通貨覇権をめぐる三つ巴の争い - (1) 暗号資産とリブラ

2020-06-23 15:00[ れんぶらんと

金融リテラシーのお話 仮想通貨 暗号資産

1. 暗号資産における需要取引拡大の兆しがある。
2. リブラ世界通貨となるポテンシャルを秘めていたが一旦軌道修正した。
3. 今は暗号資産,リブラ,中銀デジタル通貨、三つ巴の通貨覇権争いの入り口にある。


「通貨」に携わる者として、現在はとても興味深い状況となっています。紀元前に使われていた貝貨や石貨、世界最古の鋳造貨幣であるエレクトロン、紙幣、そして電子マネーへとつながってきた通貨の歴史において“次に何が来るのか”といいう変化さなかにあるからです。
そして“次”に名乗りを上げているのが、暗号資産(仮想通貨)であり、リブラに代表される民間ステーブルコイン、そして中銀デジタル通貨なのです。そしてこれらのうちのいずれかが、現在のグローバル経済において中心的役割を担っている基軸通貨米ドルの通貨覇権に挑戦することになる可能性が高いと考えられます。
今回より、複数回にわけてこの通貨覇権をめぐる攻防について見ていきます。


1.暗号資産における実需取引拡大の兆し

暗号資産における取引拡大の兆しが見えています。Renaissance TechnologiesやPaul Tudor Jones率いるヘッジファンドが暗号資産投資に参入しようとしていることは前回の当欄で指摘した通りです。実需送金の分野においても米リップル社が自社の送金プラットフォームであるRipple Netを使用するパートナー企業の数が350社となったと公表するなど、そのすそ野は確実に広がりつつあります。わが国に目を向けても、6月10日に一般社団法人 日本暗号資産取引業協会が公表した取引データ(今年1月と2月分のデータが公表)によると、暗号資産現物取引額は月間で前年比6.4%増えています(*2)。
他にも暗号資産については取引拡大の兆候がみられますが、それらはこれまで色々と書いてきたのでここでは割愛します。

2.民間デジタル通貨「リブラ」の登場

フェイスブックが昨年6月に発行計画を公表したデジタル通貨「リブラ」は、暗号資産業界だけではなく、各国の通貨当局者(中央銀行や財務省関係者など)を驚かせました。これまで、暗号資産普及の足かせとなっていた高いボラティリティや信用力の問題を、複数の先進国通貨建ての安全資産(国債や預金など)を裏付けとすることで、解決しようとしました。さらにフェイスブックには20億人以上のユーザーを有しており、ネットワーク効果も絶大であると考えられました。リブラを運営するリブラ協会はリブラの概要を説明するホワイトペーパーにおいて金融包摂(*2)を謳っており、社会的にも意義のあることだと思われました。

しかし、米国を中心とする反応は厳しいものがありました。「リブラは信用できない、Facebookは銀行免許をとるべき」(2019年7月11日 トランプ大統領)、「リブラの発行計画を進める前に非常に高い基準を満たさなければならない」(2019年7月16日 ムニューシン米財務長官)、「リブラには最高度の規制・監督が必要」(2019年9月6日 パウエルFRB議長)などです。ついには米上院がリブラ協会に参加している企業に警告ともとれる手紙を送付するにいたりました。これらの動きを受けて、当初リブラに参加するとしていたVISAやPayPalなどの大手企業が脱退を表明しました。フェイスブックのザッカーバーグCEOは2019年10月に米議会に呼ばれて「フェイスブックは米規制当局が承認するまでは世界のどの地域でもリブラの立ち上げには参加しない」と証言するにいたりました。

リブラ協会は今年4月に大幅に軌道修正した改訂版のホワイトペーパーを公表しましたが、それは複数の通貨を裏付けとするものではなく米ドルやユーロなどの個別の法定通貨ごとにリブラUSD、やリブラEURを発行するというものでした。これは国・地域の通貨主権に服する形を明確にしたことになります。また、当初の構想では「5年をメドにブロックチェーンをパーミッションレス(誰でも許可なく参加可能)とする」とされていましたが、今回の改定で、その部分は削除されました。
 

次号(通貨覇権をめぐる三つ巴の争い - (2) 中央銀行デジタル通貨の議論の高まり)に続きます。

(*1) 2019年の月間平均現物取引額は538,692百万円に対して、2020年は573,367百万円。
(*2) 英語のFinancial Inclusionの訳。経済活動に必要な金融サービスを、銀行口座を持たない人を含む多くの人々が利用できるようにする取り組み。

 

れんぶらんと

17世紀に活躍したオランダの画家レンブラント・ファン・レインの作品をこよなく愛する自称アーチスト。 1980年代後半のバブル期に株式および外貨資産投資を始め、いい思いをしてから投資の世界にどっぷりつかっている。

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暗号資産を利用する際の注意点
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  • 暗号資産の取引を行う場合、事業者が金融庁・財務局から行政処分を受けているか(※)を含め、取引内容やリスク(価格変動リスク、サイバーセキュリティリスク等)について、利用しようとする事業者から説明を受け、十分に理解するようにしてください。
    (※)金融庁・財務局が行った行政処分については、こちらをご覧ください。 https://www.fsa.go.jp/policy/virtual_currency02/index.html
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