2020.8.3【梅雨が明けたビットコイン、8月に大化けするかもしれない材料】

2020-08-03 20:44[ 松田康生

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Review

年初来高値を更新

今月のBTC相場は堅調な展開。月前半は90万円台後半の狭いレンジでの取引を繰り返したが、6月から続く三角持ち合いをブレークすると、1万ドル(105万円)を突破、年初来高値10500ドル(111万円)も突破し、120万円台まで値を上げている。月前半はコロナ後の急回復を示す数字が続く一方で、全米でのコロナ感染者数増も嫌気される中、方向感の出にくい相場展開が続いた。そうした中、ワクチン開発に関するヘッドラインが続き、コロナ第2波懸念は燻るものの市場は明るさを取り戻しつつあった。一方でポンペオ米国務長官の演説を受け米中対立が激化、金価格が9年ぶりの高値を更新すると三角持ち合いを上抜け、更にETHが年初来高値を更新すると1万ドルも上抜けた。しかし年初来高値となる10500ドルに上値を抑えられたが、金が史上最高値を更新する中、大口のテザーの発行もあり同水準を上抜けると120万円近辺まで値を上げている。

Outlook

8月のジンクス

4月に続く最強月6月を陰線に終わったBTC相場だが7月は24%の上昇と陽線に戻した。しかし、続く8月は納税売りで最弱の3月に続く冴えない月で、過去9年間で3勝6敗だ。この背景としてBTC相場の夏枯れが挙げられる。供給が一定で実需取引がマイナーの売りであるBTC相場では株とは逆に「閑散は売り」となる傾向がある。実は7月前半も出来高の減少に悩まされた。7月21日は122憶ドルと今年の最低を記録した。しかし最後の1週間には平均245億ドルと倍増、上昇相場を演出した。この調子が続けば8月も何とか乗り切れるかもしれない。

7月上昇した主因

相場が上抜けた要因は金価格の上昇だ。7月に入り行き場を失った緩和マネーがNasdaqや中国株、テスラ株と急騰相場を演出してきた。金価格も1800ドル近辺から上放たれると一気に200ドル近く上昇、史上最高値を更新した。暗号資産市場でもカルダノ(ADA)やチェインリンク(LINK)など中堅どころからETHへと物色が続き、最終週に入ってようやくBTCに順番が回ってきた印象だ。

8月に大化けするかもしれない材料

こうした循環物色的な買いだけではこの上昇相場も長続きはしないかもしれない。事実、テスラ株も中国株も伸び悩んでいる。しかしBTCはもう一つの可能性、半減期による本格上昇相場が到来した可能性がある。上記は半減期を1としたその後のBTC相場だが、今回を含め3回ともタイムラグを経て上昇を始めている。マイナーの採算悪化を乗り越える必要があるからだ。もしそうした上昇が始まったならば、上昇は始まったばかりである可能性がある。また激化する米中対立にも注目したい。資本逃避に業を煮やしたせいか、中国国営銀行は金の新規口座開設を停止している。仮に習体制にひびが入るような事態に陥れば、メインランドからの買い意欲が強まろう。

