大手プラットフォームサービスのNFT売買機能が示すもの
2021-07-30 11:00[ Fracton Ventures ]
ShopifyのNFT販売サービスの提供
とりわけ注目をしているニュースが2021年7月28日に掲載された、ECサイト構築サービス大手のShopify社が自社の主力商品である、誰でもECサイトをオープンできるサービスShopifyの中にNFTを取り扱える機能を追加実装することを発表している件であります。出典:ShopifyでストアによるNFTの直接販売が可能に(TechCrunch Japan)
https://jp.techcrunch.com/2021/07/28/2021-07-27-shopify-now-allowing-imerchants-to-sell-nfts-directly-through-their-storefronts/
このユースケースとして、実際にNBAの著名チームであるシカゴ・ブルズのECサイト内でNFT販売を開始しています。

出典:https://nft.bulls.com/
これまでのNFT販売では、通常以下のような挙動フローを行っていました。特にMetamaskなどの専用のウォレットと呼ばれるツールを用いて、いくつかの作業を行う箇所や、そのウォレットの管理などが難しく、一般の方が大手ECサイトで商品を購入する感覚でNFTを買えなかったことの一つの要因でした。
従来のNFT販売におけるユーザー体験:
1. Metamaskなどのウォレット、ウォレットアドレスを作成2. 暗号資産交換業者などから、ETHを1作成のウォレットに移動
3. NFT販売サイトに移動し、Metamaskで署名
4. ガス代や、場合によりいくつかの許可を与える署名を繰り返し、NFT購入を実施
5. 手元ウォレット内にNFTを受け取る
クレジットカード対応型でのNFT販売におけるユーザー体験:
1. NFT販売サイトを訪れる2. 商品をカートに入れ、決済ページへと移行する
3. 決済をクレジットカードで行う
4. NFTを受け取るウォレットアドレスを記入する
5. 指定したウォレットアドレスにてNFTを受け取る
しかし、報道に出ていることを前提にすると、Shopifyのようなクレジットカード決済対応ECサイトでは、NFT受け取り用にウォレットを作成する必要はあるのかもしれませんが*、煩わしい複数の署名などの手続きを一切省いてNFTを、さも『一般的なネットショップのように』購入できるようになることが期待されています。
*サービスにより異なることが予想されます。
なぜこのようなことが可能になるのかというと、NFTは必ずしも発行と販売を同時に行う必要がないからです。つまり事前にECサイトで販売する分のNFTを発行(業界用語でMintと呼ばれます)しておいて、その後それらを在庫として保持した状態で、通常のECサイトのように売買していくことが可能になっています。
また、購入後のNFT二次売買に関しても、ユーザー数が多いブロックチェーンを採用し、その上でNFTを作成しておくことで売り手数を制限されることなく対応ができるようになることが見込まれています。実際に報道ベースでは、ShopifyサービスはEthereumとFLOW(NBA Topshotなどで採用)の両ブロックチェーンをNFT発行元が選択できると語っており、このようなサービスが国内でもより普及していくことが予想されます。
デジタルなものを買うという行為は、以前は単にゲームアイテムなど限られたエリアの出来事でしたが、こうした誰でも使えるユーザー体験を提供できる大手プラットフォームが、パブリックブロックチェーンを採用することで提供する『容易にNFTを購入できる体験』はより多くの方が、もっと自然にNFTにふれる機会を増やすことにつながるのではないでしょうか。
Fracton Ventures (フラクトン ベンチャーズ)
Fracton VenturesはWeb3.0の未来を支援者ではなく貢献者として共創していく専門家集団です。Web3.0社会の実現に向けてグローバルエコシステムの一助を担うべく活動を行うと共に、サステナブルかつオープンなプロトコルを育てる為のトークン設計を行っていきます。