仮想通貨にSwap市場が必要な理由 - 実需取引拡大に不可欠

2019-12-20 20:32[ れんぶらんと

金融リテラシーのお話 仮想通貨 暗号資産 リップル

1.Swap市場があれば、将来のレートを固定することができる。
2.レートを固定できれば、外国送金などの実需取引に使用できる。
3.企業のキャッシュマネジメントや貿易金融にも用途が拡大する。
4.多様なプレーヤーの参入により相場が安定する。


当方は仮想通貨の実需取引拡大にはSwap市場の創設が必要と考えています。当欄でその理由について説明します。

1.Spot取引とSwap取引 - Swapは将来のレートを固定するために使われる

金融市場においてSpot(スポット)取引という言葉を使う場合は、約定日から近い日(通常2営業日以内)において決済を行う取引を意味します。外国為替の場合を例にすると、以下のような取引で、よくニュースなので「本日のドル/円相場は108.00です」といわれているのは、このSpot取引におけるレートです。

< Spot取引 >
(a) ドル買いUSD 1,000,000/円売り レート:109.25 決済日:2019年12月20日

一方で、Swap(スワップ)というのはもともとは「交換する」という意味の英語ですが、この言葉が金融市場で使われる場合は、同じ資産において異なる決済日の2つの取引を同時に約定する取引を意味します。外国為替の場合を例にすると具体的には以下の(b)(c)の約定を同時に行う取引です。

< Swap取引 >
(b) ドル売りUSD 1,000,000/円買い レート:109.25 決済日:2019年12月20日
(c) ドル買いUSD 1,000,000/円売り レート:109.00 決済日:2020年1月20日

つまりこのSwap取引を約定した企業は、近い決済日でドルを売り、将来の決済日でドルを買うことになります。

Spot取引とSwap取引を同時に行えば、将来の売買のレートを固定することができることができます。これをForward(フォワード)取引、または為替予約といいます。

< Forward取引 >
(a) ドル買いUSD1,000,000/円売り レート:109.25 決済日:2019年12月20日
(b) ドル売りUSD1,000,000/円買い レート:109.25 決済日:2019年12月20日
(c) ドル買いUSD1,000,000/円売り レート:109.00 決済日:2020年1月20日

ここで注目すべきは、(a)と(b)は売買の方向は逆ですが、同金額、同決済日であるということです。これは金融市場の世界では「相殺」、つまり消去できることを意味します。この場合、(a)と(b)は消去され(c)だけが残ることになります。つまり将来(2020年1月20日)のドル買いレートを固定できるわけです。

このようにSwapがあれば将来の取引レートを固定できるのです。

なお、1日に6.5兆ドルの取引量があり、仮想通貨と似ている部分が多いといわている外国為替は全体の取引のうち50%がSwap取引で15%がForward取引です。一方で仮想通貨は1日の取引量が390億ドルですが、ほぼすべてがSpot取引です。

2.外国送金とSwap取引 - 契約に基づく企業間取引ではSwap取引は必須

Swapがあれば将来の取引レートを固定できることはわかりましたが、そうなると何ができるのでしょうか?

具体例として日本の企業が資金をタイの企業にタイ・バーツ(通貨記号はTHB)をTHB 1,000,000送金する場合を考えてみます。これが通常の銀行経由の外国送金であれば、企業は取引のある送金銀行と「為替予約」を約定することによって将来のレートが固定できます。

下の図の例だと、送金企業は送金企業と「為替予約」を約定することによって、1か月後に3,500,000円用意すれば、THB 1,000,000タイの受金銀行に送ることができます。

送金銀行が為替予約のサービスを顧客である送金企業に提供できるのは、外国為替のSpot市場とSwap市場において、カバー取引(相場変動リスクをヘッジする取引)を行っているからです。

これが、仮想通貨ではどうでしょう。送金おいて有利と言われているリップル(通貨記号はXRP)を使う例を考えてみます。

下の図を見れば明らかですが、仮想通貨にはSwap市場がないため送金仮想通貨交換所は為替予約のようなサービスを提供できません。企業が仮にSpot取引だけでXRPを購入して保有していたとすると、実際の決済日には相場が変動して予定していた金額が送金できず不足する可能性がでてきます。当日になるまで送金で必要になる金額がわからないと資金繰りの計画を立てられないので、企業にとって使い勝手が悪いわけです

3.仮想通貨にSwap市場ができれば - 使われ方が多様化し相場も安定する

Swap取引を行うことのできるSwap市場があれば将来の取引レートを固定できることはわかりましたが、そうなると何ができるのでしょうか?

仮想通貨による送金は、従来の円やタイ・バーツなどの法定通貨の送金と比べて、安価でスピーディであるため、企業だけではなく、個人でも使いやすくなります。加えて、グローバル・キャッシュマネジメントや企業の資金調達の多様化、トレード・ファイナンスなど、様々な用途の実需取引において仮想通貨が使われることになると考えています。

さらに、将来的には機関投資家による仮想通貨市場参入が予想されます。金融資産に対して中長期投資を行う機関投資家にとって、ヘッジ手段となるSwap取引は重要な役割をはたすことになります。

そして最後にポジティブな作用ですが、仮想通貨にSwap市場が創設されれば、実需取引における仮想通貨の使用が拡大することになります。これは、投機中心であった仮想通貨市場に、多様な目的を持ったプレーヤーが参入すること、つまり市場参加者の多様化を意味します。

市場参加者の拡大と多様化が促進されれば、相場が安定するのが金融市場の常であるため、仮想通貨にはSwap市場が必要だと考えられます。

れんぶらんと

17世紀に活躍したオランダの画家レンブラント・ファン・レインの作品をこよなく愛する自称アーチスト。 1980年代後半のバブル期に株式および外貨資産投資を始め、いい思いをしてから投資の世界にどっぷりつかっている。

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