2018.12.14【Google検索、ケンブリッジ大レポート】

2018-12-14 17:47[ 松田康生

Weekly Report 仮想通貨 暗号資産 ビットコイン ビットコインキャッシュ リップル イーサリア ライトコイン



Review

硬軟材料交錯

今週のBTC相場は安値圏での揉み合い。先週末のBC陣営に対する訴訟で騒動再燃かとの懸念で年初来安値となる36万円を付けるもBCH価格がBSVを再逆転したこともあり反発。BSVに2重払いが可能となる脆弱性が見つかり値を下げるも対立が沈静化するとの見方もあり上昇。40万円台で上値を重くするが、先週に年末9000ドルを予想していた元GSのノボグラッツ氏がややトーンダウンし、アリアンツのCEOが仮想通貨を禁止すべきと発言すると37万円台に値を下げた。マネックスの事業説明会への期待感やGoogle検索で仮想通貨が上位に食い込んだこともあり39万円台に値を戻したが、ステーブルコインBasisの開発の断念、BTCを求める爆破脅迫メールが全米で広がっているとの報道もあり36万円台に急落するが、著名アナリストのトム・リー氏がBTCのフェアバリューは15千ドルとし下げ止まりを見せている。

Outlook

分裂騒動は収束

来週のBTC相場は安値圏での揉み合いを予想する。フロリダにあるマイニング会社がABC陣営を民事訴訟で訴えたことで、市場は対立再燃かと身構えた。実際、SV陣営のサイト・SNSなどでは訴訟を大きく取り上げる動きも見られたが、CCNの報道ではSVと無関係と指摘された。BSVは2重払いを発生させる致命的ミスを引き起こし、またリプレイプロテクション実装も急がれる状況で、ABCに対抗する体力も、余裕も、理由もなくなっている形と見る。Coinpostの報道では、フォーク後の取引をうまく混ぜるなど知恵を絞ってリプレイプロテクション実装前に入出金を再開している交換所も見られるようだが、それでもSVを扱っている交換所はそう多くはない。SVとしてはBCHと対立するより、リプレイプロテクションを実装して多くの交換所に上場する方が先という訳だ。本邦でも、新たな通貨と見做されるBSVを取り扱うには自主規制団体に新たに申請する必要があるが、移転記録に問題が生じている状況では申請すら覚束ない。これを以って、この騒動は概ね収束したと見てもよいと考える。現に、週後半には分裂騒動の話題はあまり耳にしなくなった。

最後の後始末

両陣営はお互いの通貨を同量保有する形となり、その結果、BCHを売ってBSVに変える動きが両者の価格逆転を引き起こした可能性があると、先週指摘した。その際にも申し上げたが、ABC側が保有しているBSVの売却も今後懸念されることとなる。今週、一部で注目されたが、IPO申請で判明したBitmain社が保有していた100万BCHに呼応するBSVの行方が気になるところだ。今週は、騒動が収束し、売り材料が出尽くしつつある中で、相場の反発が鈍いことに首をかしげる声が聞かれたが、その背景はこうした最後の後始末を控えていることが一因なのかもしれない。

潜在的買い圧力 

ケンブリッジ大のレポートによれば、仮想通貨のID数は2017年末の18百万から2018年3Qの35百万に倍増し、交換所に預けている人も加えれば、利用者数は85百万人から139百万人に増加している。また、Google検索では、日本語の「とは」「仕組み」という検索で仮想通貨が1位となり、英語の検索でも、How toの後に続く単語でBuy Rippleが4位、Buy Bitcoinが8位となっている。年初の盛り上がりによる影響が大きいことは事実だが、CoinpostによればGoogleの検索数は足元で若干増勢に転じている。すなわち、まだ相場の値動きには反映していないが、仮想通貨に対する認識や興味は、実は昨年よりも増えてきている訳だ。

