2020.07.01【ビットコインは6月陰線引き、月足3連騰を拒んだのは何か?】

2020-07-01 17:03[ 松田康生

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Review

1万ドルが遠い

今月のBTC相場は上値の重い展開。5月末に半減期に向けたマイナーのオプションや先物ヘッジが期落ち、上値の重石の一つが取れていたBTC相場だったが、月明け早々、米中対立が激化、人民元安が進む中、1万ドルにワンタッチした。しかしハッシュレートがピークアウト、未承認取引が増加する中、1日も持たずに1万ドル割れ。しかし人民元が値を戻す中、BTCは反発、2月の下げを全戻ししたNasdaqが連日の史上最高値更新で10000ポイントに到達すると1万ドルに再びワンタッチ。しかしNYダウが市場史上4番目の下げ幅を記録すると95万円台まで下落した。トランプ大統領が1兆ドルのインフラ整備に言及、株が反発を見せる中、BTCも下げ止まると、その後は株式市場を見ながら一喜一憂する展開。Nasdaqが再び史上最高値を更新すると104万円台まで値を上げたがマイナーの売り報道やコロナ第2波懸念もあり上値を重くしている。

Outlook

6月3連騰を拒んだもの

6月はこれまで7勝2敗とアノマリー的には4月に次ぐ強い月で、4月5月と陽線が続いた過去5回はいずれも6月も陽線となっていたが、今回は陰線引け。7月もあまり強いアノマリーはないので月別の騰落表は省略した。今回、相場の上値を重くした理由の一つは「出来高の減少だ。6月29日には昨年10月以来の低水準を記録している。出来高が増えるから相場が上がるのか、相場が上がり始めると出来高が増えるのか、おそらくその両方だろうが、マイナー報酬による供給量が一定であるBTC相場では理屈上は「閑散は売り」になりがちだ。


コロナ第2波は地域限定

もう一つ、相場の重石になったのがコロナ第2波懸念だ。5月半ばから世界各地で経済再開が始まり、回復への期待感と金融財政政策による下支えから株式市場は順調に回復した。しかし6月半ばからカリフォルニア・テキサス・フロリダで感染者が増加、ヒューストンでは緊急事態宣言が復活した。ただ、冷静に数字を見てみると全米では上記3州での感染拡大で感染者が増えているが、一時大きく報道されていたNYやイタリアの感染者数は落ち着いています。連日東京都での感染者増が報道される日本でも、全体で見ればまだ落ち着いているようです。


史上最高の金融相場

こうした中でもNasdaqや金価格が高値を更新し続けていることは注目に値する。回復基調にあるとはいえ、経済は過去の水準には戻り切れない、いわゆる「レの字」型回復に過ぎない。それでも株価が史上最高値をトライするのは流動性相場だからだ。即ち、市場は史上空前の金融緩和の下、史上空前の金融相場、流動性相場が到来しようとしている。その物色の対象がBTCに及ぶ日もそう遠くないと考える。
予想レンジ:90万円~140万円

Topic

(続)そろそろビットコイン相場が動きそうだと思う理由
過去1年の20日のヒストリカル・ボラティリティを見ると概ね50%を割り込むと反発している。手元の計算で足元の数値は54%。ヒストリカル・ボラティリティでは将来の予測は難しいとされるが、50を割り込めば反発するというのが、従来のパターンだ。昨年との相似性でいえば、2019年は90万円を超えてから2週間後くらいに100万円をトライするも失敗、33日目に上抜けに成功している。2020年はというと100万円にワンタッチした後、1週間ごと2週間後に110万円をトライするも失敗、しかし昨年のパターンとほぼ同じ時期の32日目と33日目に110万円にワンタッチに成功している。昨年のパターンで行けば、そろそろ上抜けしても不思議はない。ボラティリティにせよ、上記の材料にせよ、それで上昇すると決まったわけではない。ただ、過去のパターンで言えば、そろそろこの相場が動き出す可能性が高いと考える。

NYダウ暴落後にリバウンドする傾向。ビットコインは再び1万ドルをトライするか?
6月11日、NYダウは過去4番目の暴落を見せ、市場のリスクオンムードは一気に後退した。リスクオンからの1万ドル超えをトライしていたBTC相場ははしごを外され、100万円を割り込んでしまった。11日のNYダウ前日比1864ドル安は下げ幅では史上4番目だが、前日からの下落率では6.9%と戦後14番目となる。そこで戦後の下落率6.0%から7.9%までの12件がその後、どういった相場を辿ったのか調べてもいると翌営業日は83%(12件中10件)が上昇、2営業日後は75%(12件中9件)、1週間後は66%(12件中8件)、平均変動(上)率は翌営業日が2.7%、2営業日後が2.6%、1週間後で1.5%だ。戦後75年、約2万営業日のうちTOP20に入るような大幅下落を見せたということは決して相場の状況が良いとは言い難いのにも関わらず、翌営業日や2営業日後に7割上の上昇を見せているということは、やはりこれだけ大きく下落した後にはリバウンドが来る傾向があると考えるのが自然だと考える。

なぜビットコインとイーサリアムが強い?コロナからの回復に現れる機関投資家の爪痕上半期の暗号資産(仮想通貨)市場のトピックを3つ挙げるとしたらコロナ禍と半減期と機関投資家の参入になるだろう。ヘッジファンド等機関投資家の参入はコロナ後の相場動向に現れている。銘柄毎に3月のコロナショック前の各銘柄のピークと暴落時の底値、そしてその後どこまで戻しているのか調べてみると、NYダウは6月8日に下落幅の82%、日経平均は翌9日に88%までの回復を見せている。Nasdaqに至っては108%と史上最高値まで更新している。これに歩調を合わせているのが98%のBTCと82%のETHだ。一方でXRP・BCH・LTCの低迷が目立ち、いずれも半値戻しも達成していない。市場規模や流動性を重要視する機関投資家がこの市場に投資するならばBTC一択で、1銘柄に投資を集中させるリスクを分散するために、次に時価総額の大きいETHを選好する。こうした事情がBTC・ETHとそれ以外のアルトとの差に表れていると考える。

