2018.10.5【Swell閉幕。BTCは揉み合い。】

2018-10-05 19:42[ 松田康生

Weekly Report 仮想通貨 bitcoin Ethereum XRP Bitcoincash Litecoin



Review

レンジ取引

先週のBTC相場はもみ合い推移、底堅いが上値の重い展開が続いている。週初は75万円を挟んで狭いレンジでの取引、9月中を目途とされたZaif救済・補償の具体策の発表が先送りとなり、bitFlyer加納社長が現場を離れ持ち株会社社長に退くとの報に74万円台へ。WSJがシステムトレードによる相場操縦の疑いを報じると下げ足を速めるも73万円を割れで下げ止まると、米交換所ジェミニでホットウォレット保管する仮想通貨に保険をかけたことやCFTCが仮想通貨の不正行為への訴追権限を得たと公表したこともあり74万円台を回復。金融ファクシミリ新聞が3日の仮想通貨交換業研究会を受け仮想通貨に金商法検討と報じると75万円台に値を戻した。ただ、研究会の内容はそこまで明確に示唆しているものでないとの見方から74万円台に値を下げるも、米著名アナリスト、トム・リー氏が投資家の多くが相場が底を打ったと見ているとの調査結果を発表、75万円台に戻している。

Outlook

信頼回復へ一歩前進

来週のBTC相場は上値余地を探る展開を予想する。今週はIOSCO(証券監督者国際機構)が主導するWorld Investor Week(7日まで)にあたり米SECがInvestor BulletinをCFTCなどと共同して発表、日本の金融庁もG20はじめ各国際機構が世界投資者週間を支持しているとのペーパーを紹介し(偶然かもしれませんが)第6回仮想通貨交換業研究会も開催された。そうした中、WSJの相場操縦の記事で73万円を割れて、CFTCが訴追権限を持ったとの公式発表や若干誇張されている印象もあるが金融ファクシミリ新聞の仮想通貨に金商法適用というニュースで75万円に戻す展開だったが、ここに注目すべき点が2点ある。ひとつは規制強化のニュースで相場が上昇したことで、やはり9月初のフラッシュクラッシュもあり、規制の必要性に関する意識が高まっている点が指摘できる。もうひとつは9月26日に連邦地裁が詐欺的投資勧誘事件を巡る判決で仮想通貨に対するCFTCの管轄権を認めたことを受け、CFTCが仮想通貨の不正行為を訴追する権限を与えられたと公式文章で発表した点。WSJで指摘されたスプーフィング(いわゆる見せ玉)などは、特に2012年のLibor事件以降、株や債券、為替など他市場の参加者が最も注意を払っている分野で、2018年時点でシステムにあえて組み込んでトレードすることなど他市場では考えられない。もし仮想通貨の世界でそうした手口が残っているとすれば、犯罪だと知らないリテラシーの低さか、法的性格の曖昧さを狙った意図的なものだったか。いずれにせよ債券先物市場における見せ玉注文で大手金融機関を次々と摘発した実績のあるCFTCが仮想通貨市場においてもその権限を行使するのであれば、市場の信頼回復の一歩となろう。

第6回仮想通貨交換業研究会

今回の研究会では従来の5回の議論を踏まえてより具体的な論点に取り組むとして、今後検討すべき

1)交換業に係る規制
2)仮想通貨を原資産・参照対象とするデリバティブ取引に係る規制
3)ICOに係る規制

の3つの規制の内、1)の交換業に係る規制を議論するとした。仮想通貨に金商法検討という報道は、仮想通貨の価格の乱高下を受け、従来の支払・決済手段に加えデリバティブ取引の原資産などとしての投資・リスクヘッジ手段、ICOなどの投資・資金調達手段という性格が加わったとし、後2者に関しては「金融規制の対象?」と当局作成の資料にあったことを踏み込んで解釈した可能性があるが、そうした議論は次回以降本格化すると思われる。会では既存の規制に加え今後検討すべき規制として主に以下4点が議論されたが、流出事件直後ということもあり、その中でも2)①の流出リスクに注目が集まった。

1)問題のある仮想通貨の取扱
2)顧客財産の管理・保全の強化 
         ①流出リスク ②倒産隔離
3)投機取引に伴うリスクの抑制
4)取引の透明性確保、利益相反の防止

そうした中で自主規制団体(申請中)JVCEAの奥山会長が示した
1)仮想通貨保管サーバーと社内ネットワークの遮断
2)ホットウォレット保管仮想通貨の上限設定
3)外部専門家によるセキュリティー技術委員会立上げ

