米機関投資家の買いは細っているのか?ビットコイン市場の不都合な事実

2021-03-11 16:00[ 松田康生

トピック 仮想通貨 暗号資産 ビットコイン

Grayscale社のBTC Trustのプレミアムがマイナスに転じ話題となった。Grayscale社は暗号資産を対象としたファンド商品の代表格で、暗号資産のエクスポージャーは持ちたいけれど、自前のウォレットは持ちたくないし、与信管理上、交換所に預けっ放しにもできない機関投資家の暗号資産投資の受け皿となってきた。BTCなど代表的なファンドの持ち分(株式)はOTC市場で取引されており、そのOTCでの市場価格が、ファンドが保有するBTCから割り出した理論値を上回ることが多い。その差はGrayscaleプレミアムとして、機関投資家のBTCに対する人気を示す代表的な指標の1つとされ、BTC価格との連動性も見られていた。例えば、昨年末時点でファンド1株あたり約0.00095BTCを保有しており、年末のBTC価格29000ドルから1株当たりの理論値は27.55ドルのところ、市場では32ドルで取引されており、それだけ人気が高いと見ることが出来る訳だ。



このプレミアムが2月末からマイナスに転じ、市場に動揺が走った。理由の一つとして、プライマリーでBTCを払い込んでファンドを購入した場合、当初一定期間はセカンダリー市場で売却できないのだが、その据え置き期間が終了した投資家がファンドを売って、現物を買う、裁定取引を行っていると指摘された。新規流入フローが大きかった昨年8月の購入分が半年の据え置きを経て売りに出されているという訳だ。しかし、そもそもこのファンドが人気なのは、その現物保有が難しい投資家が多かったからで、そうした動きだけでこのタイミングでのマイナス転の全ては説明できないだろう。次に、BTC建てのETPやカナダでのETF開始、更にMicrostrategyのようなBTC関連銘柄と機関投資家が直接BTC現物を保有せずに投資する方法が増えた結果、無理してプレミアムの高い商品を買うインセンティブが薄れたというものだ。カナダのBTC ETFが始まった時期とも重なる。年間手数料が2%のGBTCから1%のカナダのETFに乗り換えが進んでいるという見方だ。ただ、CoinSharesが週次で公表している主要BTC関連ファンドへの資金フローを見ると、そうしたETFへの流入増を上回るGrayscaleへの流入減があり、ネットで資金流入が減少している(但し、まだプラスは維持している)。


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松田康生 (まつだやすお)

シニアストラテジスト

東京大学経済学部 国際通貨体制専攻 三菱銀行(本部、バンコック支店)ドイツ銀行グループ(シンガポール、東京)を経て2018年7月より現職。 短国・レポ・為替・米国債・欧州債・MBSと幅広い金融市場に精通
twitterアカウント:@FXcoin_matsuda

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