2019年仮想通貨相場見通し

2018-12-26 18:53[ 松田康生

仮想通貨 暗号資産 ビットコイン ビットコインキャッシュ イーサリアム リップル ライトコイン Yearly Report



Summary

BTC見通し

  • 2019年は悲観的な相場からは脱するも40-65万円のレンジ相場。
  • 2019年はルール整備の1年。6月のG20から本格化。
  • ETF承認や機関投資家の本格参入による上昇は2020年。
  • xRapidが銀行間取引へ拡大、Tokyo2020に向けQR決済の普及が進むなど実用化が進み、認知度が上昇。
  • 過去のパターンから本格的上昇相場に転じるのはピークから2年後。

Altcoin見通し

  • XRPはxRapidの普及、R3との提携など実用化進む。証券問題に目途がつき上昇。
  • ETHはICO急減による売り圧力を脱し上昇。STOなどICOも一部復活、プロジェクトも進展。
  • BCHは騒動の影響で投資家離れ。決済利用が進む可能性も低くなった。
  • LTCは決済のデジタル化に乗り遅れた印象。BCHの様な大口サポーターも少なく存在意義が問われかねない。


Outlook

2019年はルール整備の1年

2019年のBTC相場はBCH分裂騒動に端を発した過度な悲観相場からは脱するも、40万円から65万円のレンジ相場を予想する。仮想通貨相場にとって2018年は厳しい年となった。それまで一部のファンによるコミュニティー内だけの世界から、2017年のバブルの形成、巨額のICOやブロックチェーン技術の実用化などから社会に認知され始めた結果、社会のルールとの齟齬が発生した。顧客保護、不正防止、AML/CFT、証券法制など社会の一員として認められるには守るべきルールがあり、2019年はそうしたルール整備の1年となると考えている。

ETFの2月承認は厳しい

2月のCBOE分とされるETF承認が注目されているが、この段階での承認にはやや悲観的だ。何故なら、価格の透明性確保などのルール作りには時間がかかりそうだからだ。それ故、40万円~65万円のレンジへ値を戻すが、機関投資家の参入による大幅な上昇相場は市場環境が整うであろう2020年と考える。機関投資家の参入は大きな材料だ。例えば時価総額12兆円の仮想通貨市場に4000兆円を超える株式市場の1%でも資金が流入すれば、時価総額は4倍以上になる計算だ。多くの機関投資家にとって株式や為替との相関性の低い仮想通貨は分散投資において魅力が高い上、入り始めたら早い者勝ちといった状況が生まれる。ETF承認は米SECのお墨付きという側面があり、承認されれば我先にと投資家の参入が殺到することが想定されるが、国際的な仮想通貨市場への規制導入の議論はFATF基準の導入が議論される6月の大阪G20からキックオフする。報道によれば金融庁はそれまでに国内法の整備を目指す方針で、通常国会での金商法改正により仮想通貨市場での不正取引の禁止が導入される可能性がある。1月に予定されるBakkt開始後は現物市場にCFTCの監視の目が入る可能性もある。しかし、これらのルール整備が一巡するのには来年いっぱい要すると考えており、ETFの承認はその進捗次第か。

送金元年

もう一つの大きな要因はXRPを中心とした実用面の拡大だ。タイのサイアム商業銀行でxRapidによる銀行間送金導入間近とする報道がある。おそらく、これに続く銀行も多数現れると考える。2019年はXRP、仮想通貨による海外送金元年となるであろう。またブロックチェーンを用いた開発が次々と実用化され、認知度も一気に進むと予想される。そうした中、新たな投資家の参入も期待され、相場は底堅く推移する者と考える。ETFの承認延期、法整備や機関投資家参入の遅れがもう一段のBTC売りを誘発するリスクシナリオも考えられるが、実用面での拡大から可能性は低いと考える。また、その場合も上昇時期が後ずれとなる形で2020年には回復基調に乗ると考えている。

2020年に向けて

2020年に向けての注目材料は仮想通貨税制だ。藤巻参議院議員が仮想通貨税制を変える会を立上げ、最高55%の雑所得から20%の源泉分離課税と損益通算を主張している。仮想通貨に金商法が適用されるのであれば、税制面でも同法で規制されている株や為替FX取引などと整合性を取るべきだ。すなわち、金商法適用するという事は、仮想通貨が守るべき金融商品として位置づけられたことを意味する。11月のG20でデジタル経済に対する税制を大阪G20で議論するとされた。それまでに金商法改正が採決されれば、税制議論が盛り上がる可能性がある。

