逃避通貨?リスクアセット?:中国株・金価格との相関

2018-12-12 16:00[ 松田康生

トピック 仮想通貨 暗号資産 ビットコイン

仮想通貨もさることながら、12月に入って株の値動きが不安定さを増している。G20後、一時休戦したかに見えた米中貿易戦争がファーウェイ副社長逮捕を受けて再激化するとの懸念から米株主導で大きく値を下げている。中国株も10月の急落時ほどではないが軟調に推移している。その10月の中国株下落の際に、中国株とBTCとの相関が強まっていることを紹介した。その後、目安となる0.5を下回っているが順相関を維持している。しかし、よく見ると中国株とBTCとの関係は常に正の相関を示している訳ではなない。過去2年で見ると、元は逆相関を示していたものが、ここに来て順相関に転じていることが分かる。

これは、逃避通貨として、リスクオフ時に買われる傾向があったものが、リスクアセットの一つとしてリスクオフ時に売られ易い性格を帯びて来たことを示しているのではないかと考える。2013年12月のバブルからの長期低迷相場が2016年から反騰に転じたのは人民元ショックを経た中国人の買いだと指摘されるが、2017年の中国本土での仮想通貨取引禁止までは、中国株が下がれば資金がBTCに流れるという相関関係が存在していた。しかし、中国本土の締め付けが厳しくなるにつけそうした関係が薄れていき、逆に、一部で機関投資家の資金が流入したことによってリスクアセットとしての性格を増してきた可能性がある。同時期にBTCと金との関係が順相関から逆相関にシフトしていることも、この事を裏付けている。


一般に、機関投資家は様々なアセットクラスに分散投資を行っていて、リスクイベントが発生した場合、株などのリスク資産から国債などの安全資産に資金をシフトする。ただ、こうしたアロケーションの変更を臨機応変に頻繁に行う投資家もいれば、そうでもない投資家もいる。彼らは例えば月次で決められた資産配分比率に従って運用を行おうとするので、例えば株価が急落して預かり資産全体の時価総額が下がると、相対的に比率が高まった他のアセットに調整売りが出る場合がある。金融市場における仮想通貨の位置付けはまだ定まっておらず、まだ判断するのは時期尚早だが、リスクアセット的な性格が出て来たことは、金融市場における一つのアセットクラスとして確立しつつあることを示しているのかもしれない。

松田康生 (まつだやすお)

シニアストラテジスト

東京大学経済学部 国際通貨体制専攻 三菱銀行(本部、バンコック支店)ドイツ銀行グループ(シンガポール、東京)を経て2018年7月より現職。 短国・レポ・為替・米国債・欧州債・MBSと幅広い金融市場に精通

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