暗号資産へ変更と官房長官がコメント

2018-12-18 15:36[ 松田康生

トピック 仮想通貨 暗号資産

日経新聞によれば金融庁は仮想通貨の呼び名を「暗号資産」に改める方向だ。これは先日、「仮想通貨交換業等に関する研究会」で報告書案を示されていたものだが、昨日の菅官房長官の定例記者会見で言及があったので今朝のニュースで報じられたのだろう。何せ、その記者会見での4つの質問のうちの1つがこの話題で、他の3つは外国人労働者問題、北方領土問題、辺野古問題であったことからも、金融庁の本気度が推し量られる。

Virtual CurrencyとCrypto Asset

1つには仮想通貨の「通貨」とは(国家等による)強制通用力を有する貨幣の意(広辞苑:()内は小職が補足)で、非中央集権的な「通貨」という言葉は誤解を招く表現だ。また仮想通貨というのはVirtual Currencyの訳だが、G20などではCrypto Assetとされており、これを直訳すれば暗号資産となる訳だ。因みに、弊社サイトでは、当初から一般的に流通している仮想通貨という呼称を使用しつつ、タブでは暗号資産という呼称を併記してきた。

他にもある紛らわしい用語

ところで、自主規制ルールでは「法定通貨又は金融商品取引その他の金融関連取引と誤解される名称を 用いて取引を行ってはならない」として、仮想通貨業界における紛らわしい言葉の使い方について注意を喚起している。例えば「FX」取引はForeign Exchange、すなわち外国為替証拠金取引の略称として定着しており、仮想通貨の証拠金取引に使用することは好ましくないとされている。また「取引所」とは東京証券取引所や商品先物取引所など内閣総理大臣の免許などが必要とされる金融商品取引法で定義された用語で、仮想通貨の場合は「交換所」が正しい。これは英語のExchangeが取引所とも交換所とも訳せるところからくる混同かもしれない。また信用取引における「スワップ」「スワップポイント」も為替市場におけるポジションに対して両通貨の金利差から生じるスワップポイントと誤解を生じる恐れがあり好ましくないとされている。本来は建玉維持手数料とでも呼ぶべきものかもしれない。

官房長官がコメント

ただ、肝心の仮想通貨では、日本では世界に先駆けて改正資金決済法で「仮想通貨」と定義されている為、呼称を改めるには法改正が必要となる為、今回の言及となったと考える。おそらく当時は、決済における使用を想定していたものが、昨年のバブルを経て価値保存手段としての役割が大きくなった結果、世界の流れが暗号資産になってきたのかもしれない。名前が変更したからと言って価格や働きに影響が出るものでは無いが、官房長官がコメントしたというところに金商法(および資金決済法)改正に対する本気度が見て取れると考えている。

松田康生 (まつだやすお)

シニアストラテジスト

東京大学経済学部 国際通貨体制専攻 三菱銀行(本部、バンコック支店)ドイツ銀行グループ(シンガポール、東京)を経て2018年7月より現職。 短国・レポ・為替・米国債・欧州債・MBSと幅広い金融市場に精通

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