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2018.9.28【アルトコイン回復、BTCは底堅いが上値重い】

2018-09-28 17:08[ 松田康生

Weekly Report 仮想通貨 bitcoin XRP Bitcoincash Litecoin Ethereum




Review

アルトコインに振らされる

先週のBTC相場は下に往って来いの展開、アルトコインの乱高下に振らされる形となった。2週間前にBTC底入れを予想したノボグラッツ氏がCNBCで年末までに3割上昇すると予想すると、76万円台後半に上昇したが、先週のBTCのアップグレードで解消されるまで大きなバグがあったことが伝わると上値を重くする展開。火曜日にXRPが急落、テックビューロへの3度目の業務改善命令発表時に当局から救済策の具体的報告がまだないと伝わると72万円を割りこんだ。その後、同社から月内に支援を受ける方針が示されると下げ止まり、MTGOX管財人による換金売りが完了していたこと、また日米での規制進展の思惑などもあり上昇するも74万円近辺で上値の重くすると、Bitmain社の上場申請でBCHが急騰しても反応は限定的となった。しかしGSがブロックチェーン関連企業への出資を発表、またICOjournalのETH NDF検討の報にETHが上昇するとBTCも76万円台に値を戻している。

Outlook

機関投資家の参入と規制の明確化の2つのテーマ

来週のBTC相場は上値余地を探る展開を予想する。機関投資家のニーズの高さやインフラ整備の進捗により底堅いが、規制面での進捗が遅れているので上値が重い展開と申し上げた。すなわち、7月の上昇でETFの承認やその背後にある機関投資家の参入がテーマとなり、9月初の急落で失った市場の信頼回復に向けた規制面での進捗がもうひとつのテーマになったと考える。Zaifのハッキングとその後の救済で市場が持ちこたえたのは、こうした不祥事に対して大手による救済という金融行政の形が見えた事やガバナンス面での進捗に期待したことも要因の一つにあったのではないか。SBI北尾社長が厳格な自主規制の適用を急ぐとしアメリカでも大きな規制関連の会合が開催されたが、大きな買い材料とまではいかないまでも、市場は概ね好意的に受け止めている。これは良くわからない理由で時価10兆円を超えるBTC市場が1日に1割以上暴落する、いわば儲かれば何をしてもいいといった市場では、いくらインフラ整備をしても機関投資家は本格的には入ってこない、必要なのは明確なルール作りだという認識が浸透していることを示していると考える。

3つ目のテーマに実用性の拡大が浮上

加えて先週来のXRPの急騰は実用面で次のステージに移行する期待感を背景としており、実用面での進捗がもう一つのテーマとなったと考える。JPモルガンがイーサリアムベースのブロックチェーン技術を応用して自前で立ち上げる送金プロジェクトにみずほ銀行・三井住友銀行・りそな銀行を含む75行が参加するとWSJは伝えた。一見すると来月からのxRapid実用化すなわち海外送金への実用開始で盛り上がるXRPにとってライバルの登場を意味する。しかしXRP相場は反応せず、むしろ仮想通貨全体でこの材料を好感した。このことが示しているのは、xRapidによって(もちろん今までも一部では利用はされていたが)ようやく待ちに待った仮想通貨の決済利用が始まる、すなわち仮想通貨の次のステージへの移行に関してXRPが口火を切ったという高揚感が背景にあると考える。すなわち、最終的に生き残るのがXRPかステラかJPMのシステムか、BTCかBCHかLTCかという前に仮想通貨が本当に実用され始めることに注目が集まっていると考える。ここに、実用性の拡大がもう一つのテーマに浮上したと考える。

伝達機能と決済機能

因みに、海外送金におけるブロックチェーン技術と仮想通貨の利用に関して少し掘り下げると、海外送金には2つの作業が必要で、一つは資金の決済、もう一つは送金指図だ。現在は資金の決済は銀行を経由して、各銀行が海外の銀行に保有するノストロ口座間で資金決済する。一方で、送金銀行は受取銀行にだれだれさんからだれだれさんに幾らの送金がありましたと伝えると同時にノストロ口座を保有する銀行に支払い指図を送る。このいわば電子メールのようなものにSWIFTは使用されている。ただの電子メールと言っても国際間の銀行口座の支払いなので間違いや改ざんがあってはいけないし、障害も許されない。そこで改ざんが難しいブロックチェーン技術を用いてこの伝達機能を代替するのが従来のxCurrentでブロックチェーン技術を利用しているだけで仮想通貨は登場しない。資金決済は従来通りノストロ口座を利用するが、支払い指図がSWIFTnetからRippleNetに替わるだけだ。これに対しxRapidは前者のノストロ間の資金移動を銀行間でXRPを送金することで代替してしまうもので、ここにでようやく仮想通貨が登場する。JPMのプロジェクトはおそらくは前者のSWIFTに替わる伝達方法を代替しようという動きと推察され、そういう意味では1週先を走っているXRPが反応しないのも道理かもしれない。因みにxRapidを利用してもXRPの需要が伸びるか疑問で、銀行を通さない企業間決済に利用されて初めて爆発的な需要が見込めるという点に関して詳しくは入門アルトコイン XRP編をご参照いただきたい。

