地政学リスクにビットコインはヘッジできるか?

2021-02-15 11:46[ 岩壷健太郎

岩壷教授の経済教室 暗号資産 仮想通貨

岩壷教授の経済教室 第19回

 ビットコイン価格は今年に入ってからも続伸しています。その要因の1つとして、電気自動車(EV)で有名なテスラがビットコインを15億ドル相当購入し、将来的にビットコインを支払い手段として受け入れる予定であることが報じられています。また、決済大手のペイパル・ホールディングスも年内に暗号資産(仮想通貨)による決済を始める計画を公表しました。それに伴い、ビットコインなどの暗号資産の上昇圧力が強まっています。
 このようにビットコインなどの資産価格は様々なイベントに反応して変動しますが、ビットコインがヘッジ資産であるならば、市場の混乱時にも、他の資産と負の相関性を持つことによってポートフォリオの収益を安定化することが期待されます。
 今回紹介するSuその他(2020)の論文では、戦争や紛争といった世界的な地政学リスクに対して、ビットコインがヘッジ機能を果たすかどうか検討しています。地政学リスクが高まると、一般的に投資家は将来を不安視し、金などのヘッジ資産に需要がシフトします。しかし、ビットコインが世界的な地政学リスクの高まりに対して、ヘッジとなるかについては十分な証拠が得られていません。
先行変数が遅行変数の原因になると解釈するグレンジャー因果性テストを使って、地政学リスクとビットコイン価格の因果関係を検証していますが、価格変動の激しいビットコインではサンプル期間を通じて、推計式のパラメータの安定性が確保されないので、正確な検証結果が得られません。
 そこで、地政学リスクとビットコイン価格の間の時間的に変化する相互関係を探るサブサンプル検定を適用した結果、地政学リスクのビットコイン価格への影響は正と負の両方であることが明らかになりました。正の効果は地政学的事象が発生した場合にビットコイン価格が上昇することを示しています。地政学リスクが高ければビットコインの価値が高まることから、ビットコインは世界的な地政学的事象に伴うリスクを回避するための資産と考えることができます。しかし反対に、地政学リスクがビットコイン価格に与えるマイナスの影響は、ビットコインを常に地政学的事象に伴うリスクを回避するための資産として捉えることができないことを示唆しています。この結果は、とりわけビットコイン市場の黎明期に顕著でした。
 地政学リスクはビットコイン価格にプラスに作用することから、ビットコイン市場は世界的な地政学的事象に伴う金融リスクを再認識し、それに備えているという点では先行指標であることがわかります。また、地政学リスクとビットコイン価格の間の時間的に変化する相互関係を分析することで、ビットコインは多くの場合、地政学リスクを回避するための資産と考えることができます。
参考文献
Su, C., Qin, M., Tao, R., Shap, X., Albu, L. L., Umar, M., 2020. “Can Bitcoin hedge the risks of geopolitical events?” Technological Forecasting & Social Change, 159, 120182.

表 地政学リスク(GPR)とビットコイン価格(BCP)の推移

岩壷健太郎 (いわつぼけんたろう)

岩壷健太郎

神戸大学大学院経済学研究科 教授 早稲田大学政治経済学部卒業、東京大学経済学研究科修士課程修了、UCLA博士課程修了(Ph.D.)。富士総合研究所、一橋大学経済研究所専任講師を経て、2013年より現職。財務省財務総合研究所特別研究官、金融先物取引業協会学術アドバイザー、日本金融学会常任理事を兼務。為替、株式、国債、コモディティの各分野で論文多数。主要著書として、『コモディティ市場のマイクロストラクチャー』など。

アーカイブ

金融庁のホームページには以下の留意事項が掲載されています。
暗号資産交換業者登録一覧 
https://www.fsa.go.jp/menkyo/menkyoj/kasoutuka.pdf

