ついに始まったLayer2競争
2021-09-15 12:05[ Fracton Ventures ]
他方、NFTの裏で開発が進んでいたLayer2(レイヤー2)競争がついにはじまりました。
今回のコラムでは、2021年9月現在におけるLayer2競争についてまとめていきます。
Ethereum Layer2、ついに真打ち登場
Ethereumは常にムーブメントの中心地にいます。Crypto Kittiesが出てきた時も、ICOが出てきた時も、DeFiが出てきた時もそうでした。しかし、同時にスケーリングとの戦いがEthereumの歴史です。
Crypto Kittiesが話題になった4年前の2017年当時には、Crypto KittiesがEthereum全体のトランザクションの15%程度を占めるようになり、当時ネットワークの手数料や、トランザクション速度などでかなりネットワークを逼迫しました。
出典:Techcrunch記事より
https://jp.techcrunch.com/2017/12/04/2017-12-03-people-have-spent-over-1m-buying-virtual-cats-on-the-ethereum-blockchain/
その後、Ethereum Killerを謳うパブリックブロックチェーンが多く誕生しました。その多くで使われていた謳い文句は、TPS(Transaction per Second、秒間トランザクション数)でした。さらにEthereumは今日も進行するEthereum2.0への大きな歩みを本格化していくのですが、この開発を行う中でも、いかに現状のEthereumをスケーリングさせるかという観点に悩まされ続けました。
そんな中で登場したのが、Optimism(オプティミズム)とArbitrum(アービトラム)です。
OptimismはもともとPlasmaの研究者達が中心となり構築されたチームです。対してArbitrumはOffchain Labsという同じくこの分野で研究開発を行っていたチームで支えられています。
双方ともOptimistic RollupというEthereumの上に作成された、より高速な処理の出来る疑似Ethereumネットワークのようなものを構築し、そこでEthereumと同じようにDeFiやDAO、Dappsなどの動作を行うことが可能です。スマートコントラクトの動作も保証しています。
両ネットワークはEthereumにおけるスケーリングの鍵ともいえ、NFTセールなどで一気にガス代が高騰するEthereumのLayer1を代替する可能性を秘めています。
これまでEthereum系のエコシステムでは、Sidechainにトークンを移すことで高速処理を実現する方法が一般的でした。Polygon(旧Matic)やxDai Chainなどがその例です。しかし、Optimistic Rollupを用いることでEthereumのネットワークから出ずに、Ethereumネットワーク内で高速処理が実現できる環境が作られた今、こうした先行するSidechainの牙城をどう崩すのか、住み分けられるのかなどに関心が集まっています。

現状は上記の画像のようにArbitrumがTVL(Total Value Locked、スマートコントラクトにデポジットされたトークン額)$2.2Bに対して、下記OptimismがTVL$183Mと、先行してローンチを行ったArbitrumの方に分がある状況です。

出典:L2Beat
なお、EthereumのDeFiを支えるUniswapは既に、OptimismとArbitrumの両方にスマートコントラクトがデプロイされており、両方で別々のUniswapを利用することが可能になっています。
このようなLayer2の真打ちの登場は、今後のEthereum、またEthereumとは異なる戦略を模索するパブリックチェーンにとって大きな意味を持っていくことになるでしょう。
Fracton Ventures (フラクトン ベンチャーズ)
Fracton VenturesはWeb3.0の未来を支援者ではなく貢献者として共創していく専門家集団です。Web3.0社会の実現に向けてグローバルエコシステムの一助を担うべく活動を行うと共に、サステナブルかつオープンなプロトコルを育てる為のトークン設計を行っていきます。