底堅いが上値は重い展開が続く

上記の様に機関投資家参入のインフラ整備の進捗により底堅いが、規制の後倒しにより上値が重い展開が続こうが、来週注目のSWELL等で実用面で一段の進捗が見せられるならば、市場は若干の上振れも考えられる。来週のB|TC相場は底堅いが上値が重い展開が続こうが、レンジを若干切り上げるのではないかと見ている。但し、本格的な回復は規制の方向性が判明する11月以降という見方は不変。

予想レンジ BTC 70万円~85万円

Altcoin

ETH:相変わらず上値の重い展開。XRPに一時時価総額で抜かれ3位に転落するも、その反動か再び2位に返り咲く局面で28000台に上昇するも上値の重い展開。XRPの急落に連れ安となると24000円を割り込んだ。共同創業者のジェフ・ルービン氏がCNBCで仮想通貨はお金の進化の自然な流れと発言するとようやく下げ止まるも24000近辺での揉み合い推移を続ける。米著名アナリストで今月初めにETHに弱気な見方を示していたトム・リー氏が強気な見方に転じたと伝わるとBCHの上昇もあり値を回復、ICO JournalでGSがBTCに続きETHのNDF提供開始を検討すると報じると26000円を回復した。同氏が指摘するように市場はETHに悲観的になり過ぎているきらいはあり、アルトコインの回復の中でショートカバーも期待されるが、需要の先食い(払い込みでETH買い、プロジェクト側の開発資金のETH売り)的な性格のあるICOが今年前半に集中し、足元では急速に細っている状況下、戻りは限定的か。

XRP:xRapid来月リリースにより実用化が新たな段階に進むとの期待感から80円近辺まで急騰したXRPだが、共同創業者のジェド・マカーレブ氏がXRP売りを加速させているとのWSJ報道もあり50円近辺まで急落、東京で開催中のFINSUM2018で北尾SBI社長がリップルとR3との和解を後押したと匂わせた事もあり下げ止まると、米大手交換所コインベースが取扱通貨選定方法を見直すことがXRP取扱開始に繋がるとの見方もあり急騰、60円台に値を戻した。その後もナスダックが来年開設する交換所でXRPの取扱を検討しているとの報道やクリントン元大統領の基調演説で話題のカンファレンスSWELLの開催を来週に控え、堅調な推移が予想される。

BCH:週初は55000を挟んでの揉み合い、XRP急落を受け50000円割れに値を下げるが、MTGOX管財人が260億円相当のBTC・BCHの売却を完了していたことが伝わると大口の売り圧力が去ったとの見方もあり下げ足を弱める展開。ハッキング事件のZaifを運営するテックビューロ社への3度目の業務改善命令発表時にフィスコ社からの金融支援に関して当局に具体的な報告がなされていないと伝わると値を下げるも、同社から救済策に関しては月内具体化を目指して作業中で顧客資産は補償される方針が発表されると下げ止まった。その後、BCHを支援するBitmain社が香港に上場申請をすると1日で2割近く急騰、さらに中国メディアがBCHの発行量の6%を保有する同社の株式は実質的にBCHのETFの性格を持ち、機関投資家のBCH投資に道を開くとすると更に1割程度の急騰を見せた。公表された資料では同社の収益力の強さが注目された一方で保有する仮想通貨の時価評価が不十分との指摘や在庫が積みあがっているのではないかという懸念も指摘されている。それらの影響を除いても強い収益成長率を保っており、同社の躍進がBCH相場をけん引するとの認識が持たれたことで、同社が支持するBitcoin ABCに対抗すれば結局BCHの価格を毀損する結果に繋がりかねないとの見方が分裂騒動沈静化に資するのではないかと見ており、当面は堅調な推移を予想する。

LTC:週初にBTCの隠れた脆弱性が修正されたと伝わると、LTCにも同様な問題があるという見方もあり軟調に推移したが、創始者チャーリー・リー氏から過半数のノードがアップグレードを完了したと伝わり下げ止まりを見せた。その後はアルトコインの回復にやや遅れてついていったが、木曜日の2回目のBCH急騰にショートカバー気味に急騰を見せると、ウィンクルボス兄弟が運営する交換所GeminiでLTCを10月13日より取扱開始するとの報に7000円台半ばまで値を戻している。

Calendar

10月1-2日 Swell2018 クリントン元大統領が登壇するXRPカンファレンス(サンフランシスコ)
10月3日 「仮想通貨交換業等に関する研究会」(第6回)
10月3-4日 CFTC 第1回FinTechカンファレンス
10月5日 CFTC Technology Advisory Committee to Meeting


FXcoin Weekly Report 2018.09.28.pdf

松田康生 (まつだやすお)

シニアストラテジスト

東京大学経済学部 国際通貨体制専攻 三菱銀行(本部、バンコック支店)ドイツ銀行グループ(シンガポール、東京)を経て2018年7月より現職。 短国・レポ・為替・米国債・欧州債・MBSと幅広い金融市場に精通

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