Facebookザッカーバーグが激推しする「メタバース」って何?

2021-09-17 09:03[ 岩壷健太郎

岩壷教授の経済教室 仮想通貨 暗号資産

岩壷教授の経済教室 第28回

 フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEOが2021年7月22日付のニュースサイト「The Verge」において、今後5年以内に同社が「『ソーシャルメディア企業』から『メタバース企業』へ移行する」と述べたことで、メタバースへの関心が一段と高まっている。

 メタバースという言葉は、メタ(meta:超)とユニバース(universe:宇宙)から作られた合成語で、SF作家のニール・スティーブンソンによる1992年の小説『Snow Crash』で登場するインターネット上の仮想空間を示す名称であった。この小説では専用の機器を着用し、オンライン上でアバターを操作することにより現実世界と同じように生活体験をできる様子が描かれている。

 現在、メタバースはインターネット上に構築される多人数参加型の3次元仮想世界を示す言葉として使われている。メタバース内のユーザーはアバターと呼ばれ、人々はアバターを操作することにより、様々な行動をすることが可能となる。アバターの行動に制約がないことから、現実世界のように、娯楽、教育、販売、その他のビジネスなど様々な展開が模索されている。

 では、なぜフェイスブックがメタバースを推すのか?簡単にいうと、現実版の自分とは異なる仮想空間上の自分をいくつも作ることができて、様々な仮想世界で生きることができるからである。ゲームソフト『あつまれ どうぶつの森』がさらに実生活に近づき、デジタル版の自分が仮想空間の仮想コミュニティーで住んでいるというイメージである。

 現在、実世界では、パソコンやスマホなどから大量の個人データがSNSのプラットフォーム事業会社に提供されており、その情報をもとにフェイスブックやグーグルはターゲティング広告など、ビジネスを展開している。もし、自分が環境の異なるサイバー空間上で、普段とは異なる体験をするならば、普段ではしないような消費行動をするかもしれない。周りには家族、仲間、同僚のアバターがおり、新しい知り合いとも出会うであろう。ザッカーバーグ氏はそのような仮想空間の世界を作り上げることにビジネスチャンスを見ているのである。

岩壷健太郎 (いわつぼけんたろう)

岩壷健太郎

神戸大学大学院経済学研究科 教授 早稲田大学政治経済学部卒業、東京大学経済学研究科修士課程修了、UCLA博士課程修了(Ph.D.)。富士総合研究所、一橋大学経済研究所専任講師を経て、2013年より現職。財務省財務総合研究所特別研究官、金融先物取引業協会学術アドバイザー、日本金融学会常任理事を兼務。為替、株式、国債、コモディティの各分野で論文多数。主要著書として、『コモディティ市場のマイクロストラクチャー』など。

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