予想レンジ:110万円~150万円

Topic

Grayscaleのビットコイン・トラストのプレミアムの縮小は何を示唆するのか?
先日、GrayscaleのETH Trust(ETHE)の価格が急騰・急落を繰り返し話題となったが、GBTCの価格もこのところ低下している。現在、GBTCは1株当たり0.00095943BTCを保有しており、1株当たりの理論価格はこの保有BTCに時価を掛けたものとなるが、通常、GBTCの方が高く、プレミアムと言われている。理論価格は、手数料分だけ年2%減価していくが、BTC相場とほぼ同一と考えると、プレミアムの動きと見事に相関している。今回、このプレミアムが低下しているのは、かなり気になるところだ。ただ機関投資家の需要減少は、このところの出来高減少に現れており、それでも底堅い相場展開をすでにしているという見方もある。また、ほぼ1年前に追加私募を行った結果、ETHEの様に裁定取引が行われている可能性もある。ただ、Nasdaqや金、さらにここ数日の中国株など流動性供給による金融相場が続く中、なかなかBTCに順番が回ってこない一因として頭の片隅に置いておきたい。
頭の片隅に入れておきたいビットコインを持たざるリスク~半減期の影響の可能性
BTC相場はいよいよ2月につけた年初来高値10500ドル(111万円)を更新した。この背景として、行き場を失った緩和マネーがアセットを物色する動きがあると指摘してきた。金、Nasadaq、上海株、テスラ株など先月から今月にかけて急騰した銘柄に枚挙がない。ただ、この緩和マネーによる循環物色は一時的なブームという側面も否めない。もちろん、バーナンキ元FRB議長はここで緩和を緩めてはいけないと警告し、また米共和党は再度1200ドルの現金給付を予定しており、過剰流動性が引き起こす資産インフレは続くだろう。ただ一方で忘れてはいけない材料がある。5月12日の半減期だ。半減期はBTCの唯一の実需であるマイナーの売り圧力を半減させるので、基本的には上昇要因となる。しかし、半減期前に期待先行で上昇、半減期を前にして失速するのが従来のパターンだった。仮に半減期後の本格上昇が到来したとするならば、相場は昨年の戻り高値程度では止まらない可能性もある。いわゆる「持たざるリスク」が意識される展開になりかねない。
年間予想見直し~ビットコインは年末220万円で据え置き、XRPは60円に引き下げ
昨年末のYearly Reportでお伝えしている弊社の年間見通しを、XRPのみ年末予想を80円から60円に引き下げる。2020年6月時点の予想に関してBTCはほぼピタリ。半減期前にピークを迎え、そこから反落するというシナリオもその通りの展開。しかしピークもボトムも想定より低かった。理由はコロナショック。ETHとLTCはほぼ想定内。アルトコインに淘汰の時代が到来し、有用性の高いETHが値を上げ、小口決済利用など実用可能性が後退しているLTCが値を下げるという想定通りの展開。XRPとBCHは予想と実績が大きく乖離している。BCHは決済利用も進まず、サポーターであるBitmain社内での内紛が激化、対BTCで値を下げているが、半減期前の上昇が大きかった影響か、想定ほど値を下げていない。最も予想から乖離したXRPだが、ODLの利用が進み、送金面での優位性は揺るがないというシナリオから、対BTCで0.00003から0.00004に値を上げるという想定が実際には0.000019と下がってしまっていることが乖離の主因。現時点ででの発射台が低くなったこと、XRPBTCのレジスタンス0.000023超えには手こずりそうであることから、年末見通しを20円引き下げた。
通貨覇権をめぐる三つ巴の争い - (2) 中央銀行デジタル通貨の議論の高まり
今回は、ここ1年で急速に注目をあびている中央銀行デジタル通貨について詳しく見ていきます。CBDCに関する議論はここ1年あまりで急速に高まってきました。この背景は日本銀行の資料によると、a.金融セクターにおける技術革新への関心の高まりb.決済サービス等への新規参入c.一部の国における現金(銀行券および貨幣)利用の減少d.民間のいわゆるデジタル・トークンへの注目 の4点があります。これらに加えて、中国の動きが米国を中心とする各国中銀関係者を慌てさせていることも挙げなければなりません。「人民元国際化」国是に掲げている中国が世界第2位である経済力を背景に、デジタル人民元を使って本気で通貨覇権を取りに来ているのであれば、他国の中銀関係者は心中穏やかではありません。
ビットコインはヘッジか、セーフヘブンか?
「分散投資の効果」については誰もが耳にしたことがあると思います。1つの資産に投資するよりも、複数の資産に投資する方がリスクを分散できるという話です。しかし、そもそも仮想通貨には分散投資の効果があるのでしょうか。KajtaziとMoro(2019)はビットコインを投資先に含めると、リスク調整後のリターンが高くなりポートフォリオのパフォーマンスを大幅に向上させることを示しました。ビットコインがヘッジ機能と分散効果を有していることが示唆されます。高頻度取引の増加とビットコインの日中リターンのボラティリティの高さを踏まえ、Urquhart and Zhang (2019)は高頻度の日中データを検証しています。その結果、ビットコインはスイスフラン、ユーロ、英ポンドにとってヘッジ資産であり、豪ドル、日本円、加ドルにとってリスク分散資産であることを発見しました。また、ビットコインは加ドル、スイスフラン、英ポンドにとってはセーフヘブン資産でもあり、投資家はこれらの通貨の市場が極端に混乱している時期に安全への逃避先としてビットコインを購入していることを示しています。これらの結果は、ビットコインが特定の通貨に対してヘッジ資産、リスク分散資産、セーフヘブン資産として機能していることを示しています。


