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2018.11.02【RippleとR3の提携構想】

2018-11-02 23:21[ 松田康生

Weekly Report 仮想通貨 暗号資産 ビットコイン イーサリアム リップル ビットコインキャッシュ ライトコイン



Review

70万円近辺の底堅さを確認

今週のBTC相場は概ね71万円を挟んでの揉み合い。週央にかけて下値をトライするも70万円近辺の底堅さを確認する形となった。マネックス決算発表後の同社株の急落、韓国系企業オーナーによる欧州大手Bitstamp買収や日経の仮想通貨課税漏れ対策強化へとの報道などが嫌気され2万円近く急落するが、70万円割れで反発。翌日コインチェックの口座開設再開が伝わるとマネックス株がストップ安となりBTCも上昇。同社株が失速し、イェレン前FRB議長がBTCファンでないとすると、BTC相場も上値を重くした。GSがNDF提供準備が完了したとし、MSのレポートでBTCは機関投資家向けアセットクラスとするなど好材料が出るも上値の重い展開となると、突如値を下げるも70万円割れに失敗すると急反発。テザー社がバハマの銀行に保有するドル預金を公表するとじりじり値を戻している。

Outlook

規制の重要性の認識広まる

来週の底堅い推移を予想する。先々週に続き先週もレンジ上抜けを予想したが、今週も引き続きレンジ内での底堅く上値の重い展開が続いている。今週はBlack Rockのラリー・フィンクCEOがBTCの適法性(legitimate)が確認されればETFを発行したいとした。機関投資家向けのアセットクラスへの進化が現在のBTC相場のテーマとしたモルガンスタンレー(MS)のレポートでは、参入が進まない理由として①規制が未整備②カストディーの不備③大手の不算入を挙げているが、カストディーサービスが急速に整備されている状況を考えると①の規制こそが一番必要とされていることが分かる。ABACUS JOURNALがJPモルガンがBakktの活用を検討していると報じたが、結論自体は全くの観測で注目を集めなかったが、その中でJPM従業員の言葉としてBakktはクリーンでクリアな規制された仕組みをBTC相場にもたらす。としている。すなわち、機関投資家が求めているのは規制されて不正が取り締まられている市場であり、先物市場としてCFTCの監視下にあり、翌日渡しの現物市場としての性格を併せ持つBakktは、BTC市場に欠けているインターバンク(エクスチェンジ)市場となり得るポテンシャルがある。こうした、市場の最大の注目は公正な価格形成で、Bakktはその一助になるという認識が市場参加者に広まるに連れ、上値のレジスタンスを抜けるという見方は不変だ。

RippleとR3提携構想

もうひとつ今週注目すべきはSBIによるRippleとR3の提携構想だろう。2か月足らずでリップルネットの参加社を倍増させるなど海外送金での活用が注目されるXRPだが、xRapid実用化で幕を開ける戦国時代で申し上げた通り、この分野は競争が激しく、またxRapidでついに海外送金の媒介にXRPを使い始めたとしても、送金銀行と受取銀行との間を取り持つリクィディティー・プロバイダーが法定通貨に対してXRPをBUY/SELLするだけなので需給に与える影響は実は限定的だ。更に、ジャンボ!ビットコインを利用した海外送金は始まっている!でご紹介の通り、XRPでなくBTCを送金の媒介に使う方法は何年も前からアフリカで行われており、是非とも、仮想通貨がほとんど取引に使われていないとしたイェレン前FRB議長に教えてあげたいところだ。もしかすると彼女はアフリカに行った事がないのかもしれない。そもそも、まだ法定通貨と代替として機能していない仮想通貨を取り上げて、通貨としての3要素を満たしていないと指摘することにほとんど意味はない(この点に関して、クルーグマン教授の変心と仮想“通貨”論争ご参照)。問題は、そのニーズやポテンシャルがあるかどうかだ。

ブロックチェーンにしか出来ないもの

株式会社GUMIの國光社長は仮想通貨領域で生き残るのはブロックチェーンでしか出来ないこと、コピーできないデジタルデータでしか出来ないこととしている。これを送金で考えれば、現在、銀行間の暗号キーで真正性を証明しているSWIFT経由の支払い指図をブロックチェーン技術に置き換えているだけで、そう難しい話ではないし、SWIFTから変わらなければならない理由も不明瞭だ。単に長年独占してきたSWIFT側がシステム更新を怠っていただけというのが本質かもしれない。これに対し、信用状・船荷証券といった取消し出来ない書類が行きかうトレード・ファイナンスの分野の電子化はブロックチェーン技術の得意とするところだ。この分野でも各銀行が電子化でしのぎを削っているが、従来のシステムでは限界がある。何故なら、なぜ国際貿易で未だにテレックスの紙をちぎったLC決済という化石の様な商慣行が残っているのかと言えば、それは貿易相手が信用できないからだ。だから船荷証券という船会社が発行した紙っぺらを有価証券として重宝する訳だ。本来なら港で代金と荷物を交換したいくらいだが、そうする訳にはいかないからだ。この分野で先頭を走るR3とXRPとの提携が実現すれば、仮想通貨が通貨の3条件を満たす日もそう遠くないかもしれない。

