コラム

ジャンボ!ビットコインを利用した海外送金は始まっている!

2018-10-29 19:11[ にく

仮想通貨小噺 仮想通貨 暗号資産 ビットコイン リップル

週末は白樺湖に行って来ました。予報では土曜のお天気が悪そうだったので室内プールや遊び場が充実していることと日曜に併設の遊園地で遊べることが選んだ主な理由です。実際には両日とも雨に降られることはなく、土曜はリフトで山頂に上って紅葉とフクロウの展示を楽しんで、日曜は遊園地で遊んできたのですが、怖がる息子をジェットコースターに乗せるために欲しがっていたレッドダイヤルファイターのおもちゃの購入を約束したのですが、近くにおもちゃ屋らしいものが見当たらず、帰りは佐久平のショッピングセンターに寄って関越から帰るという、渋滞を合わせて往復10時間のお父さん的には体力的にかなりきつい道中となりました。

この白樺湖を選んだのにはもう一つ理由があって、この蓼科高原地区は中学1年生の時、初めて一人旅をした思い出の地だったことです。お年玉を貯めての旅行では白樺湖畔のリゾートホテルなど泊まれる訳もなく、いつか自分のお金でこういうところに泊まってみたいと思ったことを30うん年ぶりに果たした格好です。泊まったテディ―ベアの部屋はぬいぐるみばかりで足の踏み場が無く、子供にはいいのですが、夜中にトイレに行くのに苦労しました。スキー以外のシーズンは子供向けに特化しているせいか、朝は隣の赤ちゃんの泣き声で目を覚ますという、我が家にとっては好ましい状況で、レストランで眠くなった下の娘が床の上で寝転んでも周りもあまり気にしない理想的な環境でした。ホテル特製の地ビールやバイキング形式の夕食もおいしかったのですが、中でもネパール人シェフ特製のネパールカレーが美味でした。結婚してからはあまり行っていないのですが、実は小職は社会人デビューのバックパッカーで、思い出すのがネパール経由でチベットに行った際、まあチベットの食事がまずいこと。特に牛肉がヤクの肉を使用していて、チンジャオロースでさえ臭くて食べられませんでした。そこでラサからカトマンズに戻った時に食べたネパール料理の旨かった思い出がよみがえりました。この子たちがもう少し大きくなったら一緒に世界を旅したいと思わずにはいられませんでした。

世界を一人で旅しているとやはり食事には苦労するのですが、どんな奥地に行ってもチキンとフライドポテトだけは裏切りません。チベットでもそうでしたが、南米のベネズエラやボリビア、アフリカのマリの奥地などでも鶏肉で乗り切っていた覚えがあります。それでも、南米の観光地ならまだいいのですが、マリくらいになるとインフラがあまり整っておらず旅行するのも辛くなってきますし、現地旅行会社に連絡したり、代金を送金するのもかなり苦労した覚えがあります。それでも何とか旅行できたのは、当時急速に携帯電話が普及していたからだと思っています。これはかつての中国でも起こったことですが、固定電話の普及が十分でない国では、電話線網を張り巡らせる前に携帯電話が爆発的に普及してしまう事がよくある様です。小職がマリに行ったのは2009年頃だったと記憶していますが、総務省によれば2000年から2013年の間のアフリカの携帯電話契約数は11百万から580百万へ50倍に増えて、マリでも普及率は75%を超えている様です(総務省平成27年情報通信白書)。

同時にアフリカで携帯電話を利用した決済の動きが加速している様です。世銀によれば銀行口座を持たない成人は世界に17億人いますが、そのうち2/3は携帯電話を持っているそうです。その結果、サハラ以南のアフリカでモバイル口座保有者が急増していて、8か国(ブリキナファソ・コートジボアール・ガボン・ケニア・セネガル・タンザニア・ウガンダ・ジンバウエ)では銀行口座を持たないがモバイル口座は保有している成人が2割を超えています。その動きを牽引しているとされるのがケニア発祥M-Pesaというサービスで、Safaricomという携帯会社が運営していて、仕組みは送金者が最寄りのM-Pesaが使用できる店舗に行って現金を預け、送金番号・暗証番号などが記入されたSMSを受取人に送り、受取人はそのSMSやIDカードを持って近くの店舗に行って現金を受け取るという非常に単純なもので、なぜ今まで無かったのか不思議なくらいです。驚くべきは2007年の開始以来利用者は急増し、2016年時点でケニア国内で人口の4割となる18百万人のアクティブ・ユーザーがいると報道されています(CNN)。この示すところは、固定電話の段階を飛ばして携帯電話が爆発的に普及した様に、銀行サービスが普及していない国ではモバイル決済サービスが銀行決済の段階を飛ばして普及しているということです。

