相場小康に見るべきこと

2018-11-13 10:35[

田中泰輔の通貨にまつわる仮想 仮想通貨 暗号資産 投資

相場が落ち着いた今こそ

仮想通貨の発展は近い将来に飛躍的に進む、その可能性、トリガーを引き続き注目している。今年、仮想通貨市場は大きく値を下げ、取引量を減らし、ボラティリティを低下させている。しかし、この足元の相場の低迷を、仮想通貨の将来を危ぶむ兆候とするような論調を真に受けると、大きな潮流を見失う。市場の小康をよそに、あるいは相場が落ち着いている今だからこそ堅実に、仮想通貨の普及・発展を目指す動きが勢いを増している。

そもそも、昨年の歴史的大相場へと舞い上がった仮想通貨が、望まれる将来像でないことは明らかだ。上げ相場と高ボラティリティは投機マネーを引寄せる。取引量が増え、一見相場は活況になるが、過度の高ボラティリティからは、健全な投資マネーもビジネスも遠ざかってしまう。昨年中は、加熱しすぎた投機心理が沈静しないことには、仮想通貨が資産として、決済手段として信認を得て定着していく芽も摘まれかねないと、危惧すら抱いたものだ。

ブームの教訓

もっとも、投機相場の活況を否定的にとらえるばかりではない。あのブームがあって、仮想通貨への注目度が急速に高まり、乗り遅れまいとする金融機関、機関投資家、企業、取引業者、政府・中央銀行の研究にも弾みが付いた。個人投資家まで広く認知も高まった。他方では、多くの問題点もが一気に集約的に確認され噴出し、技術的改善、安全性の確保、規制のあり方など諸課題の検討がより具体的に進められている。

投機もまた相場形成には不可欠なものだ。市場で売りたいときに売れ、買いたいときに買える取引の流動性を提供するのは、活発な投機である。時にその投機が一方向に大きく長く傾き、過剰な相場を形成することは問題になる。ただし、社会現象になるような投機の暴走は往々にして、投機筋個々の問題である以上に、投機的な思惑を信念にしてしまう制度・政策、発見・発明、社会不安など、より大きな背景によって生じることを理解したい。

なぜ日本だったのか

この点で昨年最も考えさせられたのは、仮想通貨ブームの発生が、金融危機で銀行閉鎖に陥ったキプロス、規制を逃れたい資金がうごめく中国に続いて、なぜ日本なのか、だった。キプロスも中国も危機や規制からの逃避先を政府から自由な仮想通貨に求めた。日本は、信頼ある金融システムを持ち、国内外でマネーのやりとりも原則自由。その日本でなぜという問いに、金融リテラシーの低さとか一攫千金の強欲といった答はどうも核心を突いていない。

注目するのは、日本の若年層に蔓延する「閉塞感」だ。報道等によると、仮想通貨ブームの担い手は若年層が多かった。急激な高齢化と人口減の中で、日本の若者は、経済は成長せず、税負担は増え、年金では割を食う将来像を当然視する。高齢者が多数派の政治・制度に疎外感を抱き、財政や日銀の先行きに不安を覚える。そんな閉塞感が、政府や既存の金融システムからの自由を発想の原点とする仮想通貨こそが未来を開く、という信念の下地になったと感じる。韓国にブームが波及したことも、閉塞感という点で類似性を感じる。

仮想通貨こそ未来というような信念は漠然としたものだ。むしろ曖昧なことが投機の熱狂を起こす要件でもある。具体的になるほど、先々の計算が可能になり、社会的熱狂にまで舞い上がりにくい。そうした漠とした空気を、投機へ、信念へと昇華させたきっかけは、日本のいち早い仮想通貨の法整備だったと考える。政府や既存システムを当てにしない若者の背中を、政府の「お墨付き」が押したなら、皮肉なことではある。しかし、歴史的にも、燃焼寸前の心理に点火するきっかけは、はるかに意外で些細な要因であるケースは多い。

旧来システムとの橋渡し

今回の仮想通貨ブームとその沈静の中で確認されたのは、次の発展ステージがひとり非中央集権的に進むことはないだろうということだ。規制を含む市場の整備が進む。中央銀行や金融機関が仮想通貨を既存のシステムに取り込んで行く。そして、旧来システムと橋渡しされることで、仮想通貨市場の安全性と透明性が担保され、相対的な価値評価もしやすくなる。この流れは、非中央集権の未来を追求する膨大な数の勢力が邁進する助けにもなるはずだ。その先に若者が未来の可能性を感じられるフィールドが拓けると期待している。

以上

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