2019.12.13【動意の薄いビットコイン、チャイナマネーに期待か】

2019-12-13 14:01[ 松田康生

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Review

上抜けには材料待ち

今週のBTC相場は軟調な展開。週末の米雇用統計は強い結果となり、長期金利上昇、ドル買いで金価格などは急落したが、BTC相場はむしろ米株の上昇を好感したか80万円台を回復。しかし、目立った材料のない中、7500ドルのオプションストライクの影響を受けると値を下げたが、イスタンブールの成功や香港デモの影響もあってか値を戻した。週半ばにはBinanceのIEO銘柄であるMaticが7割の暴落したこともあり、上値が重い展開、その後はジリジリと値を下げ、軟調なBTCに対し、米株などは切り返しておりBTCの地合いの悪さが目立った形となった。その後は米FOMC、英総選挙、米関税引上げ期日などイベントを控え様子見姿勢が強まり、動意の薄い展開だったが、76万円台で切返しを見せており、レンジを切り下げる動きには歯止めが掛かり、引き続き材料待ちの相場となっている。

Outlook

強かった米雇用統計

今週のBTC相場は底値を探る展開を予想する。先週は、投資家心理を冷やした中国の取締強化はデジタル人民元詐欺の横行を見かねたもので市場は悲観的になり過ぎているとし、市場ではFRBの3回の予防的利下げで米不況入りは回避されたという見方が優勢で、直前のADP民間統計が示唆する様に本番の雇用統計でも弱めの数字が出れば衝撃が走るとして「底堅い展開」を予想した。しかし、金曜日の雇用統計は予想以上に強く、木曜日のFOMCでは金利が据え置かれただけでなく、ドットチャートで2020年一杯の据え置きが示唆されたことに市場は「利上げ」がないとしてドル売りで反応した。


いよいよチャイナマネー復活の兆し

では、中国からの買いも不発だったかといえばそうとも言えない様だ。上は人民元建てステーブルコインQcoinがBTC取引に占める割合とボリューム。中国からのフローを全て把握出来ている訳ではないだろうが、中国本土以外でQCを経由してBTCを購入する人はいないだろうから、ある程度、中国本土からのフローの傾向を推測できるものとして注目している。上図でも、対米弱腰を非難された習近平が、それまで積み上げてきた米中貿易協定案をひっくり返し、これに激怒したトランプ大統領が関税を引き上げた5月頃から増加を始め、7月にピークを迎えたが、同氏が北戴河会議で巻き返し政権が安泰となるやピタッとフローが止まっている。中国からのフローが今夏の急騰急落劇を演出した証左だ。弊社では10月の習発言の影響として、ブロックチェーンを学習する何千万人もの中国エリートのうち一部がBTC購入に走るだろう、しかし勉強を始めてから、合法的な取引方法など情報を収集し、口座を開設して、実際にBTCを購入するまでにはタイムラグがあり、これを待ちきれない投機筋が先回りして購入したロングポジションを投げ売りしていると推測していた。まだ数日間の現象で予断は許さないが、足元のQCのボリュームの急増はいよいよ中国からのフローが始まった可能性を示唆している。

投資家のフローにも期待感

このところ売り材料にも買い材料にも反応し難い相場展開が続いているが、投機筋などのフローが中心となっていることが背景にあると考えている。先月末に巨大化した7500ドルのオプションストライクが解消、一旦上抜けをトライするも失速すると、再度、下値をトライしたが76万円台でショートカバーを惹き起こした。その後、77万円台に値を下げたところでは生き残ったショートの買戻しが優勢となり、その買戻しが一巡すると今度はショートカバーを警戒しつつジリジリと下値トライを再開している状況だ。このまま投資家の買いが入らなければショートカバーの記憶が薄れるに従い、いつ底抜けしても不思議はない状況だ。しかし、上記の通り中国からの買いの兆しが見え始め、また米欧亜でほぼ同時にBTC投信がスタート、新たな投資家の取り込みも徐々に拡大している。その証左にBTCを保有するアドレスが過去最高を更新している。投機筋が売り込んだところで、何か固い地盤に跳ね返される、そうした展開をイメージしている。

予想レンジ:70万~100万円



Altcoin


今週のアルトコインはほぼBTCに連れ安の展開。イスタンブールのハードフォークが無事成功したETHが週央にかけて堅調だったが、共同創始者ジョセフ・ルービン率いるETH関連アプリ開発のコンセンシスのリストラ報道を嫌気して最終的には値を下げている。
上は、BTCと主要アルトコイン4通貨との相関係数の推移だ(DATA:Bloomberg)。勿論、それぞれ相関性は高い。中でもBCHが高いのは当然だろうが、ETHも同じくらい相関が高い。BTCプラスワンとして逃避通貨として注目されているせいだろうが、別稿で紹介しように、それならば相関性が若干低いXRPをプラスワンとして保有した方がポートフォリオ理論上は優れている。また、LTCは半減期という独自の材料で乱高下した結果、年央にかけて相関性が低下している。
この相関係数がここ数週間上昇、全通貨0.8台半ばに達している。ここまで全通貨が相関性を高めることも珍しく、各通貨特有の材料や値動きが少なかったことが今週の特徴か。因みに、参考までに。この相関係数が唯一いずれも0.9を上回ったのが急騰が始まった4月2日だった。

ETH:今週のETC相場は軟調な推移。週前半はETHのハードフォーク(イスタンブール)の成功もあり、堅調に推移し、16000円台で推移。その後はBTCに連れ、じり安の展開となったが、ETH開発企業コンセンシス創業者のジョセフ・ルービン氏が「インドとフィリピンのオフィスを閉鎖する」との発言もあってか、ETHは一時15500円を割る展開となったが、直ぐに値を戻している。


XRP:今週のXRP相場はほぼ横ばいの推移。週開けに仮想通貨取引所のLunoがマレーシアでXRPを上場したことを好感してか、一時25円台まで上昇。その後は特に材料無く、BTCに連れ安となり、23円台まで下落した。総じて狭いレンジでの推移となり、足元では週初と同水準となっており、ほぼ横ばいの推移となった。


BCH:今週のBCH相場はほぼ横ばいの推移。週初にオーストラリアの小売店での仮想通貨決済でBCHが9割以上を占めるとのレポートや、ウー・ジハンがBitmainのCFOに返り咲くとの報があったが相場への影響は限定的であった。他通貨動揺に狭いレンジでの推移となり、22000円台での推移が続いている。


LTC:今週のLTC相場は狭いレンジでの推移。特段、LTCに関する材料がない中、BTCと同じような推移となり、週後半にかけて軟調に推移した。先週末にはLTCのマイニングパワーが今年最低値を記録したとの報道もあり、地合いが悪い展開が続いている。



fxcoin weekly report 2019.12.13.pdf

松田康生 (まつだやすお)

シニアストラテジスト

東京大学経済学部 国際通貨体制専攻 三菱銀行(本部、バンコック支店)ドイツ銀行グループ(シンガポール、東京)を経て2018年7月より現職。 短国・レポ・為替・米国債・欧州債・MBSと幅広い金融市場に精通

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