底入れ1年、反転2年

下図はBTCの2013年12月および2017年12月、Nasdaqの2000年3月からの価格推移をピーク時からの経過日数と価格をピーク対比で示したものだ。BTCのケースは、いずれもピークから3割程度で揉み合った後、350~400日経過した時点で2割を切っている。2013年のケースはそこが大底となったのだが、相場が本格的に上昇に転じるには更に300日程度要している。上昇のきっかけは欧州当局が仮想通貨取引を非課税としたことで、その後の上昇は人民元安による中国人投資家の参入だった。この例だけで今後は語れないが、今回の税制の議論と機関投資家という新たな参加者の登場というのは偶然の一致としては出来過ぎの感もある。同様に今回の相場と比較されるNasdaqの場合はどうか。こちらはピークから2年後の底を付けて上昇相場に転じている。これだけの暴落を経験すると、いくら足の速い投資家でも市場心理の回復には2年を要すことを示している可能性がある。

Tokyo2020

2019年は東京オリンピックに向けて様々なインフラ整備が進むことが予想される。特に政府目標4000万人とされる訪日外国人のインバウンド消費8兆円の取り込みに向けた動きが本格化する事はほぼ間違いない。メインターゲットは4割を占める中国人だ。その中国ではアリペイやウィーチャットペイなどのQRコードを利用したモバイル決済の普及率が98%に達している(日銀調べ)。国内の小売業は我先にとQRコード決済を取り入れるであろう。こうした中、同じくQR決済である仮想通貨での決済も浸透し始めるものと考える。

Review

2018年前半

2018年のBTC相場は8割以上の大幅下落、前年のバブルが崩壊した形となった。前年12月にCME・CFTCの先物開始もありピークを付けると急落、年初にはアルトコインが史上最高値を付ける中、一旦200万円を付けるも国内で仮想通貨取引が禁止された中国から参加者が多いとされた韓国の交換所での本人確認義務化もあり100万円近辺まで暴落。一旦値を戻すもコインチェック事件を受け100万円を割り込む荒っぽい展開。米議会公聴会でSEC、CFTC両委員長が仮想通貨に前向きな発言をすると120万円近辺まで値を戻した。しかし、この水準で上値を重くすると日本の納税関連の売りもあり再び60万円台へ。4月には入り下げ止まると、マネックスグループがコインチェックの買収を受け、再び100万円台へ。大手投資銀行ゴールドマンサックス(GS)の参加報道も後押しした。しかし5月に入ると再び上値を重くし、テキサス大教授によるテザービットコインの急騰をテザーによる価格操作とする論文や本邦6社に対する業務改善命令などもあり年初来安値を付ける。この下落過程では、2014年のMt.GOX事件の管財人が償還金を準備するためにBTCを売却しているとの噂も聞かれた。

2018年後半

しかし世界最大手の運用会社ブラックロックが参入を検討しているとの報道もあり90万円台まで反発。しかしウィンクルボス兄弟が申請中のETFが却下、更に期待を集めたCBOE分とされるVan Eck社申請分のETF判断が延期されると再び60万円台に下落する。しかし、その間にNY証券取引所の親会社ICEが翌日現物受渡先物市場Bakktの年内開始を発表、GSはNDF、モルガンスタンレーがTRS、CITIがADRと機関投資家に仮想通貨現物を保有することなく経済効果を得られるデリバティブ商品を開発、大手運用会社フィデリティ―も参入するなど機関投資家参入に向けたインフラ整備が進んだ。そうした中、市場は9月初めに80万円を付けるがGSがトレーディングデスク立上げを棚上げしたとの報に急落、その後はZaifのハッキング事件などもあったが60万円台をサポートに狭いレンジでの取引が続いた。BCHの分裂騒動で当初有利とされたABC側が劣勢に立つと、ABCがBTCからハッシュレートをBCHにシフトしたこともありBTCも連れ安。更に元自称サトシのCライト氏が他チェーンへの攻撃を公言するとブロックチェーン技術の根幹への不信感もあり年初来安値の35万円まで下落している。

