2018.12.28【年末年始のレンジ予想】

2018-12-28 18:25[ 松田康生

Weekly Report 仮想通貨 暗号資産 ビットコイン ビットコインキャッシュ イーサリアム リップル ライトコイン



Review

高値トライも失速

今週のBTC相場は前週の高値を更新するも、その後失速する展開となった。Bakkt開始の再延期やWall Streetの投資銀行が仮想通貨業界参入への意欲を後退させているとのBloombergの報道もあり軟調に推移したが、ジョセフ・ルービン氏の底打ち宣言やBinanceのXRP基軸取引開始もあり、ETHやXRPが反発するとBTCも前週の戻り高値を更新した。しかし47万円近辺で上値を重くするとBitmain社が大幅リストラするとの中国メディアの報に急速に値を下げた。同社がリストラを認めたものの通常の調整の範囲としたこともあり40万円近辺で下げ止まりを見せると、GMOのマイニング機器製販からの撤退発表や日経のBitmain社のIPO難航との報道などネガティブな材料も底堅く推移した。しかし、Bitmain社に続きHuobiもリストラとの報もあり40万円を割り込んでいる。

Outlook

反発は47万円まで

年末年始のBTC相場は堅調な推移を予想する。先週のWeekly Reportでは戻りの目途を50万円としたが、47万円で失速、反落を見せた。これは、分裂騒動・テザー不安・ハッシュレート低下といった3重苦から脱出したことで相場は大底を付けたと考える。BCH相場は先週大きく反発し分裂騒動の影響も殆ど聞かれないし、テザーも一部で疑惑の声も聞かれるがテザーは1ドルを超えて取引されている。BTCのハッシュレートも上昇に転じつつある。また、マイナーのヘッジ売りが話題となったが、その反動でしばらくはマイナーの売り圧力は緩和されよう。しかし、今回の上昇はこれらの売り材料出尽くしによる反発に過ぎず、決して積極的な買い材料が出ている訳ではない。ただ、その反発も47万円で抑えられたとなると、相場の地合いはそれほど強くないと言えよう。

機関投資家向けインフラ整備の遅れ

その背景には、Bakktの延期観測やBloomberg投資銀行の参入準備の遅れが挙げられる。Bakktの承認の1か月前にCFTCがパブリックコメントを募集すると見られていて、政府閉鎖でその再開の目途が立っておらず、このままでは2月以降にずれ込む可能性が高い。また、Bloombergによれば、昨今の相場の低迷を受けゴールドマンサックスのNDFの約定件数はわずかで、モルガンスタンレーのTRS(トータル・リターン・スワップ)の約定実績は無く、CITIのADR(預託証券)の開発は遅れているという。同社は、この遅れの理由として相場の低迷を挙げているが、本当の理由は機関投資家からの引き合いが後倒しになっているからで、それは相場の低迷が理由ではないと考える。

機関投資家の本格参入は早くて来年6月以降

以前、機関投資家にとってのBTC投資の魅力はバブルの再来ではなく、相関性の低さだと説明した。すなわち、機関投資家は自分たちが本格的に参入すれば、否が応にも相場は上昇することは十分に認識している。そうなれば、早いもの勝ちの様相を呈する可能性が高い。しかし、そうした動きにはならないのは、まだ規制が整備されていないので、機関投資家は入って来ない、正確には入って来れないことが認識されているからだろう。法律的な位置づけを確定し、市場価格形成の透明性を確保することが最低条件だ。また仮想通貨市場参加には十分に認識されていない印象があるが、AML/CFT(反マネーロンダリング・テロ資金供給防止)体制が構築されていない金融機関に生保や年金などが運用を任せることは考えにくい。従って、機関投資家の本格参入はそうした議論が始まる来年6月以降だと思われるからこそ、あえて急いでいないのだと考える。因みに小職の経験からすると外資系金融機関の人間はあまり12月には働かないが、1月から3月にかけては生き残りをかけて必死に働く傾向がある。こうしたインフラ整備が1-3月の間に一気に進む可能性があるので注意が必要だ。

