エルサルバドルがビットコインを法定通貨にする影響~人類の偉大な一歩になりえるか~

2021-06-10 15:33[ 松田康生

トピック 仮想通貨 暗号資産 ビットコイン

マイアミで開催された「Bitcoin2021」へのメッセージで、エルサルバドルのブケレ大統領が「BTCを法定通貨とする法案を近く国会に提出する」と表明したことはサプライズだった。そもそも「Bitcoin2021」のスケジュールに大統領の名前は無く、Strike社のJack Mallers CEOの、アポロ11号のアームストロング船長が初めて月に降り立った時の名言“One small step for Bitcoin, One giant leap for mankind”をもじったタイトルのプレゼンテーションの中でのリモート出演だった。このMallers CEOの表現は、今回のエルサルバドルのBTC法定通貨化の意義を的確に示しており、本稿では、なぜ「この小さな一歩が人類にとって偉大な一歩となるのか」を考察したい。

 日本国内では、BTCが法定通貨に採用されると「外国通貨」に該当するため「暗号資産」から外れてしまうという反応が見られた。日本は世界に先駆けて、資金決済法でBTCなどを「暗号資産(当初は仮想通貨)」と定義し法整備を進めてきたが、資金決済法では、「暗号資産」の定義から「外国通貨」は除かれることになっているからだ(第2条5項1号)。ただ、エルサルバドルが目指している制度は我々がイメージする通貨とは若干異なる様だ。法定通貨である米ドルを止めてBTCに移行する訳ではなく、両者を並行して使用する。例えば、商店にBTCでの受取を義務づけるとともに、BTCの価格変動リスクリスクを回避するために、政府がBTCをドルに交換する制度も構築する。日本の法解釈上どうなるかは置いておいて、同国が「法定通貨(Legal tender)」に加えるとしたのは、法定通貨としての米ドルは維持しつつ、補完的な支払手段としてBTCを加えるということだ。

 なぜ同国はこうした決断をしたのだろうか。前述の通り同国は自国通貨を放棄し米ドルを法定通貨として使用している。これをドル化と呼び中南米ではパナマやエクアドルなど複数見られる。それ故、BTCを支払手段に加えることに抵抗感が無かったことが理由の一つに挙げられる。いわゆる通貨発行益(シニョレッジ)や通貨主権に拘りがないため、便利なものなら採用しようとなり易い訳だ。次に、大統領も指摘していたが、同国の銀行口座を持たない人(Unbanked)の多さが挙げられる。(分母が分からないが)国民の7割が既存の金融システムの恩恵を受けられていなければ、暗号資産は金融包摂の切り札となる。弊社コラム「ビットコインは法定通貨になりうるのか?エルサルバドルで初の法案提出」でフロッグリープ現象として紹介しているが、例えば固定電話が普及していない地域でその段階を飛ばして携帯電話が普及したように、銀行やクレジットカードなどの金融システムが普及していない地域で暗号資産決済が先に普及する現象だ。

この記事は当社会員専用です。ログインしてご覧下さい。

当社会員でないお客様は、口座開設が必要です。

松田康生 (まつだやすお)

営業推進部 部長代理

東京大学経済学部 国際通貨体制専攻 三菱銀行(本部、バンコック支店)ドイツ銀行グループ(シンガポール、東京)を経て2018年7月より現職。 短国・レポ・為替・米国債・欧州債・MBSと幅広い金融市場に精通
twitterアカウント:@FXcoin_matsuda

アーカイブ

金融庁のホームページには以下の留意事項が掲載されています。
暗号資産交換業者登録一覧 
https://www.fsa.go.jp/menkyo/menkyoj/kasoutuka.pdf

  • 本一覧に記載した暗号資産は、取り扱う暗号資産交換業者に説明を求め、資金決済法上の定義を満たしていることが確認されたものにすぎません。
  • 本一覧に記載した暗号資産は、金融庁・財務局がその価値を保証したり、推奨するものではありません。暗号資産は、必ずしも裏付けとなる資産があるわけではなく、財産的価値を有すると認められた電子データに過ぎないことにご留意ください。
  • 暗号資産の取引を行う際には、以下の注意点にご留意ください。

暗号資産を利用する際の注意点
https://www.fsa.go.jp/policy/virtual_currency/04.pdf

  • 暗号資産は、日本円やドルなどのように国がその価値を保証している「法定通貨」ではありません。インターネット上でやりとりされる電子データです。
  • 暗号資産は、価格が変動することがあります。暗号資産の価格が急落し、損をする可能性があります。
  • 暗号資産交換業者(※)は金融庁・財務局への登録が必要です。利用する際は登録を受けた事業者か金融庁・財務局のホームページで確認してください。
    (※)暗号資産と法定通貨の交換や、暗号資産同士の交換を行うサービスを提供する事業者、暗号資産の管理を行う事業者など
  • 暗号資産の取引を行う場合、事業者が金融庁・財務局から行政処分を受けているか(※)を含め、取引内容やリスク(価格変動リスク、サイバーセキュリティリスク等)について、利用しようとする事業者から説明を受け、十分に理解するようにしてください。
    (※)金融庁・財務局が行った行政処分については、こちらをご覧ください。 https://www.fsa.go.jp/policy/virtual_currency02/index.html
  • 暗号資産交換業者の提供するウォレットで暗号資産を管理する際に、パスワードを設定する場合には、IDと同じものや利用者の名前、電話番号、生年月日等の推測が容易なものを避けるほか、他のウェブサイトと同じID・パスワードの組合せを使用しないなどの対策を講じる必要があります。管理する暗号資産が盗まれるおそれがあります。
  • 暗号資産や詐欺的なコインに関する相談が増えています。暗号資産の持つ話題性を利用したり、暗号資産交換業に関する制度改正に便乗したりする詐欺や悪質商法にご注意ください。

取引にあたっての注意事項

  • 取引にあたり手数料が発生することがあります。手数料の詳細については、こちらをご確認ください。
  • 取引ではスプレッドが発生します。スプレッドとは売値(BID)と買値(ASK)の差のことで、レートの変動によって値幅が広がる場合、狭まる場合があります。
  • 暗号資産取引では価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。取引にあたっては、各種約款、契約締結前交付書面やお客さま向けの資料等をよくお読みになり、取引の内容を十分にご理解いただいた上で、ご自身の責任と判断において取引を行ってください。

暗号資産に関するリスクについて

  • 暗号資産は、日本円等の法定通貨とは異なり、国等によりその価値が保証されているものではありません。
  • 暗号資産取引に使用する秘密鍵を失った場合、保有する暗号資産を利用することができず、その価値を失うことがあります。
  • 暗号資産は、ブロックチェーンその他の記録の仕組みが破たんした場合には、その価値が失われることがあります。
  • 暗号資産の価格が変動することによって損失が発生することがあります。
  • 暗号資産は、代価の弁済を受ける者の同意がある場合に限り、代価の弁済のために使用することができます。
  • 当社はお客様の資産を当社の資産とは分別して管理おりますが、当社が倒産した場合には、預託された資産を返還することができない可能性があります。
  • 当コンテンツは投資判断の参考として投資一般に関する情報提供を目的としたものであり、投資に関する最終的な決定は、利用者ご自身の判断でなさるようお願いいたします。これらの情報によって生じたいかなる損害についても、当社及び本情報提供者は一切の責任を負いません。

FXcoin 株式会社

  • 暗号資産交換業者:登録番号 関東財務局長 第 00019 号
  • 所属する認定資金決済事業者協会:一般社団法人 日本暗号資産取引業協会