リーマンショック後のNYダウと金価格に学ぶ、コロナショック後のビットコイン相場

2020-04-02 20:16[ 松田康生

トピック 仮想通貨 暗号資産 ビットコイン

仮想通貨相場は引き続き米株を中心とした世界の金融市場に影響を受けやすい展開が続いている。下図で見るとBTC相場と米株(S&P500)との相関係数は、弊社が金融リテラシーの話でご紹介した3月半ばから0.9台で高止まりしている。これはBTCの値動きのほとんどは米株によって説明できる(一応、逆の可能性もあるが)ことを示しており、新型コロナウィルス感染の拡大と世界的不景気の到来といった大きな材料の前では仮想通貨業界特有の事情にあまり影響を受けなくなる訳だ。これはBTCが大きく動けば、アルトコイン特有の材料の影響を受けにくくなるのと同じ理屈だろう。

上図はBTCと米株と金と相関係数だ。まず、教科書的には企業業績や景気動向に影響を受ける株式と典型的な逃避資産である金とは反対に動くとされ、10月から12月にかけてはBTCとの相関も概ね逆方向で推移している。しかし、両者が同じ方向に動く時がある。金融相場と言われる相場で、株の強気相場は好景気で企業業績を好感して上昇する業績相場と不景気で金融緩和による資金流入を好感する金融相場に大別される。年末の資金繰り支援のためFRBがバランスシート拡大を加速させた12月頃から両者は同じ方向に動き始めているのがその時期で、金融当局が金融緩和を強めた結果、あらゆる資産が買われていた。ところが、2月のFRBの方針転換で金融相場は終焉、コロナショックが追い打ちをかける形で株式やBTCが暴落した。一方で、逃避資産である金は1700ドルを目指す展開となり、BTCとの相関も大きく崩れた。しかし、NYダウがサーキットブレーカーの発動を繰り返す歴史的暴落を見せると、金価格も下落、米株やBTCとの相関を強め始めた。こうした歴史的な危機の際に、逃避資産である金さえ売られることはリーマンショック直後にも観察された現象だ。人々はまず現金確保に走る。そして、その後のFRBの無制限QEや大規模経済対策で再び金融相場が再開しつつあり、上図では再びBTCと金との相関が上昇、金との相関係数に迫らんとしている。長々と説明してきたが、ここが重要で、BTCが株との相関を続けるのか、金との相関を続けるのかが、今後のBTC相場を占う上でターニングポイントとなりかねない。

上図はリーマンブラザースが破綻した2008年9月15日を100としたNYダウと金価格の推移だ。破綻直後、株は下落、金価格は上昇した。リーマン破綻には驚いたが何とかなるという楽観もあったのかもしれない。しかし、9月29日に金融安定化法案が議会で否決されると米株は暴落を始めると、一旦は上昇していた金価格も下落に転じた。金融危機の泥沼化を恐れ、あらゆる資産を現金化する動きだ。その後の政策対応により両者は下げ止まるが、その後は景気悪化を嫌気して2番底を迎えた株式相場と、金融緩和や財政赤字拡大を嫌気(好感?)した金価格は上昇に転じている。BTCでいえば、この状況で、株式市場に足を引っ張られて2番底を確かめに行くのか、金融緩和と財政赤字を嫌気した逃避需要で高値を目指すのか、おそらく今週の半値戻しを前にした揉み合いは、この相反するベクトルの力が綱引きし合っていることを示しているのではないか。これには新型ウィルス感染の状況も影響するのかもしれない。ある意味でBTC相場はターニングポイントを迎えていると考えている。

松田康生 (まつだやすお)

シニアストラテジスト

東京大学経済学部 国際通貨体制専攻 三菱銀行(本部、バンコック支店)ドイツ銀行グループ(シンガポール、東京)を経て2018年7月より現職。 短国・レポ・為替・米国債・欧州債・MBSと幅広い金融市場に精通

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