Altcoin



上記は主要5通貨の7月のパフォーマンスだ。ETHが最も強く、XRPとLTCが続いている。BTCは最後に遅れてついてきた印象だ。よく見ると、上昇した時期がそれぞれ若干ずれている。月前半にまずXRPが上昇、月央にはADAやLINKなど中堅どころが上昇、一時はLTCと時価総額で逆転していた。その後、ETH2.0の目標日付が定まったETHが上昇、LTCが追随し、ようやくBTCもつれ高となった。要は暗号資産内で下げが一服したり、好材料が出たものが買われ、それが出遅れている銘柄が物色される好循環が続いていた。注目すべきはBTC上昇後の推移で、XRP、ETHと上昇が再開し、循環物色が2周目に入りつつあり、BTCに上値余地がありそうで、事実、8月に入ってさらに上昇を見せている。

ETH:今月のETH相場は底堅い展開。6月から続く25000円近辺でのもみ合いから上放たれると35000円まで上昇、4万円台を伺っている。テザーの発行増やDeFiやERC20トークン人気などもありETHのネットワークに対する需要は高まり続け、上昇圧力がくすぶり続けるが、ETH2.0開発遅延が上値を抑えているせいか、今ひとつ動意に欠ける展開が続いた。しかしETH2.0に向けた最終テストネットが8月4日にローンチされることが決まり、3か月問題がなければ11月4日にメインネットにローンチされると伝わると上昇を始め、年初来高値を更新、35000円まで上昇を見せた。グレイスケールの7月17日から28日までの11日間にETHファンドの運用残高が174百万ドル増加したと報告、BTCプラスワンとしての機関投資家からのETH人気の高さを伺わせた。

XRP:今月のXRP相場は大きく上昇、長らく続いた下落トレンドからの反転を予感させる展開となった。6月は好材料が多かったにも関わらずXRP相場は冴えない展開が続き「アルトコインの価値はその社会での有用性にあるという考えが正しいのであれば、こうした矛盾した状況はいずれ是正される」と申し上げた。7月に入り比較的ヘッドラインは出てこなかったが、19円台で下げ止まると22円まで反発、20セント台を回復した。すると7月9日に「XRP」のツィート数が1日として過去最高を記録、BTCをも上回るなどXRP人気を伺わせた。月後半にはさらに値を上げ、XRPUSDの200日移動平均線を上抜けると、2月の高値の半値戻しとなる22セント台や25円台を突破。足元では、5月に割り込んだXRPBTCの重要なレジスタンス、0.000023をトライしている(なお、8月に入り同レジスタンスをブレーク、一時34円台まで上昇を見せている)。

BCH:今月のBCH相場は堅調な展開。目立った材料もなく主要アルトコインの中で比較的出遅れ気味に推移したが、グレイスケールがBCHとLTCのファンド株式を公開するとしたことで同ファンド残高が急増、サポーターであるBitmain社の内部抗争激化をよそに3万円台を回復に成功している。

LTC:今月のLTC相場は堅調な展開。月初にMiblewimbleが9月テストネットリリース予定とされ5000円台を伺うもADA・LINKに軒並み時価総額で抜かれ9位に転落するなど冴えない展開が続いた。しかしグレイスケールのがLTCファンドの株式を公開の承認を得たことや同ファンドが7月17日から28日までに2百万ドルから8.9百万ドルに急増、またLTCはBTCの先行指標との見方も出回り、物色買いで6000円台に乗せている。




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松田康生 (まつだやすお)

シニアストラテジスト

東京大学経済学部 国際通貨体制専攻 三菱銀行(本部、バンコック支店)ドイツ銀行グループ(シンガポール、東京)を経て2018年7月より現職。 短国・レポ・為替・米国債・欧州債・MBSと幅広い金融市場に精通

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