マーケット情報

2018.10.12【世界同時株安で一時68万円台】

2018-10-12 19:41[ 松田康生

Weekly Report 仮想通貨 ビットコイン イーサリアム リップル ビットコインキャッシュ ライトコイン



Review

リスクオフの流れを中国株が断ち切る

先週のBTC相場は横ばい推移の後、急落。75万円近辺で揉み合っていたが、米ハイテク株に端を発した世界同時株安を受けて一時68万円台まで急落した。週初はイエール大が仮想通貨ファンドに投資との報道などもあり底堅く推移。プリンストン大らにより中国の脅威がBTCに迫っているとする論文、更にIMFが仮想通貨の成長が金融システムの脆弱化のリスクを指摘すると73万円割れまで下落した。その後、米大手交換所コインベースの日本進出やZaifのフィスコへの事業譲渡の正式契約、更にハーバードやMITも仮想通貨に投資しているといった好材料が続き下げ止まるも、水曜日の米株の急落に上値の重い展開を続けた。アジア時間に入り日本株やこのところ相関を強めていた中国株が大きく下げてオープンするとBTCは連れ安、73万円か69万円割れまで急落した。米株は続落したが、明けて金曜日に中国株が下げ止まると、BTCも70万円台に値を戻している。

Outlook

イェール・ハーバード・スタンフォード・MIT

来週の底堅い推移を予想する。世界同時株安で急落したBTC相場だが、リスクオフの流れを本日の中国株の小反発で断ち切った形となり、木曜日のSpecial Reportにて指摘した通り中国株との相関を強めていたBTC相場も下げ止まりを見せている。先端技術との親和性が高いとはいえ、イェール・ハーバード・スタンフォード・MITなど全米の名だたる大学が仮想通貨への投資を始めた事は投資家参入の第一歩と言える好材料。その一方で、ロシアの交換所の仕手と言われかねない買い予告など市場の信頼を損ねる動きもあり、足元でもBitfinexの法定通貨の入出金停止が上値を重しとなる。一方で、先週CFTCが仮想通貨市場での不正に対する権限を確認したことに続き、今週はSECがICOへの取締りを拡大していると伝えられた。こうした規制の強化は市場の信頼を回復するためには避けられない通過儀礼で、むしろ歓迎すべき動きと考える。ただ、クロスボーダーで取引される仮想通貨市場の適正化には国際的な取組が必須で、来週開催されるFATFの全体会合に期待が集まる。会議の結果は報告書に纏められて次回G20までに公表される予定だが、19日にはマーシャル・ビリングスレー新会長による記者会見もあり注目される。貿易戦争や新興国問題を議論しつつ協調策を見いだせなかったと漏れ伝え聞く今回のG20だが、3月、4月、7月と会合直後の数日間はBTCが急騰しており、週末から来週にかけての値動きには注意が必要か。

注目度が増すブエノスアイレスG20

G20財務大臣中銀総裁会議とは、アジア通貨危機を契機に、国際金融システムの議論を行うに際しては従来のG7に加え主要な新興市場国の参加が必要と認識され創設された。G7はG20に取って代わられるとしてオバマ大統領が重視したことで知られているが、参加者が多い分、議論が纏まりにくく「為替レートを競争力強化の目的には使わない」という合意を見ても分かるように中国を中心に合意内容の有効性に疑問符がつく。そうした背景もあってか、最近では各国が合意しやすい会計基準や金融規制、テロ資金・マネーロンダリングといった各論において大きな役割を果たすようになっている。前回の共同声明でも4120文字中330文字が仮想通貨に割かれており、注目度が高い。

前回7月会合では「我々は、FATF基準の実施に関する我々の3月のコミットメントを再確認し、2018年10月に、この基準がどのように暗号資産に適用されるか明確にすることをFATFに求める。」とされた。これを受け、市場では9月のFATF中間会合で原案を作って10月のG20に報告する形を期待したが、どうやら10月14-19日の総会で議論しまとめられた報告書を基に11月29日のブエノスアイレスG20で議論されるようだ。そこで方向性が見出されるか注目されている。

加えてWSJが11月30日から始まるG20首脳会合に合わせて米中首脳会談を米側が打診しているとの報道があった。米中間選挙も終わっており、貿易戦争で何らかの落としどころが見られるか注目されている。そもそも、この問題は容易に解決しないことは日米貿易不均衡が何十年たっても解決しないことを見れば明らかで、中国側が譲歩する以外に沈静化する手段は無いと考える。会ってみたけれど決裂しましたでは事態を悪化させかねず、中国側が受けるならば相応の覚悟がある可能性がある。会談もさることながら、中国側の対応も注目を集めよう。

FATF全体会合

機関投資家参入に向けたインフラ整備が進み、実際に本格投資家の一部の参入も始まっている。今のBTC相場に欠けている市場の信頼性回復において、来週のFATF総会は大きな一歩であることは疑いようは無く、相場は徐々に底値を切り上げていくと考える。Bitfinexとテザーの動きには注意が必要だ。テザーに関しては本当に1テザー発行に対し1ドルが準備されているという点について常に不安視されており、これが崩れると市場に激震が入りかねない。そうした中、テザー発行と関りが強いBitfinexが法定通貨の入出金を停止したことが市場の不安心理をあおっている。今週半ばに取引銀行の信用不安により決済口座などを変更するとの報道もあり技術的な問題と思いたいが、再開されるまでは注意が必要だろう。

