(続)そろそろビットコイン相場が動きそうだと思う理由
2020-06-10 17:48[ 松田康生 ]
今朝方のDaily Reportで「ビットコインがそろそろ動き出しそうな理由」として、ヒストリカル・ボラティリティの低下、昨年との相似性、そしてきっかけの候補としてFOMCを挙げた。ただDailyは時間や字数の制約もあり説明が舌足らずに終える傾向も否定しえない。本稿では、今朝の見通しについて、もう少し詳しく説明したい。
まず上は過去1年の20日のヒストリカル・ボラティリティの推移だ。概ね50%を割り込むと反発している。手元の計算で足元の数値は54%。ヒストリカル・ボラティリティでは将来の予測は難しいとされるが、50を割り込めば反発するというのが、従来のパターンだ。
次に上は日中高値ベースで昨年90万円を超えた5月14日と今年100万円を超えた4月30日(前出のDailyでは終値ベースで100万円を超えた5月7日を起点としているが、上記では日中高値を基準にしている)。これを見ると2019年は90万円を超えてから2週間後くらいに100万円をトライするも失敗、33日目に上抜けに成功している。2020年はというと100万円にワンタッチした後、1週間ごと2週間後に110万円をトライするも失敗、しかし昨年のパターンとほぼ同じ時期の32日目と33日目に110万円にワンタッチに成功している。その後、やや低迷しており、ここがピークだった可能性はゼロではないが、昨年のパターンで行けば、そろそろ上抜けしても不思議はない。
最後に上は昨年と今年の年初来の出来高だ。昨年に比べて今年の出来高が如何に増えているか一目瞭然だ。マイニング報酬が売り圧力となるBTC相場にとって出来高の増加は一般に売り圧力の希薄化となる。更にマイニング報酬が減るのだから相場が強いのは当然か。しかし、足元では5月前半からだいぶ減っている。こうした傾向は昨年の100万円手前でのもみ合いではやや出来高が減少傾向にあった。しかし6月後半にかけて出来高は盛り返し、150万円手前までの急騰を演出した。そういう意味でも出来高の減少に歯止めがかかることが反発の条件で、そのためには多くの人が注目できる材料が必要だと考えており、その候補の一つが世界中の市場参加者が注目するFOMCだという訳だ。
ボラティリティにせよ、上記の材料にせよ、それで上昇すると決まったわけではない。ただ、過去のパターンで言えば、そろそろこの相場が動き出す可能性が高いと考える。
松田康生 (まつだやすお)
シニアストラテジスト
東京大学経済学部 国際通貨体制専攻 三菱銀行(本部、バンコック支店)ドイツ銀行グループ(シンガポール、東京)を経て2018年7月より現職。
短国・レポ・為替・米国債・欧州債・MBSと幅広い金融市場に精通
twitterアカウント:@FXcoin_matsuda