規制の整備の動き

7月のG20で仮想通貨(暗号資産)は経済に便益をもたらすとされつつ投資家保護、市場の健全性、脱税、AML/ CFTなどの問題があるとされ、現時点で金融システムの安定にリスクをもたらさないがFSBにモニターする様に指示。またAML/CFTに関してFATF基準をどのように適用するか示すよう指示、これに対しFATFは現在交換所に課している登録制をウォレットやICOサービス提供者にも拡大するとし、来年前半に詳細なガイドラインを出すとした。日本では10月にJVCEAが自主規制団体として認定されルールが発表された。ICOを禁止する国も多い中、日本や米国で証券関連法との関係で規制を明確化して再開する動きも見られている。

Altcoin


2018年のイーサリアム相場

2018年のETH相場は史上最高値を付けた後、1/20にまで急落する展開となった。年初に19万円の史上最高値を付け後、反落するも、創始者ヴィタリック・ブテリン氏がイーサリアムの開発に専念すると対BTCで値を上げた。しかしコインチェック事件を受けと5万円を割り込む水準まで反落。露大手SNSのテレグラムが17億ドルの大規模なICOを実施したこともあり10万円近くまで値を戻すが、同社が十分な資金を得たとして公募のICOを中止、また1年間に渡るEOSのICOが終了すると値を崩し始めた。その間、SEC高官がETHは証券に該当しないとして値を戻す局面も見られたが、ICOの8割が詐欺とするレポートもあり、また各国で当局ICOに対する厳しい姿勢を見せる中、年後半にかけてICOが激減、一方でプロジェクト側が調達したETHを売却する動きが加速、5万円を大きく割り込んだ。こうした地合いの中、CBOEが年内のETH先物開始との報道もBTCのピークと先物開始時期が重なるとの見方もあって売り材料となり、またコンスタンチノープルのアップデートがバグにより来年1月に延期、BCH分裂騒動の余波も受け、一時1万円を割り込む水準まで売り込まれた。

2019年のイーサリアム見通し

2019年のETH相場は力強い回復を見せると予想する。多くのICOはトークン購入資金として投資家がETHを購入、プロジェクト側が開発費用として換金するため、需要の先食いという性質がある。年前半にテレグラム・EOSなどにより大幅な買いが出た一方で、年後半に記録的なICO不振となった結果、売り圧力がかかる結果となった。しかし、2019年には多くのイーサリアムベースのプロジェクトがローンチされ、ワールドコンピューターとして不動の地位を保つと予想される。テザー不安後に立ち上がったステーブルコインがいずれもイーサリアムベースであることがその証左だ。延期されたコンスタンチノープルが1月に完了し、POSへの以降が2020年以降となる一方で、スケーラビリティーを解決するためのethereum1.xが6月に予定されている。また、各国のICO規制が出揃い、順法なSTOとして新たな調達が再開すれば、年末にかけて順調に値を戻していくと考える。


2018年のXRP相場

2018年のXRPは年初に最高値を付けた後大きく下落。しかし、その後もアルトコイン相場が総崩れとなる中、比較的底堅く推移した。1月4日に日経新聞が450円近辺を付け時価総額2位に浮上と報道すると、その日を史上最高値に暴落、翌日には2位の座を明け渡すこととなった。その後もリップルネット参加する送金業者などが相次いだが、コインチェックの流出事件もあり100円割れまで下げ続けた。2月に入り、リップル社が再び保有額の90%をロックアップ、まだサウジアラビア通貨庁や送金大手のウエスタン・ユニオンなどがリップルネットに参加し反発を見せるも、bitbankが世界一の取引高になるなど日本人投資家に人気があるという性格のせいか、3月の確定申告売りに上値を抑えられる。4月に入ると反発するが、元CFTC会長のゲイリー氏に有価証券の可能性があるとされると反落、これを受けてXRP取引で損失を受けた投資家が各地で訴訟を提起、チャンスと見た集団訴訟で有名なローゼン事務所が原告を募集し始めると下げ足を早めた。9月に入りxRapidの正式リリースへの期待感で急騰したが、リップル社主催のカンファレンスSWELL冒頭でリリースが発表されるとSell the factで値を下げた。しかし、FSB報告書やホワイトハウスから次世代の送金ツールとしてお墨付きを得るとBCH騒動に関わらず持ちこたえていたが、暴走するクレイグ・ライト氏がXRPを批判すると、値を崩した。

