2019.1.11【ロシア、外貨準備を仮想通貨に一部シフトを検討?】

2019-01-11 19:37[ 松田康生

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Review

振り出しに戻る

今週のBTC相場は上に往って来い、昨年末から見ると39万円台から始まって44万円まで上昇するも39万円台へ値を戻した形で45万円近くでの上値の重さを確認した形となった。年始の株・為替の混乱が収束したこともあり三角持ち合いを上抜けたBTC相場だったが、ETCでの51%攻撃の噂もあり上値を重くする展開。一旦は運営側が否定、Bloombergによる金融庁のETF承認検討、またマイニング機器大手CanaanのNY IPO検討などの報道もあり底堅く推移した。しかしETCの51%攻撃被害の補償を申し出る交換所が現れ、金融庁もETF承認検討を否定、米政府閉鎖の長期化によりBakktの開始が先延ばしとなる公算が高まるなど悪材料が重なると、Bitmain社のウー・ジハン氏の退任、ブラックロックのCEO後任候補として仮想通貨懐疑派のマーク・ウィードマン氏が昇格したとのニュースもあり39万円近辺への急落を見せている。

Outlook

初夢から覚める

来週のBTC相場は底堅い展開を予想する。今週はETCの51%攻撃、国内ETF承認検討報道の否定、米政府閉鎖長期化によるBakkt開始延期観測に加え、ビットメインやブラックロックの人事など悪材料が重なった結果、大きく値を下げる形となった。ただ、ひとつひとつの材料に目を向ければ、51%攻撃は最大の規模を誇るBTCでは容易ではないし、国内ETFもそもそも期待薄だった話で、年初にも目途が立つと見られていたBakkt開始の後倒しも予想された話だ。それにも拘らずここまでの下落を見せたのはDaily Reportで申し上げていた通り、ロングポジションが急速に増加していたことによると考えている。Cumberlandは店頭の大口取引で買いが優勢になっているとしたが、目立った材料もない中で年初来の三角持ち合いをブレークした結果、溜まってきた短期ポジションが、悪材料が続く中で損切りさせられた格好と考えている。則ち、今年こそは仮想通貨は上がるという楽観的な見通しで入った買いが振り落とされた、おとそ気分から現実世界に引き戻されたイメージだ。

2019年の相場展開

昨年発表した2019年の見通しで、BTC相場は悲観的な相場から底打ちはするものの機関投資家の本格的参入は2020年以降で、40-65万円の狭いレンジでの推移を予想している。この2年間、あれほど乱高下したBTC相場が如何にしてその様な狭いレンジに収まるのか半信半疑だったが、年末年始、さらに今週の値動きはそうした停滞相場の到来を感じさせるものだった。弊社でも年末には65万円程度までの上昇を予想しているが、そこまでの間はこうした乱高下を続けるので、今買ってすぐに儲かるという程、相場は優しくないといったところか。なぜ、そうなるのかと言えば、BakktやETFなど機関投資家の参入にせよ、その前提となる法整備にせよ、XRPに代表される実用化の進展にせよ、進んではいくものの決め手に欠ける展開が続くものと考えられるからだ。仮想通貨市場の参加者の大多数は短期はともかく最終的に仮想通貨相場は上昇すると考えていると推察する。いずれ仮想通貨は無くなると考える人は最初から市場に参加しない場合が殆どだろう。そうすると、市場は常に期待先行しがちになり、上がっては振り落とされるといった展開を続けるのではないだろうか。

市場参加者の期待先行

規制面で考えても、世界で最も進んでいる本邦でさえ、昨年の研究会の報告を踏まえ、最速で3月頃に金商法・資金決済法の改正案が提出され、予算成立後に本格審議、G20前に可決するというのが最速シナリオだろう。その頃にはようやくFATFの報告書も出揃い、それを以って6月のG20で各国に国内法制の整備を呼び掛けるイメージで考えている。各国も各々研究を進めているだろうが主要国で出揃うのには今年いっぱいはかかりそうだ。現に米SECからは仮想通貨が証券に該当するか否かのガイドラインも出ておらず、この政府閉鎖で更に作業が遅延する可能性もある。いくらETFが承認されようがカストディーが整備されようが機関投資家の本格参入は法律が整備された後になる。実用面ではついにxRapidを採用する銀行が現れ、すなわち送金に於ける銀行間決済をコルレス決済から仮想通貨決済に変更する動きが出始めたが、これも開始されるのは先の話しだろうし、SWIFT加盟行11000行に対し、最初の1行が手を挙げたに過ぎない。他行間決済にまで拡張するにはリクィデティープロバイダーを準備し値決め方法を固める必要もあるし、行内システムを整備した後に企業側システムの対応も必要だ。今時、手書きの送金依頼書を銀行に持ち込んでいるケースは少数派だろう。すなわちXRPの需要が生じるには時間がかかる。せっかちな市場の参加者がそこまでポジションをホールドできず買っては売ることを繰り返す、そうした展開がしばらく続くと考えている。

