ステーブルコインと法定通貨

2018-10-15 21:04[ にく

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日曜日に蒸気機関車に乗りたいという息子とプールに行きたい娘のリクエストを受け、鬼怒川にある温水プールへ行くことにしました。休日限定でSL大樹が東武線の下今市から鬼怒川温泉駅まで運行しているからです。公共交通機関の利用を少なくするため、栃木の下今市まで車で行くことにしました。

前回のハワイアンズで息子の新幹線の浮き輪に穴が開いていたのですが、突然の2週連続のプール行きで手配が間に合わず、やむを得ず7時頃から開いているディスカウントショップに探しに行き、10時頃に帰って来て、すぐに出発です。すると、朝食に小職が車の中で食べたマックの袋を見つけた息子がハッピーセットが欲しいと言い出します。聞くとあまり朝食を摂っていないらしく、内心、早く言えよと思いつつ、車はもう高速に乗ってしまっています。調べると久喜インターの近くにマックがある様なのでそこで降りることにしました。ところが蓮田の前でやはりサービスエリアが良いと言い出します。現在のハッピーセットのパトレンジャーVSルパンレンジャーのおもちゃは全種類揃っているでしょ、SAならお菓子も買える、という家内の説得が功を奏した形です。しかし、結果的にはこの説得が失敗でした。SAに着くなり後部座席から飛び出すように息子があけた扉が隣の車に当たったようです。正確には運転席にいた小職は気付きませんでしたが、娘を抱きかかえて待っていて、なかなか来ないので車の反対側に行くと家内と隣の車に乗っていたおじいさんとが揉めています。子供が開いたドアが当たったくらいなので謝ったら何とかなるかと思い、第一声ですいませんと下手に出る事にしました。しかし、このおじいさんは、「この車は良くぶつけられるからサービスエリアでも車を降りずに見張っている、そう思って見ていたら、ほらここにぶつかった傷がある」と指摘した部分に確かにわずかなへこみがあります。そして号泣しているぶつけた息子をよそに、修理費がどうこうという話をし始めました。こうなるとこちらも身構えます。大体、SAの駐車場で車の中で待っていること自体、普通じゃない可能性もあるし、もしそうなったら保険会社を通した方がいいと思い、そういうお話でしたらきちんと事故証明を取りましょうと提案し、そこから小一時間待つ羽目となりました。結局、このおじいさんの奥さんも戻って来て、SAでぶつけられるのを待っている怪しい人ではなかった事が判明、連絡先を交換して何かあったら連絡をもらうことでその場は別れました。下今市駅では少しの差で行きの汽車には間に合わなかったのですが、行きは普通電車で鬼怒川温泉へ行き、プールで遊んで、帰りはSL大樹号で帰ってくることが出来ました。夕飯は息子の希望通りマックにして、最終的にはつじつまが合ったというお話です。

仮想通貨業界で最近、怪しまれていると言えばUSDT(テザー)が挙げられます。USDTはテザー社が発行するステーブルコインで発行したテザーと同額の米ドルをテザー社が銀行に預託することで、1USDT=1米ドルの価値と償還を保証する形を採っています。しかし、テザー社が本当に発行額と同額の米ドルを保有しているのかの証明が難しく、たびたび市場の疑心暗鬼の原因となってきました。直近では、今年6月にFeeh Sporkin & Sullivan LLPという弁護士事務所がUSDTの発行額以上のドル預金があることを証明して事なきを得ましたが、これも正式な監査報告書ではなく、一説には大手の監査法人がそうした監査をしたがらないので、なかなか完全に疑念払拭とはいっていないようです。

そのテザー社と経営陣が重なるなど密接な関係にある大手交換所Bitfinexで法定通貨の入金が11日に停止されたので市場に緊張感が走りました。すると同交換所で取引されるUSDTの価格が本来は1ドル近辺であるべきものが、本日のお昼ごろには0.94近辺まで下落。するとBTC/USDTの価格もBTC/USDより6%以上プレミアムが乗る形となり、USDTのまま持っていると値下がりするだけでなく、償還もままならないのではという恐怖心理もあり同交換所でのBTC価格が80万円台に急騰、他の交換所でもBTC価格が連れ高となり対円でも一時75万円付近まで急騰しました。ただ、本日、Bitfinexで24時間以内の法定通貨の入金再開のニュースが出て市場は落ち着きを取り戻しつつあるが、まだ実際に始まっていないせいか現時点ではUSDT価格はまだ1近辺にまでは戻り切れてはいない様です。

こうして先行するUSDTへの不安が払しょくしきれない中、ウィンクルボス兄弟などから米ドルと連動する別のステーブルコインを発行したり、大手会計事務所のPwCがステーブルコイン発行を計画しているスタートアップと提携をするなど、USDTに続くステーブルコインを巡る競争も激化、日本でもGMOが円建てのステーブルコイン発行計画を発表しています。このように仮想通貨業界をにぎわす話題の一つとなったステーブルコインですが、そもそもなぜステーブルコインが必要なのでしょう。

例えば日本の利用者からすれば米ドル口座や海外送金をしなくとも海外交換所で売買をすることが可能となる。取扱通貨が多かったり、アルトコインのショートが振り易かったりと交換所毎の特色があるからでしょう。交換所側からするとそうした海外ユーザーのニーズをくみ上げられるでしょうし、手数料の問題やKYCの問題から法定通貨での入出金を嫌がっている節もある様です。また発行者からしても、ステーブルコインに金利は付けないのが一般的なので、預かった米ドルの金利収入も魅力です。更に、価格変動が少ないステーブルコインは将来的な個人間決済の媒介としての可能性も高いでしょう。それゆえ先行するUSDTの躓きを奇貨に雨後の筍のように次々と出るステーブルコインの中で、最後まで生き残れるのはごく一部と思われますが、各通貨は、保険を付けたり、会計事務所の監査を付けたりと激しいサービス競争をしていて、競争の中でいいものが残ってくれば利用者としてもメリットがありそうです。ただ、デジタルのドル代替資産であればブロックチェーンを利用する必然性もなく、また銀行が発行するドルペッグの仮想通貨であってもいいはずで、今後競争はもっと激化すると思っています。一方で、金利面のメリットもなく、海外ユーザーからのニーズもあまり聞かない円建てのステーブルコインの必要性は低いと感じるが、どういった使い道があるのかお手並み拝見です。

因みに、日曜日に帰宅して少し目を離すと娘が例によって小職の財布の中身をバラして、突然10円玉と100円玉をくわえてしまいました。特に10円玉は危険です。大泣きさせながら口をこじ開けて何とか奪い取りましたが、うちの子はどうやら法定通貨の方が好きな様です。親に似ただけなのかもしれませんが。

にく

前職は外資系金融機関外国為替営業。国内だけでなく海外を仕事(?)で飛び回る日々を送っていた。自らライオンと称しているが、他の動物に例えられることが多い。 好きなものは東南アジア諸国。趣味は早朝ゴルフ。特技はタイ語。

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