2019年のXRP見通し

2019年のXRP相場は力強い回復を見せると予想する。xRapid導入により次世代送金でXRPは一歩抜け出した。今のところ送金指示のみを行うxCurrentでなく送金決済にXRPを使用するxRapidの利用を公表したのは送金業者ばかりだが、リップル社ガーリングハウスCEOはサイアム商銀がデジタルアセットの利用を始めたとしている。2019年は銀行間でXRPの利用が拡大する年となろう。更にSBIの仲介でリップル社と和解したR3がXRPを使用すると表明、同社が得意とするトレードファイナンスや証券決済にXRPが使用される可能性が出て来た。一方、SECは証券に該当するかのガイダンスを発表するとしたが、XRPのアキレス腱である証券問題に目途がつけば、大きく値を上げると考える。Tokyo2020のオフィシャル仮想通貨に認定されるかも個人的に興味がある。


2018年のビットコインキャッシュ相場

2018年のBCHは分裂騒動もあり、高値40万円台から約1/40(SVも含めると1/20)と歴史的な暴落を見せた。2017年12月のコインベース上場で最高値を付けた後、軟調に推移、BTCの暴落やコインチェック事件もあり10万円台まで急落、その後も日本の納税売りもあり10万円を割り込んだ。この頃、東京でのイベントでABC、Unilimited、XTの開発者が一堂に会し、また韓国のイベントではロジャー・バー、クレイグ・ライト、ヴィタリック・ブテリン、そしてitcoin Core開発者が同じ会場で議論を行っていた。問題のきっかけは5月のハード・フォークでブロックサイズを32MBに拡張した際にICOを可能にする機能などが装着されていた。8月に入りnChainのライト氏が11月のHFに向けSVを発表、分裂騒動が勃発、同氏を支援するCoingeekのカルビン・エアー氏の呼びかけもあり関係者がバンコクに集まるもライト氏は自分の主張だけして帰ってしまう。Zaifのハッキングによる償還玉の買い圧力やABC支持のBitmainのIPO申請から一時値を戻すも、この頃から同社の信用不安やウー・ジハン氏の失脚などデマ情報が行きかい始める。それでもHFを前に大手海外交換所が分岐した両通貨のサポートを表明すると、BTC・BCH分岐時の記憶から買いが入る。しかし、この頃からライト氏が暴走、ABC支持に回ったバー氏を口汚く罵ったり、ブロックチェーンへの攻撃を公言し始めると仮想通貨全体の信用が失墜、深刻な下落局面を招く結果となった。最終的には支援者であるエアー氏が、自分たちはBTCを承継するもので、BCHという名前に拘らないとし、またCoingeek社も売却、一応の収束を見せている。

2019年のビットコインキャッシュ見通し

2019年のBCH相場は軟調な推移を予想する。BTCのスケーラビリティー問題を解決し、決済通貨としての可能性を探ったBCHだが今回の騒動によるダメージは大きすぎた。決済分野では送金のXRP、小口決済では仮想通貨ではないがアリペイやウィーチャットなどを様々なプロジェクトが追いかけている。最終的には使い勝手の良いものが生き残るが、利用者がこれだけの混乱を起こしたBCHを選ぶことは考えにくい。


2018年のライトコイン相場

2018年のLTC相場は軟調な展開。特に年後半はLTC独自の動きに乏しく、決済競争からも出遅れた格好。創始者チャーリー・リーが利益相反を防ぐため2017年12月に売り抜け、BTCの暴落やコインチェック事件で値を下げるも、決済利用として有望との見方もあり比較的堅調に推移。念願の決済ツールLitePayへの期待感から値を上げる展開。リー氏が予告していたアップデートで手数料引き下げ後はSell the fact気味に値を崩し、LitePayプロジェクトが消滅してしまい、直接関係は無いが宣伝に一役買っていたLTC財団が謝罪する事態となり大きく値を下げる展開に。しかし、従来から非公式にLTC決済をサポートしていた米クレジットカード決済会社Aliant Payment Systemと財団が公式決済パートナーを結ぶと値を戻した。しかし、リー氏が非中央集権を守るためには最終的に自分はLTCから手を引いてしまうかもしれないとすると下落に転じた。スイスのスタートアップ、トークンペイとの提携でLTC財団がドイツのWEG銀行株を取得、次の一手に期待が集まったが、その後は目立った動きが無く、象徴的存在となったリー氏が何かコメントすれば若干値を戻すが、そうでなければじりじり値を下げる展開が続いた。9月にはウィンクルボス兄弟が運営するGeminiへの新規上場で値を戻す局面もあったが、BCH分裂騒動でクレイグ氏らの攻撃対象とされているとの噂もあり値を下げている。

