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SVが反撃開始か?BCH分裂騒動のコスト試算

2018-11-19 19:09[ にく

仮想通貨小噺 ビットコイン ビットコインキャッシュ

今週は八ヶ岳のリゾートホテルに行って来ました。波の出るプールがついた高級リゾートです。やんちゃな2人がいくら騒いでも大丈夫な様に、出来るだけ公共交通機関を使わず、出来るだけ人のいない、もしくは子供ばかり集まる場所へ行く方針で、多少コストがかかっても仕方が無いとは思っているのですが、今回ばかりは例の〇〇リゾートですから結構なお値段がします。3歳の息子がプールの写真を見て行きたいと言っていたのと、小職も〇〇リゾートに一度泊まってみたかったのと、次回のゴルフ合宿に向けての家内点数稼ぎなどから、コストを度外視して予約しました。共同風呂がおむつが取れていることが条件だったのは残念でしたが、プールは秀逸で、ボールが敷き詰められた子供プールなど子供たちは大喜びでした。ビール1杯は千円以上したのは驚きでしたが、食事もビュッフェとは思えないレベル感でした。

帰りは定番のトーマスランドです。これは先日、入園料が無料になった河口湖の富士急ハイランドの中にあるテーマパークで、いつもはそのトーマスランド内の乗り物だけ乗り放題のトーマスランドパス(大人3600円、3歳以上2900円)を購入するケースが多かったのですが、なんと入園料無料化に伴い廃止されてしまっていました。更に、いままで3歳から必要だった各種料金も1歳からに引き下げられています。まあ、それでも富士急と共通のフリーパスは子供が2000円なので今までのトーマスランドパスより安くなっているのですが、大人のフリーパスは5700円もします。要は、フジヤマやドドンパなど絶叫系に乗る人と同じ料金なのです。そこで、まず、入場を15分ほど遅らせてアフタヌーンチケットにして、それでも割高な大人はフリーパスにせず個別にチケットを購入することにしました。ところがトーマスランドに着いてみると、今まで200-300円だった乗り物の料金がいずれも400-500円に値上げされているではないですか。例のリゾートホテルで散財してコスト意識にセンシティブになっている身には気になる値段です。子供は乗り放題チケットを持っているので出来るだけ乗り物に乗せてあげたいが、大人は1回400-500円となると抵抗感がかなりあります。とはいえ小さな子供だけでは乗り物には乗せてもらえないので、出来るだけ家内1人と子供2人で乗り、仕方なくお父さんはカメラマンに徹することにしました。

コスト意識といえば、このところ仮想通貨業界を騒がせているBCHの分裂騒動で、コストを度外視した争いが続いていると言われていますが、果たして一体どれだけのコストがかかっているのか気になるところです。すなわち、BTCやBCHのマイニングでは暗号計算をシラミ潰しに計算していくことで報酬を得ていく仕組みですが、アップグレードの方針で対立したBCHではその計算能力:ハッシュパワーで優劣を決することになっていました。結局は、Bitcoin ABCとBitcoin SVの2つの別々な通貨に分かれて元の鞘に戻る気配は無さそうなので、ハッシュパワー争いにどこまで意味があるのかは疑問ですが、当初優勢と予想されていたABCに対し1週間前にSVが急速にハッシュパワーを伸ばし、全体の8割近くを占めて勝負あったかと思われたところに、中間派でABC支持に動いた別名クリプト・ゴッドのロジャー・バー氏が大量のハッシュパワーをBTCからシフト、SVに圧倒的な差をつけるというドラマがありました。この結果、早くもABCに軍配を上げてBCHの呼称をABCに適用する交換所も出て来始めています。

今回の騒動は比較的に互換性のあるBTCやBCH、更にはLTCなどの間でハッシュパワーをシフトすることで過半数を握ることが可能だということを示してしまいました。こうしたPoW(Proof of Work)を採用している通貨では、マイナーが取引の正否を判断するので、51%攻撃と言って1マイナーに多数のハッシュパワーを握られると2重払いや改ざんのリスクが高まるとされています。最大規模のBTCではなかなか難しいですが、それより小規模のチェーンであれば比較的容易に出来てしまう可能性があることを実証してしまいました。その点では、今回の騒動はBCHコミュニティーが自分で自分の首を絞めた形となっています。では、なぜ今までそれが意識されてこなかったのでしょうか。

(Data:Coin Dance)

その大きな理由の一つが、コストがかかるからです。そこで、今回のハッシュウォーにどれだけコストがかかっているのか試算してみました。まず、上図は今回のハッシュウォーにおける両陣営の投入ハッシュパワーです。ハードフォーク前にはお互い3000PH/sで拮抗していましたが、ABC陣営が9000PH/sまで急増させます。因みにPH/sとは1秒間に1000兆回暗号計算をするという意味でペタハッシュ(パー・セコンド)と読みます。しかし、それでは全くコストに合わないのでABC陣営では徐々にハッシュパワーをBTCに戻す動きが見られ、一方でSVが盛り返し、足元ではお互い4000PH/s前後で拮抗しています。足元のBTCの急落はこうしたSVの盛り返しとSVの中心人物、元自称サトシ・ナカモトのクレイグ・ライト氏がXRPなど他の通貨にも非難を始めたことが影響をしている模様です。ハッシュパワーを維持するには大量の電気代がかかります。それ以外にマイニング機器が発する熱を冷ます空調代や機械の減価償却もかかるのですが、ここでは限界的な費用という事で電気代のみを勘案、ベースとなる機器も代表的なBitmain社のS9(14TH/s 1320W 同社HPによる)でマイニングしたとして試算してみた結果は以下の通りです。4000PH/sのハッシュパワーを維持するには、電気代が1kWhあたり5円で1日45百万円、6円なら54百万円かかり、現在のABCの市場価格約27000円では世界で一番安い水準とされる中国のkWhあたり5円前後でなんとか赤字にならない水準と言えるようです。一方で、SVの市場価格約11000円では最も安く電力を調達しても1日25百万円の持ち出しになっています。通常で考えれば、ABCはなんとかこの水準を維持できそうだが、SVは長くは持ちそうにないというのが結論だと思われます。

(現水準でのABC・SVのコスト及びマイニング収支:単位円)

更に、ABC陣営のBitmain社はBCHの発行量の5%を保有しているとされ、今回のハードフォークで同額のBCHSVを受け取っており、いずれそれを売却する可能性が高いとされています。また、SVのマイナーは前述のクレイグ氏率いるSVPoolと彼の支援者とされるカルビン・エアー氏率いるCoingeekで8割のハッシュパワーを占めており、後者は単体でも51%を超えていて、安定して取引が続けられるのか不安があります。また、彼らのABC批判の一つとして中国へのマイニングの集中があり、もし中国国外でマイニングしているならば、日々の電気代もバカにならないでしょう。ABCの優勢の状況ですが、SVはコストを度外視して最後の抵抗を続けている構図で、窮鼠猫を噛むといった想定外の事態を不安視して市場は軟調な値動きを続けているのだと考えています。この騒動の収束にはもうしばらく時間がかかりそうです。

我が家の場合、こうした分裂騒動に陥らない様に、コストを度外視して、家族サービスに努めたいと思います。

にく

前職は外資系金融機関外国為替営業。国内だけでなく海外を仕事(?)で飛び回る日々を送っていた。自らライオンと称しているが、他の動物に例えられることが多い。 好きなものは東南アジア諸国。趣味は早朝ゴルフ。特技はタイ語。

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