2019.12.20【急反発のビットコイン、柳の下に鯲はいるか?】

2019-12-20 19:16[ 松田康生

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Review

中国の詐欺集団

今週のBTC相場は下に行って来いの展開。週末の米中第一段階合意を好感して米株式市場が連日の史上最高値を更新する中、BTC相場もリスクオンでのレンジ上抜けをトライするも上値が重い展開が続いていたが、6月頃に摘発された中国の仮想通貨詐欺事件で逃げ残ったメンバーが詐取した仮想通貨を売却しているというChainalysisのレポートを嫌気し7000ドルを割り込むとErisXの現物渡先物の開始やフィデリティの欧州でのサービス開始など好材料あるもずるずる値を崩し、ブレイナードFRB理事がBTCの利用者の1/4は違法と酷評すると前回安値の先月の安値71万円を一時割り込んだ。しかし、その水準で達成感が出たせいか買戻しが優勢となると81万円までの急反発を見せた。その後、詐欺集団のウォレットから110億円分のETHが移動したと伝わると反落するも、その後は横ばい圏での推移を見せている。

Outlook

底値を探った1週間

今週のBTC相場は堅調な推移を予想する。先週は、このところ売り材料にも買い材料にも反応せず投機筋のポジションに左右される展開が続いており、いつ底割れしても不思議ではないが、中国を中心に投資家のフローが戻る兆しもあり、底値を探る展開を予想した。実際、相場は7000ドルを下抜け、71万円を割れたところで底値を付け急反発し、まさに底値を探る展開だったが、思った以上に値動きが荒い1週間だった。

中国からは売り?買い?

相場の展開は想定通りだったが、そのきっかけは意外なものだった。PlusTokenという中国の詐欺集団が詐取した大量のBTC・ETHを売り払っているとういものだ。彼らの説明によれば、仮想通貨を用いたネズミ講の払い込みで4月から5月にかけて相場が急騰し、同関係者が逮捕された6月25日以降相場がピークアウトしたのもその影響だというものだ。上はBTC相場と中国からのフローと推察されるQC(人民元建てステーブルコイン)によるBTC出来高だ。確かに4-6月の上昇相場を中国からのフローが支えたことを示している。但し、6月の関係者逮捕後も1か月程度高水準を維持しており、この相場を全て詐欺事件で説明するのには無理がある。また、詐欺集団は出来るだけ足がつかない様に複雑な換金方法を採っていると思われ、足元のQCの増加はやはり中国からのフローが復活し始めている兆しと捉えるべきだろう。

もう一段のショートカバー

足元の相場は11月25日前後の相場と酷似している。上記の詐欺集団の大量の売りやIBMの量子コンピューターの日本持ち込みなどを受けてもBTC相場は崩れなかった。詐欺集団の話などが一般に出回れる時にはそうした材料は陳腐化している場合が多い。近いうちに反発後の戻り売りがショートカバーを惹き起こす可能性があろう。

予想レンジ:70万~100万円

Altcoin



今週のアルトコインはほぼBTCに連れ安の展開だったが、相場が下がる局面ではアルトコインがBTCより激しく値を下げ、逆にBTCが買戻される局面ではアルトコインはついてこれず、結局、BTCより1割近くアンダーパフォームする展開となった。BTCの下落のきっかけとなったのは中国の詐欺事件で逃げ残っているメンバーがBTCとETHを売っているというChainalysisのレポートだった。また、BTCの反発後に上値を抑えたのは、そのウォレットから110億円相当のETHが移動されたことだった。しかし上記を見る限り、詐欺集団は主にBTCとETHを集めたとされ、彼らに売られているはずのBTCが最もパフォーマンスが良く、大きく被害を受けているはずのETHもアルトコインの中でのパフォーマンスは劣後していない。これは詐欺集団の話がヘッドラインとして売り材料となったが、実際には大して売りは出ていないか、影響は限定的だったか。個人的には前者だと考える。そんな極秘情報が一般に回ってくるはずがないし、効率的市場仮説によれば公表された情報は瞬時に市場価格に織り込まれる。むしろ、その材料で投機筋が売り込んだ分、ショートカバーを惹き起こしているのではないかと考えている。19日にETHの売り観測が浮上しても相場は殆ど崩れていないし、その際に積み上がったショートが来週どこかで吹き上がるのではないかと考えている。

ETH:今週のETC相場は軟調な展開。週前半にはフィデリティが需要があれば来年にもETHのカストディなどのサービスを始めるとしたことが好感されたが上値が重い展開を続けていたが、中国の詐欺集団の残党がネズミ講で集めたBTCとETHとを水面下で処分しているとのレポートを受け、ETHが下落、仮想通貨全面安の展開を主導した。更に英老舗交換所コインフロアがETHを取扱停止にしたこともあり13000円近辺まで値を下げたが、BTCの反発もありETHも反発、しかし詐欺集団がETHを110億円移動したとの報に再び上値を重くしている。

XRP:今週のXRP相場は軟調な展開。XRPとしては比較的好ニュースが続いたが、BTCやETHの下落に長らく守っていた20セントのサポートを割り込み、一時は円ベースで20円を割り込む場面も見られた。その結果、20セントがレジスタンスとして上値を重くしている。一方、消費者金融保護局(CFPB)が初めて公式文書でXRPに言及した。従来からIMFや世銀などは金融包摂と搾取防止の観点からXRPなどによる送金に期待を寄せていたが、XRPと公言することはなかった。これはXRPの普及やロビー活動が成功している証左と同時に、デジタル人民元への一つの反応としてホワイトハウスが米国産トークンを意識し始めている可能性もある。

BCH:今週のBCH相場は軟調な展開。アルトコイン中でBTCとの相関性が高いBCHだが、今回はBTCに大きく劣後した。BitgoがBSVのサポートを止めることが不安にさせたせいか、またはカナーンのADR(米預託証券)が上場以来4割値を言下げたという報に、Bitmainの米国上場に黄色信号を灯したとされることを嫌気したか。

LTC:今週のLTC相場は、目立った材料が無い中、BTCに連れて上下する展開。アルトコインの中では比較的堅調だったがBTCには大きく劣後している。

fxcoin weekly report 2019.12.20.pdf

松田康生 (まつだやすお)

シニアストラテジスト

東京大学経済学部 国際通貨体制専攻 三菱銀行(本部、バンコック支店)ドイツ銀行グループ(シンガポール、東京)を経て2018年7月より現職。 短国・レポ・為替・米国債・欧州債・MBSと幅広い金融市場に精通

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