  • 本一覧に記載した暗号資産は、取り扱う暗号資産交換業者に説明を求め、資金決済法上の定義を満たしていることが確認されたものにすぎません。
  • 本一覧に記載した暗号資産は、金融庁・財務局がその価値を保証したり、推奨するものではありません。暗号資産は、必ずしも裏付けとなる資産があるわけではなく、財産的価値を有すると認められた電子データに過ぎないことにご留意ください。
  • 暗号資産の取引を行う際には、以下の注意点にご留意ください。

暗号資産を利用する際の注意点
https://www.fsa.go.jp/policy/virtual_currency/04.pdf

  • 暗号資産は、日本円やドルなどのように国がその価値を保証している「法定通貨」ではありません。インターネット上でやりとりされる電子データです。
  • 暗号資産は、価格が変動することがあります。暗号資産の価格が急落し、損をする可能性があります。
  • 暗号資産交換業者(※)は金融庁・財務局への登録が必要です。利用する際は登録を受けた事業者か金融庁・財務局のホームページで確認してください。
    (※)暗号資産と法定通貨の交換や、暗号資産同士の交換を行うサービスを提供する事業者、暗号資産の管理を行う事業者など
  • 暗号資産の取引を行う場合、事業者が金融庁・財務局から行政処分を受けているか(※)を含め、取引内容やリスク(価格変動リスク、サイバーセキュリティリスク等)について、利用しようとする事業者から説明を受け、十分に理解するようにしてください。
    (※)金融庁・財務局が行った行政処分については、こちらをご覧ください。 https://www.fsa.go.jp/policy/virtual_currency02/index.html
  • 暗号資産交換業者の提供するウォレットで暗号資産を管理する際に、パスワードを設定する場合には、IDと同じものや利用者の名前、電話番号、生年月日等の推測が容易なものを避けるほか、他のウェブサイトと同じID・パスワードの組合せを使用しないなどの対策を講じる必要があります。管理する暗号資産が盗まれるおそれがあります。
  • 暗号資産や詐欺的なコインに関する相談が増えています。暗号資産の持つ話題性を利用したり、暗号資産交換業に関する制度改正に便乗したりする詐欺や悪質商法にご注意ください。

取引にあたっての注意事項

  • 取引にあたり手数料が発生することがあります。手数料の詳細については、こちらをご確認ください。
  • 取引ではスプレッドが発生します。スプレッドとは売値(BID)と買値(ASK)の差のことで、レートの変動によって値幅が広がる場合、狭まる場合があります。
  • 暗号資産取引では価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。取引にあたっては、各種約款、契約締結前交付書面やお客さま向けの資料等をよくお読みになり、取引の内容を十分にご理解いただいた上で、ご自身の責任と判断において取引を行ってください。

暗号資産に関するリスクについて

  • 暗号資産は、日本円等の法定通貨とは異なり、国等によりその価値が保証されているものではありません。
  • 暗号資産取引に使用する秘密鍵を失った場合、保有する暗号資産を利用することができず、その価値を失うことがあります。
  • 暗号資産は、ブロックチェーンその他の記録の仕組みが破たんした場合には、その価値が失われることがあります。
  • 暗号資産の価格が変動することによって損失が発生することがあります。
  • 暗号資産は、代価の弁済を受ける者の同意がある場合に限り、代価の弁済のために使用することができます。
  • 当社はお客様の資産を当社の資産とは分別して管理おりますが、当社が倒産した場合には、預託された資産を返還することができない可能性があります。
  • 当コンテンツは投資判断の参考として投資一般に関する情報提供を目的としたものであり、投資に関する最終的な決定は、利用者ご自身の判断でなさるようお願いいたします。これらの情報によって生じたいかなる損害についても、当社及び本情報提供者は一切の責任を負いません。

FXcoin 株式会社

  • 暗号資産交換業者:登録番号 関東財務局長 第 00019 号
  • 所属する認定資金決済事業者協会:一般社団法人 日本暗号資産取引業協会