2020.5.15【半減期通過後のビットコイン相場、次のテーマを探る】

2020-05-15 20:06[ 松田康生

Weekly Report 仮想通貨 暗号資産 ビットコイン ビットコインキャッシュ リップル イーサリアム ライトコイン



Review

半減期を無事通過

今週のBTC相場は下に行って来いの展開。1万ドル(107万円)台に乗せるも89万円台まで急落、しかし再び1万ドルまであと一歩という水準まで値を戻している。1万ドルにワンタッチした後、上値を重くしていたBTC相場だが、土曜から日曜にかけハッシュレートが低下、送金遅延が見られるとじりじりと値を下げ始めた。更に100万円を割り込むとロングの投げが殺到、89万円台まで急落した。半減期前にハッシュレートが市場最高水準まで上昇、BTCも98万円まで上昇するも89万円に反落するなど不安定な取引が続いたが、半減期を無事通過、混乱なくブロック形成が進むのを確認すると、半減期後の急落を見越したショートポジションの買戻しが優勢となり、9000ドル、100万円とレジスタンスを突破、1万ドルへあと一歩の水準まで上昇を続けた。しかし月曜日開けたCME窓埋めをほぼ完了、ハッシュレートも大きく低下すると再び上値を重くしている。

Outlook

上でなく下に行って来い

来週のBTC相場は堅調な展開か。先週は半減期を間にして恒例の「上に行って来い」の展開を予想した。ただコロナショックの鎮静化により市場の混乱に収束傾向が見られる中、「財政拡大と金融緩和によるインフレに対する備え」が始まるのではと申し上げた。半減期を前にした「上に行って来い」は数日前の大波と直前の小波と2度到来は、タイミングは若干ずれたが、事前に分析した想定通りの値動きだった。また、上昇局面で、当社が従来から主張しているコロナ対策による資産インフレ懸念やマイナス金利からの逃避需要といった話題が出回り始めていたことも想定通りだった。

ハッシュレートの低下と難易度調整

もう一つ、想定通りではあるが、意外感もあったのがハッシュレートの急低下だ。週初の急落の背景にハッシュレートの低下を挙げた。ハッシュレートを価格の決定要因とする見方もあるが、基本的には価格がハッシュレートの水準を決める因果関係にあると考えており、レートの低下が直ちに価格に影響する訳では無い。しかし、半減期前後では報酬減によりマイナーがいなくなってしまうリスクが懸念され、市場も神経質になると考えている。足元のレート低下もさらにオーバーシュートする様ならば先週の二の舞になるリスクは否定しきれない。

株や金との相関薄れる

また経済再開が意識される中、明るい兆しが見えた株式市場にも暗雲が立ちこみ始めた。コロナ感染の第2波だ。上は米株・金とのBTCとの相関係数(30日)の推移だ。一時0.9に達した米株との相関が薄れてきている。一方で期待された金との相関も薄れている。半減期のせいか、大口投資家参入の影響か、BTC独自の値動きが見られ始めている。

予想レンジ:90万~120万円


Altcoin



上記は先週金曜日8日を1として、主要5通貨のその後の推移を示したもの。今回、特徴的なのはBCHのフライングとBTCの戻りの強さだ。半減期前にBTCからのハッシュレートのシフトを期待してBCHが堅調に推移したが、BTCの急落で連れ安に。その後、BTCだけは半減期後の反落を期待したショートの買戻しでほぼ全戻しとなっているが、そうした要因のないアルトコインはあまりついて来れていない形か。

先週、本欄ではBTCの高パフォーマンスについて「半減期当日にLTC・BCHが1割上昇したことが意識され」、「一歩先んじようと」した買いに走った結果、BTCは「他アルトコインより1割強のパフォーマンスを見せた可能性」があり、「12日まで時間があり上値余地はあると考えるが、サブシナリオとして半減期前後の急落には注意が必要」としたが、恐れていた急落が来たものの、BTCはほぼ全値を戻した。ここで少し注目したのは、反騰局面でETHが相場を牽引した局面が見られることだ。昨年5月の相場は米中対立激化による中華圏からの逃避需要が牽引したとも言われていて、逃避需要であるが故にBTC中心で、その後、アルトコインに循環物色が入ったが、その過程でBTCプラスワンとしてETHがBTCと共に買われていった。足元のハッシュレートの低下と19日頃とされる難易度調整を乗り切れば、そうした大相場が来る可能性があると考えている。

ETH:今週のETH相場は下に行って来いの展開。22000円台から堅調に推移、BTCの急落に20000円割れに値を落とすも、BTCの反騰もあり22000円近くまで値を戻している。特に戻り局面で他のアルトコインをアウトパフォームした要因として、遅れを指摘する声もあるものの創始者Vブテリン氏がETH2.0の開発は順調としたこと、ErisXが米CFTC管理下で初のETH先物開始を発表、韓国でハッキングされたETHがBinanceで凍結されたことなどが挙げられる。金曜日に入ったVISAのデジタル通貨特許でETHが言及されていることも影響したか。同時に大手投資家からBTCに投資需要が入る中、プラスワンとしての需要も無視できない。

XRP:今週のXRP相場は上値の重い展開。懸案だった20XRPが解約時に戻ってくることとなり、本国送金が多いUAE・バングラデシュ間でリップルネットを用いた銀行送金、スマートコントラクトのテスト、ローンサービス開始に向けた人材採用やODLの利用計画と買い材料に事欠かないが、上値の重い理由として、XRPBTCのテクニカル面での弱さが挙げられる。0.000022(23とする向きもあり)という重要なサポートを割り込んできたことが挙げられている。このテクニカルの悪さを払しょくするには、実需の拡大を見通せる更に大きな材料が必要か。

BCH:今週のBCH相場は上下に行って来いの展開。BTCの半減期を前に26000円近辺から29000円台に値を上げるが、BTCの急落に25000円割れに下落。BTCからのシフトでハッシュレートが2倍以上の急上昇を見せたが、5月15日に控えたHFへの警戒感もあってか価格に対する影響は限定的だった。やはりハッシュレートの上昇はネットワークの健全性という意味でプラスだが、さほど影響を与えるものではないことが見て取れる。

LTC:今週のLTC相場は引き続き目立った材料が無い中、上値の重い展開。LTC財団が最近のトランザクション増加から割安に放置されていると指摘したが、確かに戻り局面でも反応が今ひとつで5000円台が遠い。


fxcoin weekly report 2020.5.15.pdf



松田康生 (まつだやすお)

シニアストラテジスト

東京大学経済学部 国際通貨体制専攻 三菱銀行(本部、バンコック支店)ドイツ銀行グループ(シンガポール、東京)を経て2018年7月より現職。 短国・レポ・為替・米国債・欧州債・MBSと幅広い金融市場に精通

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