予想レンジ BTC 65万円~80万円

Altcoin

ETH:10月9日に予定されていたコンスタンティノープル・アップデートの延期やそのやりとりの中で創始者ヴィタリック・ブテリンが自分がいなくてもイーサリアムは残るとしたこともあり若干軟調に推移していたが、Bitstampでシステムトレードの暴走で複数の通貨が乱高下する中、ETHだけは買われてから売り戻されたため、元々ETH買いがあったのではとの思惑から堅調に推移。しかし、アンチ仮想通貨のルビーニ氏が一握りの人間が開発を担っている状況を称してVブテリンは一生独裁者とするとこれにブテリンが反論、同氏の挑発に乗って自らの資産を漏らす事態に至り、そのやや子供じみた振る舞いを嫌気してか値を下げ始める。世界同時株安では震源地の米株やBTCが4%程度の下落しか見せていないのに対しETHは1割近く下落、翌日の米株の続落に連れ安しなかったBTCに反しETHは続落、地合いの悪さを示す格好となる。9月のICOが大幅に減少したとのレポートやBCHなどイーサリアム以外によるICOも聞かれたが、需要の先食い的性格を持つICOの減少は買い圧力の減少と売り圧力の相対的増加により当面ETH相場の重しとなろう。

XRP:xRapid実用化による急騰後の軟調地合いを受け継ぎ始まると、Bitstampの後発注騒動の中で、一番最初に売られたのがXRPという見方から上値の重い展開に。CointelegraphがXRPを東京五輪の公式仮想通貨に指定しようというキャンペーンを紹介、リップル社が10月22-25日にSWIFTが開催するカンファレンスに出店するなど興味深い材料もあり上昇する局面もあるも売り戻されるなどポジションの重さを物語る展開が続いた。そうした中での世界同時株安で40円台前半と2割近くの下落を見せている。以前リップル社のCTOはSWIFTが社の顧客になる可能性を指摘していたが、このタイミングでの接近は、JPMとIBM(Hyperledger)との提携が関係している可能性もある。すなわち後発組同士が連合を組む動きを見せる中、先行者同士手を組む動きという見方もあり、目が離せない。確かにXRPは期待先行で買われ過ぎの感もあるが、一歩ずつ実用化が進むにつれ底堅さを取り戻そう。

BCH:週前半は5万円台後半での揉み合い、BCH初の大規模ICOやロジャー・バーによるBCHベースの交換所設立など好材料もあるも反応は限定的。Zaifによるフィスコへの事業譲渡が正式契約となり、ハッキングされた顧客分のBCHの全額補償が確定したが、補償分のBCHは購入済みだったこともあり下げ止まるにとどまった。世界同時株安で連れ安となった後、Bitcoin SVを提案するnChainと関係の深いSBI北尾社長が分裂騒動収束が難しいとの見方を示すと更に下落。Bitcoin Jesusことロジャーバー氏が周りが騒ぎ過ぎで対立は深刻でないとすると若干下げ止まりを見せる。北尾氏はマイナーの7割が中国に集中する構造を問題視しており、それが市場の発展を思っての発言か自社のマイニングや機器製造に参入の為の発言か判断しかねるが、後者であれば将来ライバルとなるBitmain社が支持するABCとの対立が深まる恐れもあり今後も注意が必要か。

LTC:週前半は目立った材料もなく6500円近辺で揉み合い。Bitstampの誤発注騒動で若干売られるも影響は限定的に止まる。創始者チャーリー・リーがBTCが1番でLTCは2番と発言するも目立った動意は見られず、世界同時株安によるアルトコインの売りに連れ安となっている。

Calendar

10月12-14日 IMF年次総会(バリ)
10月13日 WORLD BLOCKCHAIN FESTIVA (さいたまアリーナ)
10月13日 LTC Gemini上場
10月14日 ETHコンスタンティノープル テストネットにローンチ
10月14-19日 FATF全体会合 (パリ)
10月17日 CBOE BTC先物最終取引日


FXcoin Weekly Report 2018.10.12.pdf


(訂正のご案内)
10月3日付トピック「xRapid実用化で幕を開ける戦国時代」について、
当初バンカメはRippleNet顧客で無く、それゆえxCurrentではドル決済が出来ないとしておりましたが、同社はRippleNet Committeeのメンバーであることから同社にノストロ口座を開設することでRippleNet経由の支払い指図でドル決済が可能であることが判明しましたので、訂正申し上げます。それに伴い、本文では10月11日付で以下の個所を削除しております。
更にカード会社のAMEXは参加していますが、アメリカの3大銀行が入っていません。RippleNetで送金指図を認めている米銀がいないということは、参加行のNY支店にノストロを保有している場合は別として、米ドル決済が出来ないことを意味しています。また
まだ動きを見せていないCITIやバンカメの動きも気になりますし、

また、RBCもRippleNet Committeeのメンバーであることから以下修正を行っております。
参加行をみるとANZ(豪)、RBC(加)、カシコーン(泰)など上記に参加していない銀行

謹んでお詫び申し上げます。

松田康生 (まつだやすお)

シニアストラテジスト

東京大学経済学部 国際通貨体制専攻 三菱銀行(本部、バンコック支店)ドイツ銀行グループ(シンガポール、東京)を経て2018年7月より現職。 短国・レポ・為替・米国債・欧州債・MBSと幅広い金融市場に精通

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