急落相場の覚醒(Episode2)歴史の逆襲

2018-11-20 20:15[ 松田康生

トピック 仮想通貨 暗号資産 ビットコイン

BTC相場は3か月にわたるレンジ相場の後、BCH分裂騒動をきっかけに下限をブレークすると年初来安値を更新。その後も下げ止まりを見せず、本日は50万円割れに至っている。昨年12月につけた史上最高値からのバブル崩壊が一巡していなかったことを印象付ける展開で、市場の関心はこの相場がどこまで下がるのか、言い換えればいつどこで下げ止まるかに集中しています。それを占う上で、今回は2014年のバブル崩壊において下げ止まったきっかけは何だったのか、振り返ってみましょう。
急落相場の覚醒(Episode1)ハッシュ・ウォーも併せてご参照ください。

(DATA Bloomberg)

古いお話なので数字は正確ではありませんがBloombergによれば、2013年1月にはまだ13ドル程度だったBTCは7月のキプロス危機で240ドル近辺まで20倍近くの急騰を見せました。この時はバブル崩壊1週間後に高値の約1/3となる75ドルまで下落しましたが、結局、その水準は割り込む事はなかった模様です。その後100ドル前後で推移していた相場が下げ止まり再び上昇に転じるきっかけは10月の闇サイト・シルクロードの運営者逮捕と中国の百度によるBTC受入だった様です。しかし、このバブルは12月に中国政府が国内銀行に仮想通貨取引を禁じたことで1日で6割の急落を見せます。因みにこのピークの前日にNHKで初めてBTCの特集が放送されたことが、相場の最後の一押しになった模様です。靴磨きが株の話をしたら相場は終わる、教訓にしたいところです。その後、一旦は800ドル台まで戻した相場にとどめを刺したのは巨額のハッキング事件を引き起こしたMt.Goxの閉鎖でした。結局、バブル崩壊直後の4月に400ドルを割り込み、ピークから約1/3弱まで下落しました。ここまで見てみると、中国による仮想通貨取引禁止やTV CMととどめのハッキング事件と歴史は繰り返すものだと感慨深いものがあります。

その後、ピークから約1/3、400ドル割れの水準では底堅さを見せます。この間に、Zaifの前身であるetwingやBitflyer、bitbank、Quioine、Coincheckなど国内の多くの交換所がサービスを開始しています。日本市場における焼け野原からの復興期という感じでしょうか。ただ、こうした好材料も400ドル割れでは底堅さをを見せるも上値を重く推移する期間が2014年9月から12月まで約4か月続きました。12月にはMicrosoftがBTCを受け容れるという好材料があったにも関わらず上値は重く、1月に入るとついに300ドルを割り込み、1月14日セリングクライマックスを迎え200ドルを割り込みました。相場が底を付けたきっかけとなったのは年初のBitstampのハッキング事件。事態が明らかになるにつけ、年初の315ドルから180ドル近辺へ4割の下落を見せました。しかし、その後は200ドル台を回復、10月には欧州裁判所が仮想通貨取引にVAT非課税との判断を下し次の上昇相場に移っていきます。その上昇相場が2年続いて1万ドルを超えたのはご承知の通りです。

ここまで、たった2回のバブルの歴史を振り返りましたが、両者の共通するのは、まず、バブル崩壊でピークから約1/3に急落する様です。12月のピークがおおよそ19500ドルで、その1/3は6500ドル。確かに2月に6000ドルでサポートされてからしばらく下抜けませんでした。2013年5月のバブルの後は底抜けませんでしたが、2013年12月のバブル崩壊後は結局、下抜けてしまいました。その間、日本市場の復興やMicrosoftの受入など好材料があったのに上値は重いままでした。結局、相場が底を付けたきっかけはBitstampのハッキングによるセリングクライマックス、まあ悪材料出尽くしでした。この時、相場は4割程度下落しています。また、ピークから底をつけるまで1年程度かかっています。よく金融危機の記憶は10年程度しか持たず、危機は繰り返すと言われる事がありますが、変化の早い仮想通貨市場では1年経ったら忘れてしまうのかもしれません。

まず、ピークから1/3、そして下抜けても4割程度の下げ、ピークから1年経過して最後は悪材料出尽くしで反発する、これが2013年12月の崩壊後のパターンだったと解釈しました。まあ、1回だけの例なので、4割の下落は1/3かもしれないし半分なのかもしれないとは思います。ただ、これで何となくわかってくるのが、既にピークから11か月経過しておりセリングクライマックスを迎えても不思議はないこともあり、今回のBCHの急落がその引き金になったのかと考えています。下値の目途はサポートだった70万円から1/3下げで49万円、本命の4割下げで42万円、半値で35万円。ざっくり過ぎるかもしれませんが、40万円台で下げ止まりそうだというイメージでいます。時期に関しては1月4日にBitstampの取引を停止して、安値を付けたのが14日ですから、前回は10日かかりました。今回は16日の分裂から10日で11月26日、14日で11月30日辺りに45万円程度まで下げて、悪材料が出尽くすのではないか、そういう感じで見ています。多少の前後はあるでしょうが、本稿は過去の事例のみから相場を予想するものですが、前回のパターンで行けば、50万円割れは買いということになると思います。

松田康生 (まつだやすお)

シニアストラテジスト

東京大学経済学部 国際通貨体制専攻 三菱銀行(本部、バンコック支店)ドイツ銀行グループ(シンガポール、東京)を経て2018年7月より現職。 短国・レポ・為替・米国債・欧州債・MBSと幅広い金融市場に精通

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