2019年のライトコイン見通し

2019年のLTC相場は軟調な展開が続こう。先日、ソフトバンクらが率いるPaypayが100億円のプロモーションを開始して話題となったが、同社をそこまでさせたのは、この数年間が決済のデジタル化の勝負の時期だという判断もあろう。それ故、小口決済に特化したLTCは昨年末から今年前半にかけて期待を集めていた。しかし、この重要な時期に無為に1年を過ごしてしまった点は非常に痛い。ただ、BTCやBCHと比べて決済に向いており、前述の大企業の運営するQR決済より圧倒的にコストが安く、巻き返しが不可能と言う訳ではなさそうだが、リー氏以外の目立ったサポーターも見当たらず、相場的にはBitmainなど大口マイナーの買い支えなどが期待できるBCHより状況は厳しそうだ。

Topic

【仮想通貨とは何なのか】
クルーグマン教授の変心と仮想“通貨”論争
貨幣の3機能(価値尺度・価値保存・流通手段)からBTCを通貨として認められないとしてきたが、貨幣として選ばれる4条件(運搬性・保存性・等質性・分割性)からすれば紙である紙幣に対してデジタルデータである仮想通貨は明らかに優位性がある。教授の変心はBTCの普及により、後戻りできない水準を超えたと判断したからではないか。
急落相場の覚醒(Episode3)新たなるお金
仮想通貨の価値の源泉について金との比較で利用価値や採掘コストとする考えがあるが、これは仮想通貨を実物貨幣の延長とする考え方。貨幣がデジタル化するのは信用通貨である紙幣からのシフトで仮想通貨の価値の根源は信用だけに基づいている。法定通貨である紙幣から国の信用補完を差し引いてみたら、お金の本質である信用だけが残った。
逃避通貨?リスクアセット?:中国株・金価格との相関
過去2年で見ると、BTCは中国株と逆相関・金価格と順相関だったものが、中国株と順相関・金価格と逆相関に変わっている。中国人参加者が多かった頃に見られた逃避資産としての性格が、中国国内での締め付けが厳しくなり、代わって機関投資家が徐々に参入してくるに連れ、リスクアセットとしての性格に変化した。これは金融市場のアセットクラスとして確立しつつあることを示している。
セントルイス連銀が指摘する仮想通貨とトリフィンのジレンマ
一般にトリフィンのジレンマとは、各国が基軸通貨米ドルを外貨準備や決済資金として購入する結果、ドル高となり米国の経常収支が赤字となる、雇用が減るという考えに対し、仮想通貨に代替すれば、米国はその責務から自由になるという考え方。しかし、これは米国に基軸通貨特権も手放すことになる。仮想通貨の実用化はこのパンドラの箱を開けてしまった可能性がある。
【XRPの大躍進】
入門アルトコイン(その3)リップル(XRP)
リップル社の歴史とxCurrent・xRapidの違いを解説。xRapidは海外送金にXRPを使用する画期的仕組みだが、銀行を通した送金を行う限り、XRP需要に与える影響は限定的。しかし、これはコロンブスの卵で、企業同士が直接XRPを用いて海外送金をする可能性を切り開いた。未来の決済の形を大きく変える第一歩となる可能性がある。
xRapid実用化で幕を開ける戦国時代(一部修正)
xRapidの登場は海外送金に仮想通貨を利用する時代の幕開けとなった。これに対しJPモルガンが独自のブロックチェーンを用いたプロジェクトを立ち上げ、IBMもハイパーレッジャーという分散台帳技術で追撃をしている。しかし、他陣営はただ伝達機能であるSWIFTメッセージをブロックチェーン技術で代替する段階で、XRPを媒介させてコルレス決済の代替にまで踏み入れているリップル連合が一歩リードしている。
リップル・R3提携構想のインパクト
SBIがリップルとR3の提携に言及したが、両者の提携によって、XRPが単純な送金だけでなく、LCを使った貿易決済に利用される可能性が出て来た。お互い信用できない輸入者・輸出者間の同時履行を可能とするLC決済の仕組みは大量かつ重要な書類が多く、事務負担も大きかった。これを一気にデジタル化することに成功すれば、競争の激しい送金と異なり、一気に普及が広がる可能性がある。
XRPが変えるエマージング通貨の世界
MUFGらがリップルを用いた日本-ブラジル間の送金を開発に入った。実はブラジルにレアル建てでぴったり1万レアルを送ることは困難を極める。こうした海外で取引できないエマージング通貨取引において、XRP決済はNDFに変わる完全なヘッジ手段となる可能性がある。特にFSBやホワイトハウスからお墨付きを得ているXRPと大手金融機関とのタッグは規制面の整備でも有利に働くだろう。
XRP急騰、証券問題に決着つくか?
XRPには証券問題と言うアキレス腱があるが、SECが近いうちにそれぞれの仮想通貨が証券にあたるか否か一目でわかるガイダンスを発表するとした。これによりXRPは証券でないという結論が確定すれば、相場の大きなサポートとなろう。
世銀もXRPにお墨付き
世銀は出稼ぎ労働者の本国送金に関する報告書で送金手数料の高さを問題視した。解決策のひとつとして仮想通貨を用いた海外送金に期待感を示した。これは10月のFSBに続き、ややアンチ仮想通貨と見られていた世銀までもがXRPの送金への利用にお墨付きを与えた事を示していると考える。