年末年始のレンジ 

従って機関投資家参入に向けた準備の遅れは大きな売り材料とはならないと考える。いずれにせよ遅れる可能性が高かったからだ。従って、年末年始はレンジの上限下限を試しに行く展開を予想している。下は年初来安値の35万、上は半値戻しの55万円程度と考える。

予想レンジ BTC 35万円~55万円

Altcoin

ETH:今週のETH相場は大きく反発後、反落。いわゆる上に行って来いの展開となった。ICOプロジェクトからの売り圧力やイーサリアム関連開発企業コンセンシスのリストラもあり一時1万円を割り込んでいた水準から回復基調にあったが、そのコンセンシス社CEOジョセフ・ルービン氏が底入れ宣言を行うと急反発。1万7千円近辺まで値を上げた。その後、BTC等の利食い売りもあり値を下げるも、OKExでETH永久先物の開始を受け1万5千円に値を戻す展開。CointelegraphのBitMexアーサー・ヘイズCEOへのインタビューでETHは200ドルを目指すとのコメントもあり底堅く推移するも、BTCの下落もあり週初の水準近くまで反落している。12月のICOプロジェクトの売りが高水準だったとの報道もあるが、足元では比較的堅調な推移を見せており構造的な売り圧力の後退を伺わせる。今後も短期的な利食い売りをこなしながら、堅調な推移を予測する。

XRP:今週のXRP相場は上に行って来いの展開。40円近辺で揉み合っていたXRP相場だが、BinanceでXRP基軸の取引開始の報に急反発。50円近くまで値を戻していたが、BTC等への利食い売りもあり、この水準では失速。OKExのETH先物開始に合わせXRP先物も検討しているとの報に一時、値を上げるも、大口のXRP売りの観測もあり40円割れの水準に値を戻している。一方で、クェート国立銀行がリップルネットを利用したクロスボーダー送金システムを発表するなど、リップルネットを利用した海外送金の普及は拡大しており、xRapidによるXRPを媒介にした送金の普及まであと一歩という段階に来ている。11月に多くのアルトコインが年初内最安値を更新しておらず総じて見れば比較的堅調に推移してきた。一方で、他の通貨と異なり、この水準でも利が乗っている投資家も存在しており、年末にかけて若干の売り圧力がかかりやすい展開が続きそうだ。

BCH:今週のBCH相場は反落。分裂騒動の最後の後始末による売り圧力が後退したせいかBCHは大きく反発していたが安値から3倍近くに上昇した2万円台半ばでは流石に上値を重くしていた。そうした中、Bitmain社が大幅なリストラを実施すると中国メディアが報道すると値を下げ始めたが、同社はリストラは認めるも通常の調整の範囲内としてこともあり、一旦は下げ止まりを見せる。OKExのETH先物開始に合わせBCH先物も検討しているとの報に2万円に戻すも、日経のBitmain社のIPOが難航しているとの記事もあり値を下げている。ようやくBCH分裂騒動に関する不安から解放され、陣営のBSV売却資金によるBCH買い支えもあってか堅調さを保っているが、そうしたサポートも一巡しつつある様に見える。Bitmain社のIPOは実質的なBCH ETFと見る抜きもあっただけに、もし同社のIPOに遅れが出たり頓挫する様であれば、失望売りは免れないだろう。

LTC:今週のLTC相場は買戻し後、反落する展開。ライトニングネットワークへの期待もあり堅調に推移してきたが、チャーリー・リーが3から始まるAddressではBTCのマルチシグ用のAddressと混同され易いとしてMから始まるAddressに変更。他アルトコインの上昇もあり4000円近辺まで上昇。しかし、BTCの下落もあり反落するも、OKExのETH先物開始に合わせLTC先物も検討しているとの報に若干値を戻す。その後、LTC財団が総合格闘技UFCのタイトルマッチのスポンサーとなるとの報にコミュニティーは盛り上がりを見せるが、価格に対する影響は限定的に留まった。


FXcoin Weekly Report 2018.12.28.pdf

松田康生 (まつだやすお)

シニアストラテジスト

東京大学経済学部 国際通貨体制専攻 三菱銀行(本部、バンコック支店)ドイツ銀行グループ(シンガポール、東京)を経て2018年7月より現職。 短国・レポ・為替・米国債・欧州債・MBSと幅広い金融市場に精通

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