2018.08.10 【CBOEのETF承認判断延期で大幅安】

2018-08-10 23:57[ 松田康生

Weekly Report 仮想通貨 暗号資産



Review

好材料に反応せず

今週のBTC相場は大幅下落。前週の金曜にNY証券取引所の親会社インターコンチネンタル・エクスチェンジ(ICE)が11月に現物受渡のBTC先物市場Bakktを開設すると発表。好材料と期待されるも83万円台で上値重く推移すると週末にゴールドマンサックスのレポートで仮想通貨がまだ下がる見通しが示されると80万円を割り込み急落した。その後、同社がカストディー業務を開始するという観測記事もあったが80万円を回復できず。しばらくはキーレベルとされた76万円(米ドル6800)近辺をサポートに80万円手前で揉み合っていたが、火曜日に米SECがCBOEが申請中のETF申請の承認可否を9月30日に延期すると急落し76万円を割り込んだ。この結果、ロングの投げ売りを巻き込みながら71万円台まで急落、前週末からの下落過程で何度か発生した取引所のシステムトラブルも市場心理の悪化に影響を与えた可能性がある。水曜日に今回の下げ相場の中で比較的安定推移していたXRP相場が急落すると、BTC相場もパニック売りに近い状態となり67万円台まで下落。年初来安値が意識される水準で買戻しの動きも見られると、ショートカバー気味に73万円台まで値を戻している。この買戻しの背景として、Crypto Bullで知られるトム・リー氏やHFマネージャーのビル・ケリー氏、ダン・モアヘッド氏などの専門家からETF承認延期よりBakkt設立の方が重要なニュースとの指摘が相次ぎ、今回の延期は承認に向けた前向きな動きという認識が広がり、行き過ぎた悲観論から市場心理が冷静さを取り戻したことが挙げられよう。

Outlook

行き過ぎた悲観論の巻き戻しを予想

来週のビットコイン相場は上値余地を探る展開を予想する。6月末の年初来安値64万円から94万円まで上昇したBTC相場はDirection社の延期、ウィンクルボス兄弟のETF否決、そしてCBOEの延期と早期のETF承認期待が剥落し67万円まで下がっている。一見するとETFで上がって、下がった様に見えるが、7月の上昇の要因はそれだけでは無い。ブラックロックの検討開始やG20で規制の方向性が見えてきたことなど機関投資家参入への準備が着実に進んでおり、それらを先取りしたHFなど足の速い投資家の参入が続いたことが背景にある。ノーザントラストやゴールドマンサックスなどの大手金融機関がカストディー業務への参入(後者は観測)や各投資銀行のトレーディングデスク立ち上げ(≒マーケットメークの準備)など、機関投資家参入に向けてのインフラ整備の動きはこの1か月強の間に加速している。前述のトニー・リー氏は、Gakkt設立により、規制された市場で現物を購入できる様になり、同時にICEがカストディーを提供することで、ETFに頼らずして機関投資家のBTC市場へのアクセスを可能としていると指摘しており、このニュースは再評価されて然るべきと考えている。今年1月、ゴールドマンサックスのCEOは、仮想通貨のプライムブローカー業務に関して、顧客にニーズがあるなら、我々はそれに応えるとしていたが、ここに来ての急ピッチな彼らの動きは、この半年間に機関投資家側のニーズが高まっている証左と考える。先ごろ発表された米国公認会計士協会のアンケート調査(4月調査)によると既に投資しているか来年投資を予定している米国人のポートフォリオは、不動産や401Kの19%、ETFの8%に対し仮想通貨が5%も占めている。過度の期待感の剥落により調整を余儀なくされている仮想通貨相場だが、現時点では悲観に振れ過ぎており、今週は買戻しが優勢となろう。

予想レンジ:BTC 64万円~83万円

Altcoin

ETH: 週前半は底堅さを見せるも、XRPに続いてBTCも値を崩すと急落。仮想通貨時価総額の年初来安値付けを主導。48%まで上昇していたBTCのドミナンツも49%へ更に上昇。
XRP:水曜日の急落を主導。米法律事務所による集団訴訟準備の報道が、XRPのアキレス腱ともいえる通貨か証券かという懸念に火をつけた格好。
BCH:BTC相場に連れ安。中国でBCH配布を巡り訴訟が提起されたことも心理的な重しとなったか。対BTCでは0.92近くまで下落している。
LTC:週水曜日の仮想通貨全面安の展開で連れ安。木曜日に暗号化アプリもテレグラムで取引が可能となり、将来的にはSMSでも可能となるとの報道も大きく戻すには至ってない。

Calendar

8月13日 Silicon Valley Fintech Week (~16日)
8月13日 ChainXchange (~15日)
8月15日 CBOEビットコイン先物8月限取引最終日









FXcoin Weekly Report 2018.08.10.pdf

松田康生 (まつだやすお)

シニアストラテジスト

東京大学経済学部 国際通貨体制専攻 三菱銀行(本部、バンコック支店)ドイツ銀行グループ(シンガポール、東京)を経て2018年7月より現職。 短国・レポ・為替・米国債・欧州債・MBSと幅広い金融市場に精通

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