【暴落を招いたBCHの分裂】
入門アルトコイン(その2)ビットコインキャッシュ(BCH)
今回のBCH分裂騒動をBTC時代の対立にさかのぼって解説、各派の考え方や登場人物などを詳しく解説。これを読まずにはBCH分裂騒動は理解できない?
ビットコインキャッシュ分裂騒動の着地点
(11月6日)ABC・SVの2つの通貨に分岐する方向なのでハッシュウォー自体はどちらが名前を引き継ぐか程度の意味しか持たないと看破した。しかし、この時点では、リプレイプロテクション(記事の段階では最終的にABCが実装するのではないかと予想していたが、結局、SVが実装する方向で落ち着いた)の無いまま両者が分裂すると混乱を来たすので、最後はSVが折れると見ていたが、実際は両者譲らず仮想通貨市場全体を揺るがす大混乱を引き起こす結果となった。いずれにせよ実用面でのBCHの発展は見込めないとしている。
自称サトシ派優勢でビットコインキャッシュ急落
(11月15日)ハードフォーク直前になってSV派が優勢となって相場が急落。市場参加者の多くはABC支持で、SVが優勢になると不安が広がる構図とし、事態の鎮静化にはABCがリプレイプロテクションを実装しSVと袂を分かつこととしました。実際には、ABC派は息をひそめていただけで、HF開始と同時に巻き返しにかかり、最後はSV側がリプレイプロテクションを実装すると言い始めることとなった。
SVが反撃開始か?BCH分裂騒動のコスト試算
(11月19日)ABC側がBTCからハッシュレートをシフトし優位に立ったのですが、SV側が逆転、市場参加者の不安が高まったが、この時点でSVは1日25百万以上の赤字を出しているので長くは持たないと予想。実際、SVが白旗を上げる形で収束した。ただ、この時点で、両陣営が保有する相手陣営の通貨を売って自陣営を買い戻す、最後の後始末が残っていると予想した。
急落相場の覚醒(Episode1)ハッシュ・ウォー
(11月20日)ABCに続きSVのハッシュパワーもコスト見合いの水準に戻りつつあり、威勢のいいコメントとは裏腹にSV内でマイナー離れが起こりつつある可能性を指摘、分裂騒動の収束は近いと予想。一方でこの混乱でBTCのハッシュパワーが下落し信用不安を煽ってしまっており、相場の心理が落ち着くのに1-2週間必要とした。
ハッシュウォー終戦か
(11月30日)SV派からリプレイプロテクション実装の方針が出る。またハッシュレートも平時レベルに復帰。ただ、最後の後始末が残っているとした。
SV価格がABCを逆転、時価総額5位へ
(12月7日)一時、SV価格がABCを逆転。この背景にSVが付与されたABCを売却し、SVを買い戻す動きがあると推測、最後の後始末が始まった可能性を指摘。
売り材料出尽くしでBTC大底形成か?BTC上昇の影にBCH急騰あり。
(12月19日)BCH騒動関連の急騰は、両陣営による相手通貨の売却がピークアウト、騒動の後始末に目途がついた事を示している可能性がある。売り材料出尽くしで35万円で大底を付けた可能性が高いとした。
【急ピッチで進む規制の整備】
FSB報告書はFOMC議事録?
7月のG20で暗号資産は金融システムに影響を及ぼすに至らないとしたが、FSBがモニター体制を構築することとなった。10月の報告書は7月に定められた監視体制での初回の報告書となったが、今後はこの報告書が為替や金利市場におけるFOMC議事録の様な重要な役割を果たすと考える。また報告書内で仮想通貨の送金利用を選択肢の一つとされ、XRPにお墨付きが与えられたと考える。
FATF総会は単なる先延ばしでは無かった
7月のG20でAML/CFTに関してはFATF基準をどのように仮想通貨に適用するか10月までに明確化する様、求められたが、追加の支持は2019年6月までに出す予定として市場の期待は肩透かしにあった形となった。しかし、発表された文章によれば、ウォレット提供者やICOに係るサービス提供者にも登録・免許制を適用するという方針が示された。
ETFよりBakktと言われる理由
Bakktの登場が重要とされる理由として、運営母体(ICE)の信用力やカストディーが指摘される。機関投資家が物理的に現物を保有せずに取引できる利点だが、同様のサービスは多く開発されつつあり目新しさは感じない。CFTC監督下で現物渡しの先物市場が出来ることで、不正取引への監視の目が現物市場にも及ぶことが最も重要と考える。
自主規制ルールで何が変わる?
日本仮想通貨交換業協会が認定団体となり自主規制ルールが発表された。取扱通貨選定手続きの厳格化、アフィリテイターなど協会員の営業員以外による勧誘の禁止、ホットウォレット上の仮想通貨と同等以上の安全資産の保持、レバレッジ4倍などが注目されるが、相場操縦など不適正取引の禁止が世界で初めて仮想通貨市場に導入されたことが画期的だ。
暗号資産へ変更と官房長官がコメント
仮想通貨交換業等に関する研究会の報告書で暗号資産への呼称変更が示された。しかし、この変更が官房長官の記者会見における4つの質問の内の1つとなったことは、同じく報告書で示された証拠金取引の金商法適用、ICOへの証券に準じた法規制、不正取引の参加者全員への禁止などの来年通常国会での改正への当局の強い意欲を示していると考える。

