2020.03.19【株式市場・ビットコインの底入れはもう近い】

2020-03-19 17:14[ 松田康生

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Review

底入れ近い

今週のBTC相場は横ばいの展開。週初に米非常事態宣言で500億ドルの財政支出が決まり、米株が史上最大の上げ幅を更新したが、スペイン首相夫人が感染、フランスが全土で店舗閉鎖するなどで上値を抑えられる格好。その後、FRBの1%の緊急利下げ、ゼロ金利入り、量的緩和再開とフルセットの対策を打ち出したものの、日銀はマイナス金利深掘りを見送り、更に米大統領が不況入りを示唆、NYダウが史上最大の下落幅を更新する中、BTC相場は上値の重い展開が続いた。先週からGoogle検索でBitcoinが急増、また中国のOTC市場でBTC価格にプレミアムが乗るなど押し目買い需要が見られていたが、イタリア10年債金利が3%へ急上昇、欧州株も続落すると55万円割れまで売り込まれたが、ECBが緊急声明を出したこともあってか、BTCも58万円台まで値を戻した。その後も米株や原油が値を下げる中、BTCは若干下押しするも比較的底堅い値動きを見せている。

Outlook

パニック売りは一段落

今週のBTC相場は底堅い展開を予想する。前号では予想外のコロナ感染拡大の速さが歴史的暴落をもたらしたとし、また「期待外れの政策対応」が下落に拍車をかけたと申し上げました。後者については別稿に譲るが、その背景に今回の株式相場の暴落はリーマンショッククラスの危機が迫っているという認識が低かったことが挙げられよう。但し、既にリーマンショック時に一番底を付けた3割程度の下落を終えており、そろそろ株も下げ止まるとしてBTCも「底値を固める展開」と予想した。そう申し上げた月曜日の米株は史上最大の下げ幅を記録したが、翌火曜日には切り返した。BTC相場もまだ予断を許さないが、一応、週末の45万円、月曜日の50万円、火曜日の53万円とジリジリと安値を切り上げている。


政策対応の遅れ

上記はNYダウとBTCが年初来高値を付けた2月12日以降の両者の推移と、その間の新型コロナウィルス関連のヘッドライン(水色)とFRBを中心とした政策対応(白色)を示したもの。一見して、この期間に両者が相関していたことが分かる。弊社のレポートも仮想通貨関連の材料でなく株の話ばかりになったが、この1か月間の両者の相関係数が0.9に達しており、逆に仮想通貨特有の材料で説明するには無理がある。また、中国が利下げを始めているのに金融を引き締め、株価が暴落を始めているのに緩和は時期尚早とし、翌日には方針撤回。トドメはセントルイス連銀のブラード総裁で追加利下げを織り込む市場に対して「間違い」とコメントしたが、結局FRBは1%の緊急利下げ、量的緩和まで再開している。このちぐはぐさが事態を深刻化させたことは否めない。

日欧当局も本腰

しかし、FRBはやるべきことを全て実施、更にCP市場で資金が滞っているからと買い取りスキームまでスタートさせた。政府は5兆円規模の財政支出を決め、更に130兆円規模の追加支出を検討と伝わっている。即ち、出遅れに気づいた米政府はきちんとやるべきことを出してきた。問題は日欧で、協調姿勢を出すもののその動きは遅く、対策は小出しだ。ムニューシン財務長官が2週間以内に1人1000ドルを払うとしているのに対し、日本政府は1人1万2千円の給付の検討を始めたに過ぎない。但し、麻生財相はG’首脳会談直後にムニューシン長官と会談、来週には再度G7財相会談を予定、前回理事会で利下げを温存したECBは18日全ての政策措置を適切に調整する用意があるとの声明を出すなど日欧当局も重い腰を上げた感がある。医療のことは分からないが、中国で効果を認められたアビガンを開発した富士フィルム株はストップ高を付けている。株式市場の底入れはもう近いと考えている。

予想レンジ:45万~75万円


Altcoin


上記はBTCが戻り高値を付けた2月12日を1として、主要5通貨のその後の推移を示したもの。この下落相場の中での各通貨のパフォーマンスが分かる。まず目につくのがBCHのパフォーマンスの悪さで、これはそれまでの半減期を織込む相場の反動が影響しているものと思われる。ただ、従来のパターンより下落率が大きく、やはり今回の市場の混乱の影響が大きい。BTCと米株が強く相関する中、アルトコインもほぼ同じ値動きをしていることも興味深い。株式市場がこれだけ混乱するとBTCも仮想通貨特有の材料で動かなくなるが、アルトコインも各通貨特有の材料は無視し始めるということと、しかしこうした暴落の過程で、質への逃避があまり見られなかったことが見受けられる。それでも、時価総額の大きい、BTC、ETH、XRPなどのパフォーマンスが相対的に良いので、ある程度はそうした事情が効いている可能性もあるか。特にこうした局面で比較的独自の動きをする傾向にあるXRPがBTCとほぼ同じ値動きをしていたことはやや意外感だ。

ETH:今週のETH相場は軟調な推移。引き続き、コロナウィルス関連や各国の株価市場に振らされる展開となり、週初は14000円付近から始まったものの、週末に掛けては12000円付近での推移となり、じりじりと値を下げている。相場への影響はなかったが、ETHのブロックチェーンによって、中国政府の検閲を抜けて、コロナウィルスに関する重要な情報が得られるようになったとの報があった。


XRP:今週のXRP相場は軟調な推移。先週から続く下落で一時14円付近まで値を下げていたが、週初には一旦18円台まで回復。しかし、世界株安で仮想通貨全体が軟調に推移する中、XRPも値を下げていき、一時は再び14円台まで値を下げた。その後底堅く推移しており、16円前後での推移が続いている。


BCH:今週のBCH相場は横ばいでの推移。世界株安に引きずられる形で、先週遂に20000円を割ってしまったBCHだったが、週初には再び20000円にトライする展開で、2度跳ね返された後は、じりじりと値を下げる展開が続いた。その後、一時18000を割る場面もあったが、米株が乱高下する中でもBCHは比較的底堅く推移し、足元では再び20000円台へ回復し、底堅く推移している。


LTC:今週のLTC相場は軟調な推移。先週末は一時3000円割れで、先月高値から6割超下落していたLTCだが、週初にはやや回復基調となり、4000円にトライするも、3度跳ね返され失速。3500円付近まで値を下げた後は底堅く推移し、再び4000円に迫ってきている。


fxcoin weekly report 2020.03.19.pdf

松田康生 (まつだやすお)

シニアストラテジスト

東京大学経済学部 国際通貨体制専攻 三菱銀行(本部、バンコック支店)ドイツ銀行グループ(シンガポール、東京)を経て2018年7月より現職。 短国・レポ・為替・米国債・欧州債・MBSと幅広い金融市場に精通

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