急反発の背景:ハッシュレート低下に歯止め?

2018-12-18 18:24[ 松田康生

トピック 仮想通貨 暗号資産 ビットコイン ビットコインキャッシュ

昨晩、BTC価格が大きく反発した。実は、このところGoogle検索で仮想通貨関連用語が上位に入った事や利用者が拡大しているとするケンブリッジ大のレポート、更に米国内で著しく求人が伸びている分野でブロックチェーン技術者が1位となるなど、仮想通貨の普及が進んでいることを示すポジティブな材料が続いた割には上値の重い推移が続いていた。しかし、強気な来年の見通しが出回り始めたことなどをきっかけにそうした材料に反応していることが今回の上昇の背景にあるのだと考えるが、なぜこのタイミングだったのかという点で疑問が残る。

ハッシュレートの下げ止まり

そのひとつの説明として、ハッシュレートの下げ止まりがあると考えている。トピック:ハッシュレートの低下:相場の低下を導かない?で申し上げた様に、BCHの分裂騒動やBTC相場の低迷によりBTCのマイニングに投入されている計算能力の合計であるハッシュレートが低下していた。我々はBTCの価値の源泉がハッシュパワーなどマイニングのコストであると言う立場は採らないが、そうとは言っても価格とコストは密接に関連している。前回のDifficultyの更改で過去2番目の低下を見せたことにより、市場の不安心理を煽っていたが、ハッシュレートが下げ止まりを見せたことにより市場心理に回復傾向がみられているのだと考えている。

Difficulty

Difficultyとはマイナー達が計算能力を投入してナンス値を探すというPoWの仕組みの上での難易度で、投入されたハッシュパワーを基に10分で1ブロック作成される(ナンス値が見つかる)様に2週間に1度改訂される。従ってDifficultyは過去2週間に投入されたハッシュパワーの結果と言える。一方でDifficultyが下がれば計算に要する電力も少なくて済み、マイニングの採算も上がる計算となるが、それはその時点で投入されたハッシュパワーが下がっているから、すなわち競争が緩やかになっているので採算が良くなる訳だ。ただ、今回もDifficultyが下がりそうなので(今回は10%弱と予想されている)、そろそろマイニングを再開してもいいだろうと考えるマイナーがいても不思議では無い。

再びスィッチを入れる

結局、今回のハッシュパワーの下落は、相場の下落により電気代などコストが高いマイナーから機械のスィッチを切り始めたことによる。しかし、ハッシュパワーが程よく低下した結果、ようやくコストに見合い始めたマイナーがスィッチを入れ始めた、そういう状況なのだと考える。繰り返しになるが、相場動向がマイナーの行動に影響を与えている訳だが、一方で「マイナー離れ」が市場心理に影響を与えていた面も否定できない。そういう意味で、こうしたハッシュレートの下げ止まりは相場のサポートになると考える。

松田康生 (まつだやすお)

シニアストラテジスト

東京大学経済学部 国際通貨体制専攻 三菱銀行(本部、バンコック支店)ドイツ銀行グループ(シンガポール、東京)を経て2018年7月より現職。 短国・レポ・為替・米国債・欧州債・MBSと幅広い金融市場に精通

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