 

Calendar

1月14日頃 イーサリアム・コンスタンチノープル 11月に予定されていたが延期されていたアップデート。マイニング報酬が3ETH→2ETHへ減額。
1月24日 Bakkt開始予定日(延期濃厚)
1月30-31日 Japan Blockchain Conference 2019 横浜で開催。本邦最大級との前評判。
2-3月頃 (もしあれば)金商法・資金決済法改正法案
2月17-22日 FATF総会 6月の基準適用内容発表
2月27日 CBOE分ETF可否判断期日
5-6月頃 通常国会会期末(提出された法案は原則このころまでに可決されるか、廃案となる)
6月 イーサリアム Ethereum 1.x セレニティー・アップデートによるPoSへの移行には時間がかかりそうなので、スケーラビリティー関連のアップデートを前倒しで実施
6月8-9日 福岡G20財務大臣・中央銀行総裁会議
6月21-26日 FATF総会 6月に仮想通貨へのFATF基準適用内容が発表される予定
6月28-29日 大阪G20首脳会議
10-11月 FATF4次審査 国内の仮想通貨交換業者にも立ち入り検査
10月13-18日 FATF総会


FXcoin Yearly Report 2018.12.26.pdf



松田康生 (まつだやすお)

シニアストラテジスト

東京大学経済学部 国際通貨体制専攻 三菱銀行(本部、バンコック支店)ドイツ銀行グループ(シンガポール、東京)を経て2018年7月より現職。 短国・レポ・為替・米国債・欧州債・MBSと幅広い金融市場に精通

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