期待感をくすぐる材料も 

BitMEXのポジションではまだロングが解消しきれておらず、若干の下押しはあろうが、週末になってコインチェックの認可、SEC検査局が今年6大優先事項に仮想通貨を含めるなど期待感をくすぐる材料も出てきている、また、アメリカの制裁を嫌ったロシアが外貨準備の一部の仮想通貨へのシフトを検討しているとするロシアの大学教授のつぶやきなど参加者の心を躍らせるような材料も出て来た。こうした中、来週辺りBTC相場は反発すると考えている。

予想レンジ BTC 35万円~50万円

Altcoin

ETH:今週のETH相場は大幅下落。年初にイスタンブールという新たなアップデートのスケジュールが発表されたこともあり堅調に推移、ASIC対策の開発の仮決定で17000円台を回復。BTCの上昇や英交換所コインフレックスで現物受渡先物取引が計画されているとの報で再び上値をトライするもETCで51%攻撃があったとの噂もあり上値を重くする展開。16日頃とされる大型アップデート、コンスタンチノープルを控えて調整売りが出るとの観測もある中、BTCが大きく値を下げる局面で13000円台までの急落を見せた。その後、創始者ヴィタリック・ブテリン氏がハードフォークという言い方が誤解を招くのでアップデートと言うべきだとすると若干値を戻している。弊社はETHの年間見通しで、3月末で17000円、6月末20000円と言う強気の予想をしているが、今回の下落は、12月につけた安値9000円台から短期間で17000円台まで値を上げた結果、半値押しとなる13000円台まで値を下げたと考えている。既にICO絡みの売り圧力は峠を越しており、今回の下落は急速な上昇の反動という訳だ。ETCの51%攻撃や昨年延期されたアップデートが迫っているという事情も心理的に影響したか。ドラクエやファイナルファンタジーのスクェア・エニックスも年頭所感でブロックチェーン技術に非常に関心をもっているとした様に、今年は様々な分野でイーサリアムの利用が期待されており、こうした短期の売りが一巡すれば堅調な値動きに戻るものと考える。

XRP:今週のXRP相場はじりじりと上昇した後、急落する展開となった。38円台で始まったXRP相場だが、藤巻議員がツィッターでXRPを称賛した事やETCの51%攻撃を受けリップル社のデビット・シュワルツCTOがXRPの優位性を主張すると40円台を回復。Huobi JapanでXRP取引の開始が延期になったこともあり上値を重くするも、リップルネットに新規に13社が加盟し、銀行も含む5社はxRapid利用との発表やBOEのカーニー総裁が2017年からリップル社と協議を始めていると認めたことなどもあり40円台を回復。しかしBTCやETCが急落すると36円割れの水準まで1割以上の急落を見せた。期待先行でロングポジションが溜まりやすいという傾向を持つXRPだが、いよいよxRapid使用する銀行が現れるなど順調に現実社会への浸透が進んでいる。英調査会社FinderはXRP価格を2月32セント(34.5円)、年末52セント(56円)と強気に予想しており、弊社は3月末50円、年末80円と更に強気に予想している。51%攻撃やETF、ビットメインやブラックストーンの人事と言った今週の売り材料ともXRPはほぼ無関係であり、売りが一巡すれば大きく値を戻すものと考える。

BCH:今週のBCH相場は17000円台で揉み合い推移後、2割近い急落を見せた。旧ABCのBCH支持のロジャー・バー氏が自らのコインだけが素晴らしく他のコインを敵視する事をナショナリズムになぞらえて諫める一方、BSV側も従来のドラゴンから比較的温和なロゴを採用、1GBまでのブロックサイズの拡張を目指すなど1か月前の騒動が嘘のように別々の道を歩み始める中、BCHは比較的堅調に推移。BTCの上昇や英交換所での現物受渡先物取引検討の報もあり18000円をトライする展開。しかし、ETCにおける51%攻撃は同じアルゴリズムを使用するより大きな通貨があるという点で、BTCとBCHとの関係を連想させるものであり、BCHの上値を重くした。そうした中、BCHの最有力支援者であるウー・ジハン氏のビットメイン社CEO退任の報道もあり大きく値を下げた。但し、以前から同氏の退任は噂されており、今回も同社からの発表はなされておらず、報道によれば同氏は共同会長職に留まるとされており、今回の下落はやや過剰反応だった可能性がある。しかし、ETCの51%で見せつけられた現実や目指していた決済利用の可能性が低下する中、大きな反発は期待できない。

LTC:今週のLTC相場は大きく上昇後、反落した。ライトニングネットワークのノード数が100を超えたとの発表もあり堅調に推移、創始者チャーリー・リー氏がBTCの過激主義を揶揄するとLTCコミュニティーは盛り上がりを見せ更に値を上げる展開。ETCの51%攻撃は、規模の小さいLTCには他人事とは言い切れない面があり、上値の重さを見せていたが、リー氏が非中央集権であれば51%攻撃に敏感なのは当たり前だとすると、再び値を上げた。その後はBTCの急落などもあり大きく値を下げている。ライトニングネットワークの実力と影響は不透明だが、実用面の見通しが立たない中、本年は厳しい展開が続くものと考える。

松田康生 (まつだやすお)

シニアストラテジスト

東京大学経済学部 国際通貨体制専攻 三菱銀行(本部、バンコック支店)ドイツ銀行グループ(シンガポール、東京)を経て2018年7月より現職。 短国・レポ・為替・米国債・欧州債・MBSと幅広い金融市場に精通

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