2020.5.22【1万ドルトライに失敗したビットコイン、来週はリベンジなるか】

2020-05-22 18:54[ 松田康生

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Review

1万ドルトライに失敗

今週のBTC相場は高値圏でのもみ合い。先週に続き、1万ドル(107万円)をトライするもなかなか抜けず、週後半には95万円近辺まで値を下げている。12日に半減期を無事通過したことも有り1万ドルをトライしていたBTC相場だが、CMEの窓埋めも1万ドルにもあともう少しで跳ね返される展開。巷でのBTCへの注目度が高まる中、97万円台切り返すと、中国での詐欺事件で売られた反動もあり再び1万ドルをトライした。ハッシュレートの低下やBitMEXでのサーバダウンなどもあり、レンジ上抜けにあと一歩及ばない展開が続くと、市場の注目は半減期後初めての難易度調整に集まった。▲6%の調整が不十分だったせいか、承認遅延の解消が進まず、決め手に欠ける展開が続いていると、2009年2月に採掘されたBTCが移動、サトシやクレイグ氏など初期マイナーの売りが警戒され、反落、100万円を割ると下げ足を速め、95万円近辺まで売られている。

Outlook

「先週の二の舞」

来週のBTC相場は堅調な展開を予想する。先週は「堅調な展開」を予想、しかし足元のハッシュレート低下が続くようなら「(1万ドル台を維持できず89万円まで叩き落された)先週の二の舞になるリスク」もあるとした。週前半は予想通り堅調な展開で1万ドル突破は時間の問題かと思われたが、半減期後初の難易度調整後もハッシュレートの低迷と手数料高騰と未承認取引増が続いたこともあり上抜けできずにいるとサトシ問題から95万円台までの急落を見せる格好となった。

サトシ騒動

サトシ問題とは2009年2月にマイニングされたまま一度も動かなかったBTCが移動されたことから一説には100万BTC保有するサトシナカモトが売り始めるとの憶測が駆け巡った。その後、サトシではないという認識が広がったが、今度は自称サトシのクレイグ・ライト氏ではないかとの憶測が浮上した。同氏周辺は否定しているが、同氏が110万BTCの支払いを命じられた裁判で提出した保有しているが動かせないBTCのアドレスと一致したからだ。この話が本当であれば、110万BTCが市場に出回る可能性もあり、潜在的な売り圧力となり得る。二転三転を繰り返す同氏の主張に食傷気味の市場だが、今回ばかりは警戒感を強めている。

昨年5月と似た状況

足元の状況は昨年5月に似ていると考える。当時は市場を揺るがしかねないとされたテザーの裏付け不足が判明、IEOで注目を集めていたBinanceでハッキングが発生した。しかしこの悪材料で下げ止まると米中貿易戦争の激化と人民元安によるメインランドからの逃避需要でBTCは上昇したが、足元では香港版国家安全法を巡って米中対立が先鋭化、人民元も年初来安値を更新している。今回の急落で俄かに弱気予想が出回り始めたが、そうした声がある間は「懐疑の中で相場は育つ」だろう。一方でピークのサインは行き過ぎた楽観なので注意されたい。

予想レンジ:90万~120万円

Altcoin



上記は先週金曜日15日を1として、主要5通貨のその後の推移を示したもの。今回、特徴的なのはETHのパフォーマンスの良さとBTCやXRPの低迷だ。1万ドルや21セントというレジスタンスに上値を抑えられたBTC・XRPに対し、ETH2.0のメインネットに近い形でのテストネットが6月に公開されるとされるなど好材料が続いたETHとのパフォーマンスの差と言えるかもしれない。

もう一つ、ETHとXRPとのパフォーマンスの差として挙げられるのが、BTCプラスワンとしての投資家の需要だ。今週、暗号資産ヘッジファンド大手グレイスケールのレポートで全運用資産が38億ドルに達し、うち33億ドルがBTCトラストと発表した。昨年同時期と比べ8割増だったことが話題となったが、同じ資料でETHトラストは289百万ドル、XRPトラストは3百万ドルと発表されている。即ち、機関投資家などが投資する場合、まずはBTCで、分散投資の観点でETHまでは手が出るが、XRPやそれ以外のアルトコインには資金は入りにくいことを示している。従って、CMEのBTC先物の建玉の記録更新やルネッサンステクノロジーやチューダーの参入など機関投資家からの資金流入が始まりつつあることが、両社のパフォーマンスに差をつけた可能性もあろう。

ETH:今週のETH相場は上に行って来いの展開。VISAの「デジタル法定通貨」の特許申請でETHの利用に触れられていることやメインネットに更に近づけたETH2.0テストネット6月以降稼働するとされたことも有り21000円近辺から23000円近辺まで値を上げたETHだが、その後は決め手に欠ける展開。BTCのサトシ騒動で21000円台に値を下げているが、サトシ騒動はETHの需給には無関係で影響は限定的か。

XRP:今週のXRP相場はもみ合い推移。21円(20セント台)でのもみ合いから、22円台に乗せるもBTCの反落もあり20円台へ反落。しかし足元では21円台に切り返している。材料的にはローンサービスとODLとの統合、アフリカでの送金強化、米当局による言及などポジティブなものが多かった。中でもCoilがサイト制作の最大手WordPressにプラグインしたことは大きい。トークンによる高速で安価な送金は個人の本国送金になど小口の国際送金と共にインターネット上のマイクロペイメントで威力を発揮する。Forbesによれば、Webサイトの作成者がブロックチェーンで従量制の支払いを受け取ることができるとしている。ある調査によれば世界のWebサイトの1/3以上がWordPressソフトで作成されており、バージョン5.4は27百万回ダウンロードされている。まだ具体的な内容は明らかではないが、記事では巨大なビジネスチャンスだとしている。

BCH:今週のBCH相場は上に行って来いの展開。5月15日のハードフォークを大きな混乱なく終えると、BTCの上昇もあり25000円台から27000円台へ上昇した。しかしその後は、サトシ騒動で24000円台に値を落とすも、若干持ち直している。米中対立激化でサポーターであるBitMAIN社のNY上場が遠のいたが影響は限定的にとどまっている。

LTC:今週のLTC相場は引き続き目立った材料が無い中、上に行って来いの展開。LTC財団のアタリとの提携が話題を呼んだ。創始者チャーリーはサトシ騒動を受け、匿名化の必要性を説いている。


fxcoin weekly report 2020.5.22.pdf


 



松田康生 (まつだやすお)

シニアストラテジスト

東京大学経済学部 国際通貨体制専攻 三菱銀行(本部、バンコック支店)ドイツ銀行グループ(シンガポール、東京)を経て2018年7月より現職。 短国・レポ・為替・米国債・欧州債・MBSと幅広い金融市場に精通

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