NIKEがRTFKTを買収した意図を考える
2021-12-15 09:54[ Fracton Ventures ]
そう問われたときに必ず上がる一つがRTFKTなのではないでしょうか。
今回は2021年12月14日にNIKE社から発表された、RTFKT社の企業買収事例をモデルにNIKE社の意図を考察していきましょう。
1.NIKEによるRTFKT買収事例
そもそもRTFKTに馴染みがない方の為に説明をすると、RTFKT(アーティファクト)は米国のデジタルスニーカーブランドです。彼らが行うデジタルスニーカーとは、NFT化されたスニーカーコレクションのことを言い、原則的には3DCGなどで表現された”実際に存在しないスニーカー”コレクションを指します。例えばこのような作品を作っています。このスニーカーはゲームメーカーのATARIとコラボレーションしたもので、3DCG作品として楽しむことができます。

出典:Opensea(RTFKT)
RTFKTはこのようなデジタルグッズを販売するだけではなく、過去にはCryptoPunksのNFTホルダー(所有者)に対して、それぞれのCryptoPunks柄の物理的なスニーカーを注文できるサービスも行いました。

出典:RTFKT Punks Project
このようにRTFKTはスニーカー市場というカルチャーやコレクターが多いマーケットで、NFTなどを介したデジタルな商品と物理的なスニーカーマーケットの橋渡しをしている企業です。
2.NIKE社による突然の買収

出典:NIKE, Inc.
そのお知らせはあまりに唐突なものでした。2021/12/14にNIKE社はRTFKTの買収を発表しました。買収額などは明らかになっていませんが、これで全てのRTFKTブランドとプロジェクトはNIKE社の管轄内での公式プロジェクトとなりました。
またこの買収意図としては、競合他社であるAdidasが人気NFTコレクティブであるBored Ape Yacht Clubなどと提携をしていくニュースが流れる中で、いち早くデジタルファッションブランドを抱えておきたいという意図を感じることができます。また、RTFKTの持つNFTコレクターを中心とした、NIKEの顧客外の客層を取り込もうという意図も感じることができます。
まとめ
このような買収事例はNFTがNFTという特殊な存在ではなく、デジタルプロダクトとしてマスアダプションしていくきっかけになっていくのではないでしょうか。RTFKTユーザーはより尖ったデジタルならではの格好良いデジタルスニーカーを所望していくのでしょうが、ここでNIKEからその同じ物理的なスニーカーまでセット販売できてしまう可能性が見えたことは、非常に大きな一歩で、こうした有名ブランドがこぞってデジタルファッションに流れる波が訪れる予兆なのかもしれません。
Fracton Ventures (フラクトン ベンチャーズ)
Fracton VenturesはWeb3.0の未来を支援者ではなく貢献者として共創していく専門家集団です。Web3.0社会の実現に向けてグローバルエコシステムの一助を担うべく活動を行うと共に、サステナブルかつオープンなプロトコルを育てる為のトークン設計を行っていきます。