今度こそ

市場では十分認識されているとは言い難いが、こうした規制面での進展に加え、実用面でも大きな動きがあり、レンジの上抜け間近と考える。CFTCによるBakktの承認あたりが、上値ブレークのきっかけになるのではないか。

予想レンジ BTC 65万円~85万円

Altcoin

ETH:今週のETH相場はBTCの急落に連れ安となった後、プラハで行われたイーサリアムコミュニティーのイベントDevcon4で前向きな発言が続いたこともあり、底堅い値動きを見せた。同イベントで、ETH開発チームからICOのプロジェクトが失敗した時に投資資金を回収できるリバーシブルICOが提案され、イーサリアム企業連合が新たな仕様をリリースするなどポジティブなニュースが続くと値を戻し始めた。ゴールドマンサックス(GS)が以前報道があったETHのNDFの提供を否定すると上値を重くするが、同イベントでヴィタリック・ブテリン氏がコンスタンティノープルに続くセレニティーのアップデートでスケーラビリティーが1000倍に拡大すると週初のレベルまで値を戻している。1日に開催された金融庁主催の仮想通貨交換業研究会ではICOに対する規制が話し合われ、いくらイノベーションを支援するといえども、現在の無法状態は看過できず、投資的性質を持つトークンにはIPOに準じた規制が必要との意見が見られた。世界的にこうした認識は共有され始めており、以前の様なICOバブルの到来は見通しにくい。そうした中、以前の様なICOに絡む需要の先食い相場は期待できず、当面ETH相場の上値は重い展開が続くと思われるが、話題のステーブルコインがいずれもETHベースであるなどプラットフォームとしての地位はむしろ向上している印象もあり、底堅い推移を予想する。またイーサリアム財団と関係の深いコンセンシスが小惑星探査企業を買収したが、これがどういう動きに繋がるか将来が楽しみだ。

XRP:XRP相場は、BTC急落に連れ安となったが、好材料が続き週を通しても上昇した。SBIの決算発表でR3にXRPを使用させる構想が発表された。またSMS等でXRPを送れるXRP Textが発表され、中国の仮想通貨格付けでの順位が15位から7位に上昇、更にリップルネット参加企業が200社を超えたと伝わると週間高値を更新している。100社を超えたとされた9月初めから2か月も経たない間に100社と契約した計算になる。xRapidの商用化で同社がリードしている海外送金分野は競争が激しいし、ブロックチェーンである必要性もあまりない。一方で、R3のデビット・ルッターCEOは先週のSWIFTのイベントでR3とハイパーレッジャーの2頭立てのレースと評したLC決済などのトレード・ファイナンスこそブロックチェーン技術の導入が待たれる分野であり、一気に普及する可能性がある。世界の半分でXRPが使用される時代が到来する予感すらしてくる。市場はこの材料を消化しきれていないものと思われる。52円を上抜ければ、一気に上昇が加速する可能性もある。

BCH:引き続きハードフォークが予定されている11月15日を前に神経質な展開。BTCに連れ急落。CoingeekがSVバージョンでの開発案件に賞金を出すとの報道もあり値を戻すも、XRPとR3の和解を仲介し、SV派のnChainと近いSBI北尾社長の会見でBCHへの言及はなく、軟調に転じる。その後のBTCの戻りに値を戻すが、SV派の徹底抗戦の構えは変わらず、ウォレットサービスを提供するLedgerが11月15日のBCHに関するサービス停止を発表するなど、分裂が現実化しつつある。当面、上値が重い展開が続こう。

LTC:引き続きLTC独自の材料に乏しい中、得意とすべき決済面でもXRPなどに話題をさらわれ埋没しかねない状況が続いている。英CMCでの取扱い開始も、他のアルトコインは反応薄だが逆にLTCのみ反応している様に見える。分裂騒動のBCHの方が、話題性がある分、堅調に推移する傾向すら見られている。決済利用など新たな材料が無い限り、当面軟調な推移を続けるか。


Calendar

11月5-8日  FINTECH WEEK(ワシントン)IMF共催、規制関係のトピック多くCFTCジャンカルロ会長出席
11月8-9日 World Blockchain Forum (NY) 大富豪ティム・ドレーパー登壇
11月10日 Hi-Con 日本初の大規模イーサリアム技術者会議

FXcoin Weekly Report 2018.11.02.pdf

松田康生 (まつだやすお)

シニアストラテジスト

東京大学経済学部 国際通貨体制専攻 三菱銀行(本部、バンコック支店)ドイツ銀行グループ(シンガポール、東京)を経て2018年7月より現職。 短国・レポ・為替・米国債・欧州債・MBSと幅広い金融市場に精通

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