投資家でないと参加できず、顧客層が異なる。

そこで、このOption市場の拡大がBTCのSpot相場に与える影響を考えたい。まず、Optionのストライクの影響が今以上に大きくなることが容易に想像される。弊社のオプションディーラーの視点がより重要となっていくのかもしれない。次に以前指摘したように先物市場の拡大は価格の下落要因である可能性がある。レバレッジをかけることにより流通量が増え、価格の重しとなる。CMEのBTC先物誕生がバブルのピークであったことにも、その影響が若干あったのかもしれない。感覚的に言えば、ショートから入りやすくなる訳だ。

ただ、もう少し細かく見るとそうではない気もする。BTC相場の需給構造は、実需であるマイナーの売りをスペックや投資家の買いがいかに消化するかだ。それ故、感覚的には下げるときはジリジリと下げ、上がる時は急になる(別稿によると、それは印象によるものだったが)。従って、出来高が増えれば、そうした売り圧力の緩和要因となるのかもしれない。もう少し感覚的に言えば、BTC市場でのヘッジ需要はマイナーの下のプット買いだ。そうしたヘッジが広まるにつれ、パニック売りが出にくくなる可能性がある。もしくは先物で売りヘッジを入れるよりは、OTMのオプションでヘッジした方がデルタは少なくて済む。あくまで想像の域を出ないが、来年の1月以降、BTC相場でオプションの影響を無視できなくなりそうであるとは言えるだろう。

松田康生 (まつだやすお)

シニアストラテジスト

東京大学経済学部 国際通貨体制専攻 三菱銀行(本部、バンコック支店)ドイツ銀行グループ(シンガポール、東京)を経て2018年7月より現職。 短国・レポ・為替・米国債・欧州債・MBSと幅広い金融市場に精通

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