FRB議長講演でなぜビットコインは売られたのか?これからどうなるのか?

2020-08-28 17:57[ 松田康生

トピック 仮想通貨 暗号資産 ビットコイン

昨日、カンザスシティー連銀主催の恒例のサマー・シンポジウムが開幕した。例年、ワイオミング州のジャクソンホールという避暑地で開催され、日米欧他の中銀総裁クラスが一堂に会し話題を集めるが、今回はコロナの影響でTV開催となり、少し寂しいものになってしまった。というのは、各プログラムの内容もさることながら、イベントの合間での総裁たちの立ち話などに不規則発言があったりして注目を集めていたからだったが、それを補うかのように、今年はパウエルFRB議長のオープニングスピーチで新たな金融政策の方針が示されるとして注目を集めていた。

その議長講演および同時に発表された新たな声明で平均2%の長期インフレ目標の採用が示された。「インフレが2%を下回る期間が続くと、適切な金融政策は、しばらくの間(for some time)2%をやや(moderately)上回るインフレを達成することを目指している」とされている。厳密にいつからいつまでの期間平均で2%を目指している訳ではなく、下回っていたら上回ることを目指すなど、ある程度幅をもたせようとしている訳だ。

ここで少し寄り道をしてインフレターゲットについてお話しよう。最初にインフレターゲットが採用されたのは戦前のスウェーデンだそうだが、1990年代に英国圏を中心に広まり、高インフレに悩む南米などに拡大した。これは中銀の独立性とセットとなる考えだ。即ち、民主主義国家では政府は人気取りのために金融緩和を求めがちとなるが、毎回それを受け入れてしまうとインフレが止まらなくなるので、中銀は政府から独立した方が良いとされている。一方で選挙の洗礼を受けていない中銀総裁が国民生活を左右する重要な経済政策の決定権限を持つのは民主主義の観点から問題となる。そこで国会と中銀とがインフレ目標を定め、契約を交わし、守れなかった場合には総裁は国会に始末書を提出して説明を求められたり、酷い場合は罷免されるという国もある。

これに対し、米国の中銀は物価の安定と完全雇用の2つの目標を課されている。いわゆるDual Mandateだ。この結果、インフレ率のターゲットを定めても、雇用が目標に達してなければ金融緩和を止めるわけにいかないという事情がある。FRBのインフレターゲットの直接の目標はPCEコアデフレーターだが、フォワードルッキングモデルと言って現在の金融政策を決定する際には足元のインフレ率でなく、期待インフレに着目する。コアPCEはまだ1%以下だが、10年国債などから計算する期待インフレは3月の0.55%から1.75%まで上昇してきた。このまま2%のターゲットに拘っていたら無制限量的緩和が続けられなくなる日も近い。一方でコロナショックにより2千万人以上増えた失業者の内、職場復帰を果たした人は半数にも達していない状態で金融緩和はやめられない。そこで、インフレターゲットに幅を持たせることにした訳だ。

一方で、市場では長期金利が上昇し、ドル買いとなり、金やBTCも下落した。じつは、債券市場では利下げなどの金融緩和は将来のインフレ上昇につながるので長期金利の上昇要因というのが教科書的な反応だ。正確に言えば、イールドカーブのスティープ要因で、結果として長めの金利が上昇する。それに反応してドルが買われることもよくある動きだ。しかし、その原因が将来のインフレ上昇であり、更にその将来のインフレの上振れをFRBが公式に認めたのであれば、金やBTCは買われて然るべきだと考える。そう頻繁には見られないが、仮に市場が逆方向に動いたのであれば、そう時を置かず、是正する動きが出ても不思議はないと考えている。

松田康生 (まつだやすお)

シニアストラテジスト

東京大学経済学部 国際通貨体制専攻 三菱銀行(本部、バンコック支店)ドイツ銀行グループ(シンガポール、東京)を経て2018年7月より現職。 短国・レポ・為替・米国債・欧州債・MBSと幅広い金融市場に精通
twitterアカウント:@FXcoin_matsuda

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