(M-Pesaの仕組み 総務省「開発途上国等におけるICT利活用の現況等に関する調査研究」(平成27年))


すると仮想通貨業界として次に気になるのが海外送金です。こちらに関してもBitPesaという会社が近隣7か国(ガーナ・ケニア・ナイジェリア・セネガル・タンザニア・ウガンダ・コンゴ)がBTCを媒介とした国際間の送金サービスを提供しています。Pesaというのはスワヒリ語でお金を指すらしく、名前は似ていますがM-Pesaとは別の会社です。出資者には仮想通貨業界でもお馴染みのパンテラ・キャピタル・マネージメントが名を連ね、同社CEOのダン・モアヘッド氏は取締役も務めている様です。仕組みは送金人から受け取ったケニア・シリングをBTCに変換し、受取人の口座にはBTCをナイジェリア・ナイラに交換して入金する様です。BTCを使うので取引承認まで10分程度かかりますが、大した問題ではないでしょう。xRapidでXRPが媒介に使用されているのとほぼ同じ仕組みです。よく値動きの激しい仮想通貨は送金に適さないという勘違いを目にしますが、同じ仲介人がBTCの売り買いをすれば価格変動は関係ありません。為替のスワップや債券の現先と同じ原理です。そういう指摘する大学教授はあまり金融の知識が無いのでしょうか。

一方で、仮想通貨推進派の中にはSWIFT決済は時間がかかる、仮想通貨なら数秒だという人もいますが、これも誇張されていると考えます。SWIFT決済にかかる時間の中には(日本ではあまり目にしなくなりましたが)送金人が窓口で申し込みして、いろいろ事務作業があって、現地の受取人口座に入金するまで、場合によっては実需確認資料などをそろえる時間まで含めているのに対し、仮想通貨の数秒というのは送金銀行と受取銀行間で用意ドンで決済する時間しか計算していません。日本の実務で考えると、大企業と銀行とでは企業の社内システムから銀行システム、そしてSWIFT発信まで一気通貫で行うシステムが準備されているケースが多いのに対し、XRPを使用するにはシステム開発から始めるか手入力するかで、どちらが時間がかかるかはかなり微妙です。しかし日本などからアフリカのセネガルにお金を送るにはこのBitPesaの方が圧倒的に早そうです。同社は既にスペインのオンライン送金プラットフォームTransferzeroを買収、欧州-アフリカ間での送金する仕組みを作り上げています。そして日本との間ではSBI Remitと提携し、日本-アフリカ間のみならず、日欧間でもBTCを媒介した送金サービスを提供する下地も出来上がりつつある様です。

こうした途上国でのケースは仮想通貨の実用化のいい例だと思います。日欧間の大企業間決済などでは当面の間は既存のSWIFT決済の方が便利そうですし、アフリカなど既存サービスがカバーしていなかったところではすぐにでも仮想通貨に置き換わっても不思議ではないでしょう。例えば国を挙げて仮想通貨を推進しているカンボジアなどがいい例で、10年以上前にカンボジアで100ドルをリエルに両替すると、札束がいくつも渡されて閉口した覚えがあります。ミャンマーでの不動産売買はトラックに札束を摘んで持っていき、数えきれないので札束の重さで測るなどという都市伝説も聞いたことがあります(専門の職人がいるという噂もある様です)。しばらくはそうして様々な決済方法が併存して行き、技術が進歩するにつれ使い勝手のいいサービスが生き残っていくのでしょう。

因みに、BitPesa対応の7か国のうち旅行で3か国に訪れたことがあるのですが、円からタンザニア・シリングへの両替には、円→ドルまたはポンド→ケニア・シリング→タンザニア・シリング(空港などではドル・円からの両替も可能でしたが、国境を陸路で越えることとケニア・シリングが東アフリカの基軸通貨だったため、予めの両替を勧められた)と2回通貨を経由して閉口しました。次回、息子が大きくなって訪れる時はBTCだけ持っていけば良さそうです。但し、この場合は激しい値動きに晒されるので注意が必要ですが。

にく

前職は外資系金融機関外国為替営業。国内だけでなく海外を仕事(?)で飛び回る日々を送っていた。自らライオンと称しているが、他の動物に例えられることが多い。 好きなものは東南アジア諸国。趣味は早朝ゴルフ。特技はタイ語。

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