なぜ次回難易度調整が注目なのか?半減期後のビットコイン、上値重さの理由

2020-05-27 20:21[ 松田康生

トピック 仮想通貨 暗号資産 ビットコイン

半減期後のBTC相場は、何度か1万ドル(107万円)トライに失敗、初回の難易度調整に期待が集まったが、調整が不十分との見方もあり100万円台定着にも失敗した。その割には意外と底堅さを見せているものの上値の重さが目立っている。この背景として、ハッシュレートの低迷が指摘される。

上図ではハッシュレートと平均ブロック形成時間を示したものだ。採掘難易度が一定であればブロック形成時間はハッシュレートの水準によりおおよそ決まるので両者は相関、そしてブロック形成時間はおおむね10分を中心に上下している。半減期でマイナーの報酬が半分になった後は、同じハッシュレートを投入していては採算が合わず、ハッシュレートは低迷、ブロック形成時間も15分を上回るケースも散見された。しかし初回の調整によって採掘難易度が下がった結果、ブロック生成時間は短くなり、10分近くまで短縮されている。そもそも半減期後にハッシュレートが半分になることは間違いではないし、今の状態で150EH/sを目指せと言われてもマイナーも困るだろう。足元では良い兆しも見えている。それでは市場は何に不満で、どこまで行けば混乱は終わったと考えればいいのか。

ひとつには未承認取引の解消だろう。上はマイナーに承認されずMempoolに残っているトランザクションのデータ量だ。殆んどないのが通常の姿だ。半減期前にハッシュレートが低下、相場が急落したことがあったが、確かにそのタイミングでMempoolのサイズが拡大していた。半減期前にハッシュレートが史上最高を記録する中、ほぼゼロにまで縮小したが、半減期後は再び拡大している。同じ難易度で報酬が半分ならば、同じ処理能力を投入していては採算が合わず、その結果、処理できないトランザクションが増えていく。しかし、初回難易度調整後は縮小傾向にある。とはいえ、通常時にはほど遠く、これが調整が不十分だったと言われる所以のひとつか。

更に分かりやすいのがトランザクションあたりの手数料の推移だ。通常時は1ドルにも満たない手数料が、半減期前後から急上昇、7ドルに迫らんとしたところで初回難易度調整を迎えピークアウトしているが、まだ1ドルには遠く、これまた初回の調整が不十分で、次回調整に期待が集まっている訳だ。

2016ブロック毎に訪れるBTCの難易度調整では、直前の約14日間の平均ブロック形成時間が10分になるよう計算される。20日の初回調整の場合、半減期後の低ハッシュレートの期間とその前の高ハッシュレートの期間とがほぼ半分ずつ計算期間に入ったため調整が不十分だったとされる。次回6月4日頃に予定される次回難易度調整でもこれらの異常値が解消されるかははっきりはしないが、ブロック生成時間も未承認取引も手数料も初回難易度調整で改善傾向を示しており、次回調整で正常化していくのではないか。誤解を恐れず、分かりやすく言えば、マイナーが採算に合わなくなるから計算量が減って、承認遅延や手数料高騰を招き、それを嫌気して価格が下がる。価格が下がると、さらに採算が悪くなって、マイニングしなくなって、承認もされないし、手数料も上がる。これを繰り返すと、最終的にマイナーがいなくなる、、、これが半減期における最大のリスク。今回はそこまでいかなくとも、承認遅延と手数料高騰が嫌気され上値を重くしているが、初回の調整で改善傾向が見られたので、次回調整で正常化するだろう、と予想している。

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松田康生 (まつだやすお)

シニアストラテジスト

東京大学経済学部 国際通貨体制専攻 三菱銀行(本部、バンコック支店)ドイツ銀行グループ(シンガポール、東京)を経て2018年7月より現職。 短国・レポ・為替・米国債・欧州債・MBSと幅広い金融市場に精通

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