上記の様に分裂騒動の最後の後始末が残っている関係で、いましばらく上値の重い展開が続こうが、最大の売り材料が一服した状況下、大きな底割れは無いと考えている。

予想レンジ BTC 30万円~50万円

Altcoin

ETH:今週のETH相場は安値圏での揉み合い。テストネットでのバグ発生で延期されていたコンスタンチノープルの実施が来年1月14日前後と決まり堅調に推移。11000円台で上値を重くするも、SECのクレイトン委員長が証券法を順守する必要があるが、ICOは効果的な調達方法とすると底堅さを見せた。しかし、先週末のタウンホールでイーサリアム関連ソフト開発企業であり共同創始者のジョセフ・ルービン氏が率いるコンセンシスの大規模レイオフが伝わると、相場の低迷が原因との見方もあり1万円を割り込む展開。しかしCFTCがイーサリアム関連情報をRFI(Request For Information)の形態で公募すると、いよいよCBOEが検討していたETH先物開始かとの見方が浮上、SBI VCのETH取扱開始もあり1万円台に値を戻したが、BTCで述べたステーブルコインの開発断念の理由が証券法に抵触するおそれだったこともあり、再び1万円を割り込んでいる。ICO ratingによれば11月のICOは今年に入って最低の65百万ドルとピークの3%にまで低下した。需要の先食い効果でETH相場は低迷しているが、今後ICO規制が整備され徐々にICOないしSTOが(どの水準かは不明だが)通常レベルに戻る過程で、この低迷が上昇要因として効いてくると考える。

XRP:今週のXRP相場は34円を挟んでの揉み合い推移。米最大手交換所CoinbaseがXRPを含む27通貨の上場を検討しているとの報に悲願達成との思いもあり急騰するも35円台では上値を重くする展開。その後、33円台に値を下げるも、米Google検索でHow Toに続く言葉でBuy Rippleが4位に食い込み34円台を回復した。リップル社CEOが2019年の仮想通貨業界で透明性が重要となるとし、暗にBinanceの上場方法を疑義があると非難したが、同社CEOのCZ氏はXRPは有価証券にあたらないと思うと大人の対応を見せ話題となった。更にAMEXがクロスボーダー決済の実証実験に成功との報もあり堅調に推移するも、上値が重い展開が続いている。ブロックチェーン技術の送金への応用では、ハイパーレッジャー、IIJ、更にSWIFTも巻き返しを図っている。しかし、リップル社には仮想通貨を実際の送金に利用する段階にあり、またR3との提携でトレードファイナンスにも進出しようとしており、他陣営は影さえ踏めない状況だ。引続きXRP相場はブルで見ている。

BCH:今週のBCH相場は軟調な展開、一時1万円を割り込み、分裂前は3位が定位置だった時価総額も7位にまで後退した。先週、BSV価格がBCH価格を逆転、BSV陣営が分岐したBCHを売ってBSVを買い支える動きの可能性を指摘したが、今週に入りBSVに2重払いが可能となる脆弱性が発見され、BCH・BSVともに売りに晒される展開となっている。ただ、BSVの不振は両者の対立の緩和を意味するとも見方もあり、一旦売られたのち、BCHは上昇に転じた。しかし12000円台で上値を重くすると、じりじりと値を下げる展開。先週、対立激化かと懸念された、ロジャー・バー氏、Bitcoin.com社、Bitmain社、交換所クラーケンなどに対する民事訴訟の原告がSVと無関係との報道もあり11000円近辺で一時下げ止まりを見せた。しかし、分岐前に百万BCH、市場流通量の6%を保有しているとされたBitmain社は分岐により配布されたSVをまだ売っていないとのつぶやきに、ウー・ジハンが未確認のことをつぶやくべきでないと反論、これがかえってリスクを思い起こさせたのか1万円割れ水準まで値を下げている。最終的な分裂騒動の終着点は、来年1月とも言われているSVのリプレイプロテクションの実装だが、既にSV側に反撃する体力も、意図も、理由も残っていない状況と考えるが、最後の後始末としてABC陣営によるBSV処分が残っており、場合によってはSV側からの反発も予想される。

LTC:引き続き、目立った材料もない中、他の通貨に振らされるだけの展開。一時、LTCは売られ過ぎとの報道も見られたが、それ以外では話題にも上らない状況が続いている。問題なのは、こうしている間にデジタル決済を巡る開発競争は続いており、水を開けられる格好。時価総額でもBSVと8位争いをしている。目指していた決済利用が厳しくなっているとういう状況はBCH・BSVも同様だが、彼らには熱心なサポーターたちによる買い支えが期待できる一方で、LTCにはそうした信望者もあまり見当たらず、厳しい状況が続こう。

Calendar

(今回よりカレンダーは割愛させて頂きます)

FXcoin Weekly Report 2018.12.14

松田康生 (まつだやすお)

シニアストラテジスト

東京大学経済学部 国際通貨体制専攻 三菱銀行(本部、バンコック支店)ドイツ銀行グループ(シンガポール、東京)を経て2018年7月より現職。 短国・レポ・為替・米国債・欧州債・MBSと幅広い金融市場に精通

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