ビットコインと金の相関性が米株との相関性を追い抜いた

2020-04-22 18:46[ 松田康生

トピック 仮想通貨 暗号資産 ビットコイン

3月の株価暴落時に仮想通貨も暴落、逃避資産としての輝きを失ったと指摘された。弊社は一貫して、仮想通貨は基本的にリスク資産で分散投資の一部として株などと似た動きをするが、法定通貨に対しては逃避資産としての性格を見せると主張してきた。今回のコロナ騒動でいえば、株式市場が暴落する時は一緒に落ちていくが、その後に金融緩和や財政赤字が膨らむ過程で逃避需要が出て上昇していくイメージだ。

これを2008年のリーマンショック時との比較で説明すると、市場にショッキングなイベントが発生すると最初の1-2か月は株は下落する(上図)。暫くするといったん下げ止まり、横ばい圏での取引となるが、3か月後くらいから再び下落、2番底を迎える。想像するに未曽有の混乱と暴落に直面すると、まずは何とか下落を止めるべく応急措置に明け暮れるのだが、落ち着いてみてみると改めて損害の大きさに気づく、といった過程を経るのかもしれない。今回、2番底を迎えるかどうかは不明だが、いったん下げ止まってから先行きの不透明感から方向感を失っていく過程までは2008年当時とそっくりだ。

一方で、逃避資産の代表である金価格はどうなっているだろうか。実は金価格も株の暴落を受けて一度売られている。市場があまりに混乱すると、一旦はあらゆるアセットを現金化する動きが見られる。しかし、暴落後の応急措置にかかる金融緩和や財政赤字拡大といったリフレ政策というか法定通貨の価値を毀損する動きを受けて、逃避資産として上昇を始めている。今回も金価格は1700ドルにワンタッチしてから1500ドル割れまで急落、足元では再び1700ドル台に乗せてきている。リーマンショック時を上回る金融緩和と財政赤字で金価格がここから上昇すると見る向きは多い。

米株と金価格の推移を振り返ったが、BTC相場との関係で見ると、3月の混乱期はBTCと米株との相関係数が0.9を超え、ほぼ株を見ていればBTC相場は説明がつく展開が続いていた。しかし、今週に入って金との相関係数が米株との相関係数を追い抜いている。これは、弊社のシナリオ通り、ここまではリスク資産として米株と相関していたが、これからは金融緩和や財政赤字を嫌気した逃避買いがBTCに集まるのではないかと考えている。

ただ上記は30日(営業日ベース)で相関係数を計算しているが、この期間を変えればいくらでもグラフの形状は変化する性質のもので、逆転したと言ってもS&Pが0.63に対して金が0.73と大きな差がある訳ではない。現時点では、まだ市場は今の事態がいつまで続き、どの程度のインパクトがあるのか測り兼ね、方向感を失っている状況とまでしか言えない。しかし、米国で1200ドルの緊急給付を受けて、コインベースへ1200ドルの入金が急増したという。これは裕福な層が余剰資金を投資に回しているというだけでなく、赤字国債を増発して、それを量的緩和で中銀が購入する、すなわち中銀がドル紙幣を印刷して国民にお金を配るというオぺレーションにインフレの恐怖を感じた人が出てきている証左だと考えている。

松田康生 (まつだやすお)

シニアストラテジスト

東京大学経済学部 国際通貨体制専攻 三菱銀行(本部、バンコック支店)ドイツ銀行グループ(シンガポール、東京)を経て2018年7月より現職。 短国・レポ・為替・米国債・欧州債・MBSと幅広い金融市場に精通

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