続:ビットコインの上値が重いことに関する「不都合なデータ」
3月の暴落から順調に値を戻してきたBTC相場だが1万ドルを前に1か月半ほど上値を押さえられている。大手ヘッジファンドの参入や財政支出と無制限量的緩和、更に金融相場による株価の回復など強気材料はいくつもあるが、今ひとつ決め手に欠ける展開が続いている。17日の半減期から3回目の難易度調整では+15%と2018年以来のプラス調整となった。過去、2015年以降の約5年間で難易度が14%以上難化したケースについて、その後、相場がどう動いたのか調べてみると、12回のうちすべてのケースで翌日は相場が下落していた。この間、2001日あるうちで前日比マイナスになったのは916日と半数弱なのに対し、12回全て下落しているのは偶然というには出来すぎだろう。2日後でも12回中10回、3日後、7日後でも12回中9回下落している。これだけ弱い理由は不明だが、今回に関しては思い当たる節がある。半減期後に相場が上昇するにはタイムラグがある。2012年では半減期から45日を経過してから、2016年の場合は半減期の水準を上抜けるのは105日後だった。5月12日の半減期から45日で6月29日、105日だと8月28日だ。この過去のパターン通りになるかは分からないが、相場は俄かに材料を失っており、あと1週間程度は上値が重い展開が続く可能性が強いだろう。

Altcoin

上記は主要5通貨の6月のパフォーマンスだ。まずETHの好パフォーマンが目立ち、BTCがそれに並んでいる。一方でXRPの不振が目立つ。これはトピック「なぜビットコインとイーサリアムが強い?コロナからの回復に現れる機関投資家の爪痕」でご紹介しているコロナショック後の相場の特徴で、ルネッサンス・テクノロジーやポール・チューダー・ジョーンズ、更に彼らの感化されたファンドマネージャーらが新規参入した結果、流動性の高いBTC、そしてプラスワンとしてのETHに買いが集中し、それ以外のアルトコインには緩和マネーが入ってこないといった図式が続いている。また、先月紹介したようにXRP/BTCで重要なサポートレベルである0.000022-23を割り込んだXRPは対BTCでも1割以上下落しており、厳しい展開が続いている。

ETH:今月のETH相場は底堅い展開。月を通して25000円前後での取引に終始した。BTCの代替投資先として注目を集めるETHだが、デジタルゴールド化で時価総額が490倍になるといった調査会社のレポートやMKRなどERC20トークンの価格上昇もあり底堅く推移していたETHだが、一時話題になっていた巨額の送金手数料はハッカーによる脅迫の可能性が指摘され上値を重くした。1日の手数料がBTC全体を超えるなど送金内容はもちろん操作できないが送金手数料を外部から操作できることが判明、上値を重くした格好か。一方、1日の手数料がBTC全体を超えるなど通してネットワークはひっ迫、テザーの発行増やERC20の人気が後押ししている格好か。月後半にはプレミアムが高騰していたグレイスケールのETHトラストの価格が急落、ETH現物にショートカバーが入ったとの指摘も聞かれたが、上がったところでは上値を重くしている。


XRP:今月のXRP相場は上値の重い展開。対円でも対BTCでもじりじりと値を下げている。Western Union(WU)によるマネーグラム買収観測ではWUがODLを使用するかは分からないという論調も見られたが、WUのODL採用の可能性が高まったという見方の方が優勢だったが市場に与える影響は限定的。リップル社がCNBCで「破壊者50に選出され、ジャンカルロ前CFTC委員長がXRPは証券に該当しないと明言、市場が反応する場もあったが、SBI Ripple Asiaが年内にもODL開始との報にも反応を見せなかった。今年に入ってブロックチェーン技術の国際送金への応用においてXRPの独壇場ともいえる状況になっているが、それと反比例するかのようにXRP相場は冴えない展開が続いている。アルトコインの価値はその社会での有用性にあるという考えが正しいのであれば、こうした矛盾した状況はいずれ是正されるものと考えている。
  

BCH:今月のBCH相場は上値の重い展開。BCHのサポーターであるBitmain社がS19の廉価版T19シリーズを販売、半減期後のBTCマイニングの混乱の切り札になると期待されたが、一時追放されていたウー・ジハン氏のクーデターで解任されたミクリー・ザン氏が武装ガードマンとともに同社北京オフィスを占拠、新型機種の発想が遅延するとの懸念が広がった。最終的にミクリー氏がジハン氏らに株式買収を提案したが、まだ解決に至っていない模様。こうした中、BCHは若干BTCに劣後して推移している。


LTC:今月のLTC相場は上値の重い展開。月初に50ドルに一歩続かず反落すると、月を通してじりじりと値を下げる展開。基本ソフトのアップデートがあり、開発が停止していない状況は確認された。

FXcoin Monthly Report 2020.07.01.pdf

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松田康生 (まつだやすお)

シニアストラテジスト

東京大学経済学部 国際通貨体制専攻 三菱銀行(本部、バンコック支店)ドイツ銀行グループ(シンガポール、東京)を経て2018年7月より現職。 短国・レポ・為替・米国債・欧州債・MBSと幅広い金融市場に精通

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