DeFiブームでETH上昇、ロックアップ需要が起因か?
2020-09-03 14:17[ 中村健太郎 ]
- ロックアップとはスマートコントラクトに暗号資産を預けること
- ロックアップすることで、利息などの収入を得ることが可能
- DeFiブームに乗ってETHの買い需要が増加
ロックアップとは?
担保として暗号資産を預ける
最近、DeFi関連のニュースを見ていると、「ロックアップされた金額が○○億ドルに到達」といったことをよく見かけます。このロックアップとは、ロックと表記されることもありますが、DeFiのプラットフォーム(スマートコントラクト)にETHなどの暗号資産を預け入れることを指しています。投資家はスマートコントラクトにロックアップすることで、利息収入などを得ることができます。このようにDeFiによる運用方法を示す造語として「イールドファーミング」や「リクイディティマイニング」がありますが、前者は暗号資産をDeFiのレンディングなどで運用し、利息収入を得ること、後者はDeFiプラットフォームに流動性を供給する対価として、トークンなどの報酬を得ることを指しています。
前回もご紹介したDeFi PULSEのスマートコントラクト上にロックアップされた金額を示す指標であるTVL(Total Value Locked)が6月初旬では約20億ドルでしたが、足元では100億ドルに迫る勢いです。この金額だけ見ると約5倍の伸びですが、ETHなどの暗号資産の価格上昇も金額の増加要因となります。つまり、一概に5倍増加したと言えるものではありませんが、一つの参考指標としてDeFiブームが到来していると言えると思います。
引用:DeFi Pulse (https://defipulse.com/) 2020年9月2日時点
ロックアップ金額とETH相場の関係は?
ロックアップ金額とETH出来高
ここ数日ETH相場は堅調に推移しており、9月2日には年初来高値を更新し、一時50,000円台に乗せました。この背景の一つにはDeFiブームがあると思いますが、DeFi PULSEによればこの3日間でロックアップされたETHは115万ETHで1日約184億円です(9月2日時点の水準48,000円で換算)。9月1日のETH出来高は2兆円弱となっており、約1%前後のロックアップ需要でここまで相場が動くのかという印象ですが、やはりDeFiブームも後押ししてETH買いが正当化される部分が大きいのでしょうか。ロジックとしてはDeFiにロックアップされるETHが増えると、ETHの買い需要の増加や、ETHの供給量が減るため、価格の上昇要因になると考えており、暫くはDeFiブームとともにETH相場は堅調に推移しそうです。口座開設はこちら
中村健太郎 (なかむらけんたろう)
大手総合商社で為替予約・ポジション管理、トレードファイナンス、バックオフィス等、幅広く財務関連業務の経験あり。海外(シンガポール)では、アジア・大洋州地域のコーポレートファイナンスに従事し、2019年10月より現職。