という自主規制案などが現実的な対応策として具体化が待たれる。

G20・IMF総会

引き続き機関投資家参入のインフラ整備により底堅いが、規制を巡る不透明感から上値が重い展開が続くと思われるが、上記の通り規制に関しては少しずつではあるが進展も見られる。また実用面では、注目のSwellの冒頭でxRapidリリースが発表されるも、XRPはSell on the Factで軟調な推移を見せたが、現在3社とされる導入先が今後増える度にポジティブ材料となろう。今週リリースされたMoneyTapも利用者を拡大していくことが予想される。今週はG20・IMF総会とイベントが続くが、方針を示す様に指示されているFATFの全体会合が控えていることから今回はさほど注目を集めておらず、何らかのポジティブなニュースが伝われば一段の上値追いもあろう。但し、本格的な回復はFATF基準の適用方針が明らかになる11月以降という見方は不変。

予想レンジ BTC 70万円~85万円


Altcoin

ETH:先週末にCBOEによる9月初にETH下げを予想したトム・リー氏が強気に転じ、またGSがETHのNDFを検討するとの報道もあり26000円台を回復していたETHだが、週末に再び24000円台に値を下げるも開発メンバーからのASIC排除の報に一部のマイナーの勢力が拡大するとの懸念が回避されたとして26000円台を回復。Bitmax社がICO絡みのETHの売り圧力がピークアウトしたとのレポートで値を上げるも上値が重い展開。共同創設者ジェフ・ルービン氏がプラットフォームとしてライバル関係にあるR3関連プロジェクトに出資、また送金などのプロジェクトで競合関係にあったイーサリアム連合とハイパーレッジャー連合とが提携の動きを見せるなど好材料もあり24000円台で底堅い動きを見せている。こうしたライバル関係にあるプロジェクト間の提携の背景には先行するXRPに対する焦りも透けて見える。ただプロジェクトが進展しても必ずしもETH需要が高まる訳ではなく、このところの軟調さはICOによる売り圧力というより、新規ICO不足による買い圧力の不足が背景にあると思われ、引き続き上値の重い展開が続こう。

XRP:注目のSwellではクリントン元大統領のオープニングスピーチに続きリップル社のガーリングハウスCEOがxRapidリリースを発表した。しかし既に織り込んでいた市場は開幕前日からSell on the Factで軟調に推移、一時60円割れとなったが、2日目に元SEC首席弁護士のマイケル・ディディアックがHowayテストを根拠にXRPは証券でないとし、同CEOがインタビューでXRPは非中央集権とコメントするとようやく下げ止まりを見せた。その後、MoneyTapのリリースにより60円台を回復している。先月の急騰の反動で上値の重い展開となっているが、既に送金業者3社で利用が始まったxRapidを銀行で利用開始される日も遠くないと思われる。当初は同行内送金から始まると思われるが、ある程度導入行が増えればRippleNet参加行間の他行送金にも適用されるだろう。MoneyTapも先行するりそな銀行、SBI、スルガ銀行の3行間の3万円以下の送金手数料が無料となる訳で爆発的な利用拡大も期待される。今後はこうした好材料が続くことから、当面は仮想通貨相場全体のけん引役となりそうだ。

BCH:週前半は6万円近辺での揉み合い、9月中のZaif救済策の具体化が見送られたことで値を下げる局面も見られたが、概ね横ばい推移を続けた。既にBTCやBCHでは対応済みであるが、同様のバグで草コインのピジョンコインで被害が出たこともあり6万円を大きく割り込むも、Bitrexで対ドル取引が開始されると6万円台に値を戻した。しかし、分裂騒動の当事者Bitcoin SVの支援者であるカルビン・エアー氏率いるCoinGeekでBitcoin ABCの支援者Bitmain社のIPOにネガティブな記事が掲載されると、騒動の根深さが懸念され、再び値を下げる展開となった。IPOに成功すればBitmain社の株式がBCHの大きな指標となることから、両陣営とも協力的となるとの見方もあったが、今回の記事で容易ではないことが判明。引き続き騒動の行方が懸念され、上値の重い展開が続くか。

LTC:週前半は目立った材料もなく7000円手前で横ばい推移。BCHと同様、LTCも対応済だがピジョンコインの下落に連れ安となり一時6500円を割り込んだ。創始者チャー・リー氏がLTCでAmazon Gift Cardを購入すると伝わると下げ止まり、同氏とクリプト・ゴッドの異名を持つロジャー・バー氏とのライトニングネットワークに関する対談が公表されると若干値を戻している。今後、XRPで実用化の進展が見られれば、BTC類似のコインの中で決済利用に最もフォーカスしているLTCへの注目が集まる可能性もあり、底堅い推移を予想する。



Calendar

10月9-10日  XBlockchain Summit (バリ)リップル共同創始者・ステラ創始者ジェド・マカーレブ登壇
10月11日 G20財務相・中央銀行総裁会議(バリ)
10月12-14日 IMF年次総会(バリ)


FXcoin Weekly Report 2018.10.05.pdf

松田康生 (まつだやすお)

シニアストラテジスト

東京大学経済学部 国際通貨体制専攻 三菱銀行(本部、バンコック支店)ドイツ銀行グループ(シンガポール、東京)を経て2018年7月より現職。 短国・レポ・為替・米国債・欧州債・MBSと幅広い金融市場に精通

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