ビットコイン1万ドル割れの真相:CMEの窓埋め説に潜む勘違い

2020-02-12 15:37[ 松田康生

トピック 仮想通貨 暗号資産 ビットコイン

ファンドストラットのトム・リー氏は昨年5月、BTCが1万ドルに乗せるとFOMO(Fear Of Missing Out:取り残される恐怖)を呼び起こし、買いが買いを呼ぶ相場が到来するという見解を示し、実際同氏がフォロワーに行ったアンケートでも1万ドルが半数近くを占めた。しかし、日曜日に1万ドルに乗せたBTC相場だが、翌月曜日に反落すると9700ドル台まで約500ドルの下落を見せた。そして、その後切り返して最高値を更新したが、ここにきて急落の要因の一つとしてCMEの窓埋め説なるものが出回っている。即ち、BTC先物が先週金曜日の引け値9855ドルから月曜日のオープン10200ドルまで窓を開けたため、相場が窓埋めをすべくいったん下げて戻ってきたという説明だ。

この話にはもう少し深い背景があって、昨年12月末にMarket Scienceが” CME Gap Study”として発表したレポートで、CMEの先物が開始された2018年12月以降の105週において、窓が埋まらなかったのは5回だけで95%が窓埋めに成功しており、また76%が1週間以内(金曜日のクローズまで)に窓を埋めているというものだった。ここで少し「窓」というものを説明する必要があろう。海外ではGapないしGap Start(Open)と呼ばれているもので、ロウソク足のチャートの前後に隙間が開くことを指します。分かりやすく言うと、例えば相場が上昇していて、前営業日のクローズより翌営業日のオープンが高いことを示している。それで窓を埋めに行くとは、相場が一旦前営業日のクローズまで下げることを指している。CMEの先物は土日は休場しているので、そうしたギャップが生まれることになる訳だ。

24時間365日取引が可能な仮想通貨市場にいると、このクローズとオープンのギャップという概念は分かりにくいかもしれないが、主に株など取引所で取引されているプロダクトの場合、通常、取引所にはオープン時間とクローズ時間があるから、クローズ価格と翌朝のオープン価格とにはギャップが発生するのが通常だ。上記の「相場が上昇していて、前営業日のクローズより翌営業日のオープンが高い」ため「ロウソク足のチャートの前後に隙間が開く」という説明は正確ではない。翌日のオープンが前日のクローズと同じでない限り、必ずギャップは発生している。即ち、窓を開けたか否かはどのスパンのロウソク足で見るかによって異なってくる訳だ。日足では窓を開けているが、週足では開けていないといったことも有り得る訳で、そこをきちんと認識している為替のスポットディーラーは窓の話をするときは必ず、日足なのか週足なのか1時間足なのかきちんと明示してくれる。

そこで上記のMarket Scienceの場合、すべてのケースを対象にしているようだった。そして、全105週のうち95%の窓が埋まっている、7割以上が1週間以内に埋まっているという話だった。95%と高確率なら窓が開いたら埋めに行くポジションを取ればいいのだと考えがちだが、それをやると残り5%で手痛い目にあいます。そもそも、この95%、76%という数字は高いと言えるのでしょうか?そうした疑問から、同じく土日の間だけ取引をお休みする為替と比べてみました。Bloombergの週足のデータから手元で計算すると、同じ期間(2017/12/22-2019/12/30)の105週間でドル円の場合、窓が埋まらなかったケースは1度もなく、1週間以内に埋まらなかったケースも2019年5月3日から6日の1回だけでした。先の数字でいうと、仮想通貨が全期間で窓埋めが95%、1週間以内で窓埋めが76%だったのに対し、ドル円は100%、99%だった訳です。それはドル円がレンジ相場だったからでしょう、という声も聞こえてきますが、まさにそこがポイントで、その期間のレンジ内に収まっている限り、いずれ一度着た水準には戻って来ます。何が言いたいかと言えば、窓を開けたら機械的に窓埋めに期待するポジションを取るというやり方は、言い換えると天井かド底でない限りいつかは利食えるチャンスが来ると言っているのに近く、確かにそうだけど、もし天井かド底だったらどうするのだとか途中の含み損を無視した議論な訳です。

更に言えば、通常、窓埋めのセオリーは「調整は窓埋めまで」などといった使われ方をしていて、窓埋めそのものよりも反落・反発がどこで終わるのかという目安として使われるケースが多いという印象を持っています。即ち、今回のBTC相場でいえば9850ドルから10200ドルで窓を開けたので、窓埋めを期待してショートを振るのではなく、反落を始めたら下値の目途は9850ドルとみて、9800ドル付近で押し目買いをするというのが、今回の窓埋め戦略としては正解だったと言えると思いますし、それも所詮は後講釈の類で、逆に窓埋めを知っていたところで、相場の答えはないというところなのでしょう。

松田康生 (まつだやすお)

シニアストラテジスト

東京大学経済学部 国際通貨体制専攻 三菱銀行(本部、バンコック支店)ドイツ銀行グループ(シンガポール、東京)を経て2018年7月より現職。 短国・レポ・為替・米国債・欧州債・MBSと幅広い金融市場に精通

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