それでもビットコイン相場に強気な理由~昨年の上昇相場との類似性

2020-05-26 18:54[ 松田康生

トピック 仮想通貨 暗号資産 ビットコイン

弊社では半減期後を控えた5月19日ころから「そろそろ1万ドル上抜け」すると申し上げた。半減期によるマイナーの採算悪化とハッシュレートの調整が難易度調整後は解消すると考えたからだ。しかし、5月5日から20日までのブロック生成時間で計算される初回の難易度調整では調整が十分でなく、引き続きハッシュレートは不安定な推移を続けており、次回調整までは影響が残りそうな状況だ。しかし、「それでも上抜けは近いと考える理由」としてグレイスケールのBTC Trustの残高増加やルネサンスやチューダーなど有名ヘッジファンドの参戦など機関投資家の裾野の拡大を指摘した。BitMEXのアーサー・ヘイズCEOも指摘するように、ポール・チューダー・ジョーンズのようなレジェンドの参戦は他の保守的なファンドマネージャーの呼び水となり得る。更にチューダーのように「グレート・マネタリー・インフレのヘッジとしてBTCにベット」する動きは今後加速しそうだとも考える。更に先週のWeekly Reportで指摘したように、市場を揺るがしかねないサトシ問題をこなし、今後、米中対立が激化し香港情勢が悪化、人民元も年初来安値を更新する中、相場は昨年5月の状況に似てきつつある。本稿では昨年5月から6月にかけての相場を振り返り、どれだけ現状と似ているのか、どうしたことに気を付けるべきなのか、探っていきたい。

3月12日からのBTCの価格推移を2019年と2020年とを並べたもの。今年は1万ドルを前に伸び悩みを見せているが、昨年と比べそん色のない上昇ペースを辿っていることがわかる。足元の1万ドルでの上値の重さも、昨年の5月後半の9000ドル、100万円手前での伸び悩みと同じパターンだ。そこで、5月前半の上昇、5月後半の上昇一服と反落、6月前半の切り返し局面においてどのような材料が出たかを、弊社のWeekly Reportのチャート上からピックアップしてみた。手前味噌になるが、こうしたReportの蓄積は、その時々の現状認識にも役に立つが、こうして過去を振り返るときに非常に役に立つ、市場のインフラの一種だと考えている。

まず5月前半の上昇相場を引っ張った大きな要因は、まずテザーの裏付け不足・Binanceのハッキングという大きな売り材料をこなしたこと、そして米中貿易戦争の勃発(再発)により人民元安が進み、中国本土からの資本逃避がBTCにも流れたと言われている。ロイターなどの報道によれば150ページにわたる合意文章を土壇場で中国側が白紙に近い状態に戻してきた模様で、この強硬策は後に国内から弱腰との批判が出た習政権が強硬姿勢をアピールしたとの見方も伝わった。以前申し上げたが、中国の富裕層は政府と近い関係であるケースが多く、政権に不安が生じると資本逃避フローが起こりやすい

今回で言えばサトシ問題でナカモトサトシが保有するとされる100万BTCが動き出したり、クレイグ・ライト氏が裁判で支払いを命じられている110万BTCの半分が動き出したりすれば、テザーの裏付け不足に比肩する売り材料となりかねなかったところ、なんとか切り抜けている。またLTCやBCHで見られた半減期直後の反落もこなしつつあると考える。そうした売り材料をこなしながら、米中対立の激化や新たな投資家層の参戦が始まったという状況は昨年5月を彷彿させる状況だ。

次に5月半ばから上値を重くした理由は、今から振り返ってみると明白だ。NHK、TV東京、米CBS、CNBCと主だった経済チャンネルが一斉にBTC上昇を報道し始めた。以前に「暴落前に降って湧いた様に強気予想が出回り、また市場マスコミも騒ぎ出す」と申し上げたが、まさにそのパターンで、それらのマスコミが「外しているという意味ではなく、それだけ国民的メディアが扱う≒参加者がほぼ同じ方向を向いている」ことが、暴落のきっかけになる。ただ、今回に関しては、まだそうした伝統的メディアの動きは観察されておらず、足元の相場がまだ若いと考える一因でもある。

5月後半から6月頭にかけて100万円近くから80万円近辺まで落とされたBTC相場だったが、昨年は6月に入ってから再び騰勢を増し、100万円、1万ドルを突破、150万円近くまで急騰した。その背景はFRBやECBが利下げに舵を切ったこと、そして中国、特に香港情勢が悪化したことが挙げられる。またリブラに対する期待感もそれに代わる投資先としてブロックチェーンのオリジナルであるBTCの買いに繋がった。因みにホワイトペーパーが公表された段階でリブラに対する失望と警戒感が台頭、各当局の集中砲火にあい、7月以降BTC相場もピークアウトしていくこととなる。今年の状況と比較すると、各国の金融緩和はこれからかつてない規模で発動され、政府も更に財源を無視した財政支出を拡大しようとしている。更に香港情勢は全人代による国家安全法が導入されれば、昨年の逃亡犯条例とは比較にならないくらい逃避需要を生み出すのではないかと考えている。残念ながらリブラに相当するものは見当たらないが、あえて言えばデジタル人民元であろうか。

こうしてみると、大きな売り材料をこなし、米中対立が激化、香港情勢も急速に悪化、FRBは無制限金融緩和に踏み切った。大手HFルネサンスに続き、レジェンド・ポール・チューダー・ジョーンズがBTCをポートに組み入れ、CMEのBTC先物建玉が過去最高を記録するなど機関投資家の参入が始まりつつある。昨年のようにレジスタンスをブレークして高値トライするする日は近いと考えている。

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松田康生 (まつだやすお)

シニアストラテジスト

東京大学経済学部 国際通貨体制専攻 三菱銀行(本部、バンコック支店)ドイツ銀行グループ(シンガポール、東京)を経て2018年7月より現職。 短国・レポ・為替・米国債・欧州債・MBSと幅広い金融市場に精通

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